陵南











今日は昨年県ベスト4の陵南との練習試合の日。
明日香は白いロングTシャツにデニムのショートパンツ
その上にオーバーサイズのデニムジャケットを羽織り、
お気に入りのadidasのスニーカー履いて
待ち合わせの場所で待っているのだが、
洋平にしては珍しく待ち合わせ時間より遅い。



「(洋平遅いなー。
陵南って江ノ電で直ぐらしいからいいけど…)」

「お待たせ 明日香ー」

Σ「洋平…え!?(汗)」



洋平が来て直ぐ振り返ると明日香に衝撃が走る。
いつもの三馬鹿トリオも揃っているのだが、
原付きバイクに乗る洋平の足元に高宮
洋平の後ろに野間さらに後ろに大楠が乗っていて
明らかな重量オーバーでのろのろ運転で現れた。



「よ、洋平 大丈夫!?(汗)」

「大丈夫じゃねーよ!狭めーし
重くてスピード出ねーし!(汗)」

「明日香!お前も早く乗れ!俺が担ぐから!」

「落ちるよ!(汗)」

「大丈夫 大丈夫!」

「どこがだ!高宮降りてよ!
そこ変わってお前は電車に乗れ!」

「早いもん勝ちだ!ここだって膝が辛いんだぞ!」

「それはお前がデブだからだよ!(怒)」

「洋平の前でもいーから早く乗れ!
試合始まっちまうだろ!」

「乗れってどうやって…!」



明日香が困っていると
洋平の足の間に座れるところが微かに見えて
明日香は覚悟を決めて洋平の前に座り、
明日香の足の間に高宮が座っている状態になった。
洋平は気を遣って少し下がってスペースを開け
その分野間が後ろに下がり、大楠は野間に
完全に担がれる姿勢になっていた。



「よし!陵南へレッツゴー!」

「(洋平と近い近い近い///(汗))」



窮屈。というよりも
明日香は洋平と密着している事に緊張して
それどころではなかった。










ーーーーーー…*°




「あーーーあ。お前等のせいで俺まで電車だよ」

「うるせー無免許のくせに」

「そーだそーだ」



5人は結局自転車よりも遅いスピードの為
途中江ノ電に乗って陵南高校についた。



「お、大丈夫だ 間に合った(汗)」

「ちょうどこれからだ」

「ピッタシ!」


体育館の2階に明日香と洋平達が上がると
花道達 湘北がユニフォームを来てぞろぞろ入ってくる。
驚いたのは花道までユニフォームを着ている事だった。



「おお!花道 ちゃんと
ユニフォーム貰ってんじゃねーか!」

「しかも10番!」

「流川よりも前の番号とは一体どーゆーことだ!」

「ハッハッハッ 実力だ実力!」



花道は上機嫌だった。
然し、試合が始まればやはりベンチ控えで
魚住というゴリよりも大きい怪物と
花道が何故か知っている仙道という選手
二人を先頭に得点が開き続けてしまい、
焦る花道はヤジを飛ばして
明日香や洋平 三馬鹿トリオは面白がった。



「あ、晴子だ。」



明日香は少し離れたところにいる晴子と、
その友だちを見つけた。



「ん?ああ、ホントだ。
行ってくれば?明日香」

「ううん。大丈夫!
今日は洋平達と来たんだし!」

「そっか。」

「うん!」



明日香の顔を見ると前のように緊張ではなく
普通に自分達と居たいから断ったと洋平は気付いて
優しい表情をしていた。

然し試合の状況は魚住に3回も抑えられて
花道は焦ってベンチで騒いでいて
ついに勝手にコートへ入ろうとすると
部員や彩子に引っ張って戻された。



「くそーーー!おめーら!
ボス猿なんかに負けてんじゃねーーー!!
ガンガン行けえガンガン!!(汗)」

「ハハハハ(笑)花道の奴またダダこねてるよ
花道が出たってどーにもならねーにきまってんのによー」

「うん。あの陵南の4番はスゴすぎるぜ。バケモンだ」

「負けず嫌いだからなあいつは…
味方がやられちゃ黙って見てらんないんだろ
喧嘩と同じくらいに考えてんじゃねーか」

「「「ハハハハ!!(笑)」」」

「きっとそーだ!」



その後 さらに7番の絶対的エース 仙道が
あの流川さえも抑えられないほどのプレーをし、
アシストで湘北を翻弄する。
ノリに乗った相手の監督は30点差をつけろと言うと
ムカついた花道は相手の監督に怒りのカンチョーを決める。

