目覚ましはBOM






昨日まで春休みだった。
そして今日から新学期。

大津永和は中学最後の春を迎える。

でもスタートラインすら立っていない。
未だふかふかと布団の中で眠っている。
それはもうすやすやと幸せそうに。



二階の寝室で眠る彼女に
一階の母親の声など聞こえはしない。
然し、ドタドタと力強い足音が近付いて来る。
それは母親の足音でも無く、
ましてや病弱で優しい父でもない。
このガサツさの足音は1人しか居ない。



「永和起きろ!!!」BOOOM!

Σ「!」ビクッ



普通の目覚ましより何倍も強烈な爆発音で
永和を起こしてきたのは隣に住む爆豪勝己だった。
急な爆発音に心臓バクバクさせて
永和の目覚めは最悪で表情は見るからに不機嫌だ。



「起きろ!遅刻したらぶっ殺すぞ!」



爆豪はさらなる暴言を吐き捨てて
ベットにうずくまる永和に近づく。
永和は眠たさと煩さで布団で耳を塞いでいる。
そんな彼女の布団を爆豪は取り上げようとした。



「てめぇ只でさえアホなんだから
勉強以外の事くらいちゃんとしろクソが!」

「………あと5分…」

「それが5回聞く事もあった!
新学期初日ならなおさらだ!起きろ!」

「うぅ〜…瞼が開かない…」

「こじ開けてやろうか。」

「今開きました。」



永和は爆豪に腕を引っ張ってもらい、
とりあえず上半身を起き上がらせた。
白髪のさらりとした長い前髪が顔に被さり
まだ眠気まなこを髪が掛かっていない
左側を擦ると爆豪がその手を取り上げた。



「ふわぁあ〜…」

「10分以内に降りてこなかったらぶっ殺すぞ。」



永和の幼馴染は暴言を吐き捨てて
先に一階に降りていった。
それから5分ベッドの上でぼーっとして
残りの5分で自分の通う学校の制服
折寺中学校のセーラー服を着て
グレーの鞄を持って駆け下りた。



朝ご飯のトースト2枚のうち1枚を爆豪に上げて
ヨーグルトを食べて家を出るときには
余裕の7:50だった。
不良みたいな発言が多い彼だが
時間厳守。そういうのは人一倍厳しい。



「お前後ろも鏡見ろよ。
髪はねてアホ毛みてえだし
襟は折れてんぞ ガキか。」

「直して下さい。」

「チッ…、髪は後で濡らしておけ。」



爆豪は優しく永和の髪を撫でて
セーラー服の後ろの襟は直してあげた。
ぶっきらぼうだけど優しい。
それが爆豪勝己なんだと永和は思う。



優しい空気だったかと思えば
一気に不機嫌な空気、というより
表情を見せる爆豪に永和は同じ目線を辿った。
すると目の前にはもう1人の幼馴染、
緑谷出久が前を歩いていた。



「チッ…!俺の前を歩くなデク!」

Σ「う、わあ!かっちゃん!」

「(理不尽な要求だなあ…)おはよう 出久。」

「お、おはよう永和ちゃん!」



緑谷に怒鳴りつける爆豪の横で
永和は慣れな様子でマイペースに声をかける。



「デクに声かけんな永和!」

「勝己も声掛けてるじゃん。」

「俺は胸糞悪りいから怒鳴っただけだ!」

「出久、またねー」

「う、うん…!」

「おい無視すんな!」



自分に怒鳴る爆豪をよそに
永和すれ違う時にも緑谷に声をかけ
その様子に緑谷が戸惑いつつ
照れつつ永和と会話をした。



そして2年までは永和と緑谷が同じクラスで
てっきり3年も同じかと思えば
しっかりクラス替えはあって
爆豪と緑谷が同じクラスだが
永和だけが違うクラスなってしまった。



爆豪は緑谷と同じクラスなだけで
帰り道もずっとイライラして
時には急に拳の中で爆破をした。
一応公共の場での個性使用は禁止だが
そこだけは不良らしい。