側に居て











花道がバスケ部に戻った事に安心した5人は
ゆっくり帰路を歩いていた。



「花道 よっぽど晴子ちゃんが好きなんだな」

「ああ、あの花道が部活に戻るなんてよ」

「極度の負けず嫌いってのもあるけどな。」

「アタシはゴリの根性無しが効いたんだと思うなあ」



一週間も続かないと思っていた花道だが
あんなにストレスを溜めて爆発されて
大暴れしたのにも関わらず
晴子の悲しい顔が頭から離れず
再びバスケット部に戻る姿を見て感心した。



「洋平も良かったね!
花道がバスケ部に戻って!」

「え?」



明日香の事をジッと見ていた洋平は
急に話しかけられてキョトンとする。



「だって一番心配してたじゃん。
戻った時も一番嬉しそうだったし!」

「そうかぁ?」

「そうじゃん!」

「んじゃまたなー 洋平ー明日香ぁー」

「またねー!」



またいつもの所で3人は分かれ
明日香と洋平の2人になって歩き続ける。



「洋平疲れてる?」

「なんで?」

「さっきからずっとなんか上の空だし、
ま、まさか洋平までバスケ部入りたいとか!?(汗)」

「ちげーよ。もう掴まれた腕大丈夫なのか?」

「え?あぁー…洋平、腕掴んで。」

「は?なんだよ まだ痛むのか?」



洋平は心配そうに明日香の腕を軽く掴んだ。



「…良し!もう大丈夫!
洋平で上書きされたから!」

「……ははっ!なら良かったよ(笑)

「もしかしてずっと気にしてくれてたの?」

「当たり前だろ 怖い思いさせちまったんだから」

「うッ…!(洋平が優しすぎて辛い…!)」

「?」



洋平の優しさに明日香は胸がキュウっと締め付けられた。



「洋平が悪いわけじゃないよ!
さっきは言い過ぎたけど、
置いてかれて寂しかっただけだし
中学の時から卑怯者に狙われるの慣れてるから
そんなに気にしなくて大丈夫!」