これがテクニカル・ファウルとなり
フリースローを決められ前半5分で得点は15-0
その後も仙道に湘北は首を絞められる事になる。

仙道コールにイラついた花道のストレスは
どんどん溜まっていく一方だった。



「くそう!おめーらも湘北を応援しろ!
何しに来たんだ一体!!(怒)」

「イヤ ヒヤカシに」

「花道相当イラついてるなー」

「あの4番もスゲーけど7番の方がもっとスゲー」

「こりゃ花道の出番などねーな」

「……(こんなもんか流川…)」



明日香は少し退屈そうに
フェンスに肘をかけて流川を見下ろした。



「退屈か?明日香」

「だって花道出ないんだもん
下で馬鹿やってんのも面白いけどさー」

「まぁなー でもまだ時間あるみてーだし
これからなんじゃねーかな」

「むー」

「お、ほら!流川がボール取ったぞ!」



流川は仙道へとパスをカットして取ると
一気に自分のコートへ攻めて仙道が追いかける。
そして自分でシュートを打つと思い、
ブロックに飛んだ仙道を欺くように
走ってきていたゴリにパスを出してダンクが決まる。



「「「「おーーーーっ!!
湘北の怪物も気合い入ってきたぜ!!
いけいけえ!!」」」」



その後もゴリのアシストで得点を決めると
魚住もしっかり抑えて湘北へと流れが変わり始める。



「ゴリ凄いなー」

「湘北の怪物が陵南の怪物に負けてねーぞ」

「スゲーよ」

「しかしいまだにあれが
晴子ちゃんの兄貴とは信じられん。」

「いえてるなー」



花道は向かいの2階で応援する晴子を見つけ、
ますます試合に出たくて監督の安西に攻め入る。

そして前半終了間近ゴリが放って外れたシュートを
流川がダンクで決めて湘北コールが体育館に響き
明日香や洋平、三馬鹿トリオもウェーブをやってみる。

19点差まであったが追い上げを見せて
50-42と8点差まで詰め寄り前半20分が終了した。
結局前半出番がなかった花道は怒りで震える。

そして後半始まって直ぐ5点差まで縮まると
笛が鳴ってまたベンチまで戻っていく。



「お?なんだ?」

「もう休憩か?」

「作戦会議じゃない?
ほら向こうのオッサンめっちゃキレてる」

「お?花道がなんかし始めたぞ(笑)」

「ほんとだ(笑)」



花道は陵南の作戦会議に入ったかと思えば
6番の選手に怒られて喧嘩が始まりそうな勢いだった。
そして7番の仙道にまで絡んでいると
ゴリがゲンコツをして他の選手で花道を取り押さえ
強制的にベンチに戻された。

乱闘が始まるかと思って5人は降りていたが
少し残念そうにまた2階へと上がっていく。



「まったく!頭を冷やせ!」

「寒い!!」



マネージャーの彩子は容赦なく
花道に冷却スプレーをかける。



「(くそう…もう後半だぞ?
ピンチだって何度もあったってのに
いつまで温存しとく気だ…(汗)
まさかオヤジめ…俺を騙しやがったんじゃねだろーな
ヒミツ兵器とか言っといて、
実はただの補欠だったとかいう…(汗))
おい、オヤジ。もう後半なんだけど…」

「ホッホッ」

「俺の出番はまだか?」

「ホッホッ」

「俺は本当に秘密兵器なんだろーな?」

「ホッホッ」

「ホッホッホッじゃねーーーっ!!!(怒)」

「退場させるぞ!!(汗)」



花道が焦っていると、
ボールを持っていた仙道は花道の方を見た後
シュートを打って決めると
花道に指で来いという合図を出した。



「ぬ……!おもしれー!!
上等だセンドー!!俺が倒してやる!!」



花道は縛られていた縄を打ち切り立ち上がる。



「ちっ…あの野郎 また勝手に
コートに入ってきやがって…
バスケをなんだと思ってやがる!!」

「ぬ…うるせーなてめーはいちいち!!
てめーもぶっ倒すぞ!小僧!!おお!?(怒)」

「な…なんてマナーの悪い奴だ!
安西先生の教え子とはいえ許せん!
注意しろ審判!!(汗)」

「なんだあジジイ!!」

「すわってろ!!(怒)」

Σ「ぬ…!!クソ…ゴリ……(汗)」



花道はぶつぶつ言いながらベンチに戻った。



「おお〜〜さすが怪物…(汗)」

「あの花道を一発で黙らせるとは…(汗)」

「ゴリ恐るべし…(汗)」



そして試合は思わぬ事態によって
花道の出番が来る事になる。

















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