横顔










放課後 明日香は駆け足で昨日の場所に行くと
洋平が待っていた。



「洋平!」

「おーお疲れ 明日香」

「あれ?今日は一人?」

「アイツら台が当たって外せねーんだと」

「そうなんだ 珍しいねっ(三馬鹿トリオナイス!)」



明日香は心の中でガッツポーズをした。
そして二人は並んで歩き出した。



「そういや明日集まるけど明日香も来るか?」

「行く!」

「またパチンコだろーから、見てるだけだぞ?」

「うん!それでも良い!」

「分かった。じゃあいつものとこな」

「うんっ」

「今日は何もなかったか?」

Σ「な、無かったよ!(汗)」

「ほんとか?」

「う、うん!(汗)」

「明日香はホント嘘が下手だよな。
何があったんだ?無事なら良いけど…」

「…怒らない?」

「話による。」

「それズルくない?
ぇっと…流川親衛隊が洋平達の事悪く言ったから
ムカついて1人引っ叩いたら教師に怒られました…(汗)」

Σ「はあ!?何やってんだ!(汗)」



明日香が恐る恐る事実を言うと
洋平は驚いて大声を出してしまった。
然し明日香は自分は悪く無いと主張する。



「だってあの子達 あの時の事なんも知らないで
好き勝手に言うからムカついたんだもん!(怒)」

「だからって暴力はやめとけよ女の子なんだから…
どっちの手で叩いたんだ?痛くないか?(汗)」

「右…少しヒリヒリしたけどもう大丈夫…」

「そうか…あんま無茶すんなよ」

「花道にも言われた…
洋平引いた…?女の子が喧嘩したりして…」



明日香は恐る恐る洋平を見上げると
洋平はまた少し驚いたような表情をするが
すぐにやれやれと優しい笑みを浮かべていた。



「そんな事 思うわけねえだろ。
俺らの為にありがとな。」



洋平が明日香の頭をポンポンと手を置いてあげると
明日香は嬉しそうに頬を赤らめて
口には出さないがほとんど洋平の為だと思っていた。



「(暖かくて優しい手……///)」



この手を取って今告白したら
優しい表情の彼はどんな顔をするだろうか。

笑って冗談だと受け入れて返されるか

それとも戸惑って困った様な表情をするか

それか自分もだと嬉しそうに笑って抱き締めてくれるか



明日香は不安しかなくて
この場で告白などできっこなかった。

50人も告白してフラれ続けた花道は
明日香にとっては尊敬に値する勇気だ。
花道には口が裂けてもいう気は無い。
後先考えない馬鹿とも言えるから。



「明日香 どうした?」

「ううん!花道が晴子ちゃんと沢山話してたなって思って
仲良くなったアタシのおかげなのにさ!」

「あははは!晴子ちゃんだって
あの花道に怖がらずに初めから話してたんだから
凄いよ あの子は。鈍そうなだけなんだけど(笑)」

「確かに…(汗)」



明日香は少し晴子の事が心配になった。











ーーーーーー…*°




翌日、明日香は白いロングTシャツに
黄色いシャツを羽織ってライトデニムスカートを履き
白ソックスに黒スニーカーで待ち合わせ場所に
向かっていた。前髪が上手く決まらなくて
少し手こずったから安定の遅刻だ。



「あ!明日香おせーぞ!」

「新台埋まっちまうだろーが!」

「朝からうるさいなぁ 10分遅れたくらいじゃん!」

「こっちは早朝から並ぶ猛者達と
これから戦うんだぞ!」



着いた途端に三馬鹿トリオに文句を言われるが
そんな事よりも私服の洋平にしか目に入らない。



「おはよっ 洋平」

「おはよ んじゃ行くかー」

「おうよ!昨日儲かった分
今日も回すぜー!」

「それで何回無駄になってるんだか…」

「あれ?」

「どうしたの? ってあ 晴子だ」

「声掛けようぜ」

「うん」



これからパチンコに向かう輩3人と洋平と明日香は
後ろ姿で分かる清純な雰囲気を漂わす晴子に歩み寄った。



「はーるこちゃん」

「あ!」

「じゃーん 停学軍団参上!」

「ふふっ やだ…(笑)」

「アタシは違うもん」

「なんだよつれねーな(笑)」

「したくても止めたくせに」

「皆んなで仲良くお出掛け?」

「そう これからパチンコ(笑)」

「もー(笑)」



晴子と洋平はすっかり慣れたように
お互いニコニコしながら話していて
明日香は少し複雑な気持ちでソワソワして
その後ろで3人組はニヤニヤと見ていた。



「晴子ちゃんはどっか行くのか?」

「うん 差し入れ持ってバスケ部の応援」

「そっか そりゃ花道が喜ぶな」

「だと良いな それじゃあ
明日香ちゃん また学校でね」

「うん」



晴子はそう言って手を振って行ってしまい、
明日香もゆるく手を振って見送った。



「まだ晴子ちゃんに人見知りしてるのか?明日香」

「え?してないよ」

「うんしか言ってなかっただろ」

「洋平ばっかり喋ってたからだよ」

「そうかあ?」

「そうだよ ほら早く行かないとダメなんでしょ?
今のでアタシの遅刻 洋平のお喋りとおあいこだから!」



明日香はそう言ってスタスタと歩き始めた。



「そんな長話だったか?俺」

「洋平は明日香にだけは鈍いよな」

「「うんうん」」



キョトンとする洋平に三馬鹿は気の毒に思えた。











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