知らない女








「ダア〜クソォ〜あと少しだったのに…!」

「惜しかったなあ」

「これで昨日の分もパァだ…(泣)」

「儚い夢だった…(泣)」

「懲りないなあ」



4人中全員がボロ負けでパチンコ店を出た。
正直パチンコ屋はタバコ臭いし音が煩いし
明日香にとってはやっと酸素が吸える状況だ。
だがこの後波乱な出会いがあるとは思いもよらない



「腹減ったなー」

「ファミレス行くか?」

「ファミレスは高い。マックだマック」

「ダブルビックバーガー食いてえ」

「んじゃ駅前んとこ行くかー」



5人は少し歩いてマックに来た。
そして各々好きなものを頼んで席について
お昼ご飯を取ることにした。

5人前じゃなく高宮は2人前だから6人前の
ハンバーガーがテーブルに並んでいて
明日香はチーズバーガーセットでファンタグレープ
シュワシュワ甘いジュースで喉をうるわす。
そしてハンバーガーをかじろうとした瞬間



「やっぱ洋平だ!」

「「「「!?」」」」



いきなりテーブルに少し赤みがかった茶髪に
ロングのソバージュでカジュアルな赤いボーダーの
襟付きロングTシャツに紺のミニスカを履いた女が
洋平の前に手をついて声を掛けてきた。



「京子ちゃん」

Σ「(京子ちゃん!?(汗))」

「似てる人いるなーって思ったけどやっぱり!
こんなとこで会うなんて偶然!
今日バイト休みだったんだ!」

「うん 京子ちゃんも休みなの?」

「夕方から入ってるよ!
今は友達と来てた!あっちにいるよ!」

「へー そうなんだ」

「「「(可愛い…///)」」」

「(鼻の下伸ばしてんな三馬鹿野郎…(怒))」

「洋平も友だちと?」

「うん」

「ふーん」



そう言うと京子という女は明日香をジッと見てきた。



「じゃあさ、アタシの友達も4人いるから
向こうで合流しない?彼氏募集中もいるし!」

Σ「「「まじで!!?」」」

「おい(怒)」

「…いや、こっちは5人だし遠慮しとくよ」

「「「えー!!」」」

「……なら、アタシの男友達も呼んであげるよ!
彼女募集中みたいだし、良い奴だよ!
別に洋平の彼女じゃないんでしょ?」

「違うけど、」

「いらない。」



明日香は痺れを切らしたように
凛と言葉を発した。



「アタシら洋平と遊ぶの久々だから邪魔しないで。
友達もこっち見てるし待ってるみたいだから
サッサとそっち行きなよ」

「「「(おお…(汗)」」」

「……何その言い方 感じわるー(笑)
洋平 またバイトでお喋りしよーね!バイバイ!」



派手な女は嵐のように去っていき
明日香は一点を見つめながらジュースを飲んだ。



「せっかく合コン出来ると思ったのに……」ボソ…

「俺も」

「どうせ相手にされないわよ」

「「「なんだとー!?(怒)」」」

「明日香 ごめんな。ちょっとうるさかったか?」

「なんで洋平が謝るの?」

「それは同じバイト仲間だし」

「ふーーーん バイト中お喋りしてんだ?」

「暇な時だけだよ ガソスタだから
客来ねえとやることねえし。」

「ふーーーん 随分仲良いね」

「あー 学校違えけど同じ1年だからじゃね?」

「この辺の学校か?」

「今度紹介してくれよ あの子の友だち含めて」

「しつけーな(汗)」

「花道には内緒だぞ」

「ああ 絶対邪魔される」

「……でも、明日香。
さっきの言い方はいくらなんでも冷たいんじゃないか?」

「は?あの子庇うの?」

「庇うも何もそういう状況じゃなかっただろ?」

「洋平だってちょっとした事でキレて
喧嘩してるのにアタシだけ注意すんの?」

「そうじゃなくて俺はお前に…」

「いつまで保護者ぶってんの?
アタシがあの子気に食わないんだから
優しくする必要なんてないじゃん
アタシ居ないみたいに4人だけ向こうに誘って
アタシには適当なクソ男紹介しようとして
めちゃくちゃ嫌いなタイプなのに
洋平はあの子の味方するんだね。」

「おい 熱くなるなよ…(汗)
俺も気付いて5人って言い直しただろ?」

「でも庇ってんじゃん
高宮 アタシの分も食べていいよ。
気分が悪いから帰る。」

「ん。」

「おい 明日香…!」



明日香は結局飲み物とポテトくらいしか
手を付けず高宮にチーズバーガーと残りのポテトをあげて
荷物を持って出て行ってしまった。











「なんだよ 明日香の奴…日に日に短気になってないか?」

「洋平のせいだ」

Σ「は 俺!?」

「明日香も悪いが洋平も悪い」

「お互い鈍い」

「なんだよそれ…」

「洋平〜 友達帰っちゃった感じ?
もしかしてアタシが感じ悪いとか言ったから?
それにしても気が短くな〜い?
でもー これなら止める子もいないし、
ウチらと合流しても問題ないんじゃない?」



状況を見ていた京子は
すぐに洋平達に声を掛けてきた。
ニコニコと笑う彼女に
明日香は何故嫌ったのか
三馬鹿でもよく分かる。

中学の時イジメてきたリーダーに
そっくりなほど上っ面な笑顔に
男に媚びるような話し方だからだ。



「京子 悪い。今日はいいわ。」

「えー なんで?3人もノリノリだったじゃん」

「いや 俺らも良いわ」

「「うん」」

「な、何よ…次紹介頼まれても
彼氏が出来て紹介出来ないかもよ?」

「京子も彼氏いるんだろ?
俺らに構ってないで戻れよ
俺らももう行くから」

「「「(彼氏持ちだったんかい)」」」

「アイツとはもう上手くいってないし…」

「そうか それは大変だな。
おい 高宮早く食えよすぐ追いかけるぞ」

「無茶言うなよ(汗)」

「……何よ」



京子に素っ気なくあしらう洋平に
京子は拗ねたように友達の元へ戻って行った。
そして洋平達は早食いをして店を出て行くことになった。














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