「そんなわけにもいかないだろ。
今日だって間に合わなかったら
どっか連れてかれて危ない目にあってたろうし、」

「…じゃあ置いてかないでよ」

「でもなぁ…」

「心配してくれるなら一人にしないで。」



明日香は立ち止まってキュッと洋平の袖を掴んだ。
洋平も足を止め、少し俯く明日香を見て少し考える。



「俺らが万が一負けそうになったら
全力で走って逃げろよ。
助けようとか考えずに。約束だ。」

「分かった!」



洋平が許すと明日香は嬉しそうに笑顔になった。



「やったー!これで待ちくたびれなくなるー!」

「そんなにはしゃぐなよ(笑)」

「は!なら洋平から喧嘩教われば
自分も守れるし洋平達も助けられるんじゃ…!」

「んな事させるか馬鹿ヤロー!(汗)」



明日香の発想に洋平は直ぐに止めた。
でもこれで一人ぼっちにならずに済むし
洋平達のカッコいい姿も見られると
明日香の機嫌はすっかり良くなった。













ーーーーーー…*°




ある日の休み時間 花道とその前の席に座る
明日香の元に洋平と三馬鹿トリオが集まり話していると
教室に入ってきた女子が明日香の元に駆け寄る。



「さ、境さん…!」

「何?」

「ちょっと廊下に出て来て貰える?
る、流川くんが呼んでるんだけど…///」

「なぬ!流川!?(怒)」

「なんで明日香に?」

「まさか!?(汗)」

「そのまさかなのか!?(汗)」

「おのれ流川…!晴子さんだけでなく
俺の友人にまでちょっかいを出すつもりじゃ…!(怒)」

「花道落ち着け!(汗)」

「取り敢えず行ってくる」

「おう。」



暴れ出す花道を三馬鹿トリオが取り押さえ、
明日香は洋平に声を掛けて廊下に出た。

花道と顔合わせたくないのか
廊下に出て扉の横に流川が立っていた。



「流川どーした?」

「ん。」

「ん?何これ」



流川は明日香が出てくると
直ぐに紙袋を渡してきて受け取る。
封はしてなく中身が見えるので覗くと
以前花道に頭突きされた時にあげた
自分のハンカチが戻ってきた。



「いらないって言ったのにわざわざ洗濯したの?
落ちないと思ってたのに新品並みに綺麗だし…」

「クリーニング出した。
人のもん捨てるの気持ち悪りいから。」

「そうなんだ ありがと!」

「それだけだ。」

「うん。花道の事ごめんね!」



明日香の言葉に返す事なく
流川は自分のクラスに戻って行った。



「(あいつほんと無愛想だな…
あれで何でモテるんだろ 皆んな顔しか見てないな(汗))」



明日香も花道の席に戻ると
明らかに花道は不機嫌でソワソワしていた。



「明日香 何を言われた!変な事言ってたら
俺が流川を代わりにぶっ潰してやるからな!」

「貸してたもの返ってきただけだよ。」

「何貸してたんだ?」

「花道が頭突きで血だらけにした時
晴子ちゃん追い掛けたのに流川に会っちゃって
ほっとくのもあれだからハンカチあげてたの。
いらないって言ったんだけどクリーニングまで出して
綺麗になって返ってきた。」

「へえ、几帳面なやつじゃん」

「余計な事を明日香!
あいつは晴子さんのハンカチを
いらないと言ったんだぞ!」

「明日香のは受け取ったって事か?」

「アタシの場合 強引に押さえつけて渡したから。
急いでたし。」

「なんだ」

「俺はてっきり明日香にもモテ期が来たのかと…(汗)」

「ああ、ついにかと…(汗)」

「流川がアタシをぉ?あははは!
そんなわけ無いじゃん!あんな無愛想男!(笑)」

「!、そうだよな!
明日香もそう思うよな!無愛想男!(笑)」

「調子に乗るな(汗)」



花道が、大笑いしているが
顔とバスケが上手い部分では
流川の方がスペックが高いので
調子にのる花道に明日香は呆れた。



「晴子ちゃんもミーハーなとこがあるからなあ」

「む…(また晴子ちゃん…)」

「あ!いたいた明日香ちゃーん!」

Σ「!、晴子さん!///」ガタッ

「呼ばれたのはアタシなんだけど(汗)」

「なんだなんだ?
流川に呼び出されてたの見てたか?」

「波乱の予感か?」

「あんたらはなんですぐそっちに持ってくのよ(汗)
晴子ちゃんどーしたの?」



晴子は教室まで入ってきて
椅子に座ったままの明日香に声をかける。



「明日香ちゃん 洋服好き?
今友だちと雑誌読んでたんだけど
明日香ちゃんの話も聞きたいなーって」

「服?は好きな方だけど
そんなお洒落とかしないよ?
アイツらと遊ぶくらいだし…」

「おい。どー言う意味だ(汗)」

「俺らの前だと着飾る意味ないってのか(汗)」

「まーまー。せっかくだし話してこいよ明日香。
チャイムまでまだ時間あるんだし。」

「んー洋平が言うなら…」

「晴子さん!お、俺も一緒に…!///」

「男子禁制だバカモノ!
じゃあ、ちょっと行ってくる//」

「いってらっしゃい。」



明日香は洋平達に見送られて
晴子達のクラス1組にやって来た。









「晴子 おかえりー」

「ただいま この子が明日香ちゃん」

「よろしくー」

「よろしくね」

「よろしく…//」

「明日香ちゃんCanCan読んでる?」

「Can…読んでない。
雑誌普段読まないから」

「そうなんだ 明日香ちゃんの私服ってどんな感じ?」

「スニーカー好きだし、ジーンズも好き。
ヴィンテージっぽいTシャツも好きだから
ほんと男っぽい服が多いよ。
スカートも一応履くけど洋平達と遊ぶからあんまり…」

「そうなの?可愛いのに勿体ないっ」

「明日香ちゃんは中学の時から桜木くん達と?」

「うん。アタシ中学は不登校になりかけてて、
洋平が助けてくれたから進学出来た感じ。
花道も初めは引いたけどアホなだけだし」

「そうなんだ…洋平くんのおかげなんだね」

「うん…//」

「「「……」」」

Σハッ「ざ、雑誌のモデルって
やっぱ皆んな手足長いね!//
(アタシは初対面もいるのに何話してんだ!(汗))」

「明日香ちゃんもスタイル良いから
こういうスラッとした服も似合うわよきっと」

「えー…いや…こういうのは晴子ちゃんでしょ…(汗)」



明日香はこの日初めて女子達と混ざり
女子高生らしい会話を楽しんだ。













>

トップページへ