勘違い










「晴子ちゃん!」



明日香は晴子の事をまた追い掛けて呼び止めた。



「明日香ちゃん…。
明日香ちゃんの友だちを悪く言いたくは無いけど
桜木くん酷いわ。流川くんをあんなに傷付けて…!
あたしはあんな人だなんて思ってなかったのに!」

「落ち着いて晴子ちゃん…
晴子ちゃんが屋上に着いた時 流川が流してた血は
花道がやったんじゃないんだって」

「え?」

「流川の後ろに倒れてた人いたでしょ?
あれ3年の怖い先輩達で流川が先に喧嘩してて
そこに花道が出くわしてたんだよ。
流川に花道が頭突きしたのは
流川が晴子ちゃんの優しさを蔑ろにしたからっ
それで花道が怒ってつい手が出ちゃったの。
(まぁ、明らかにやり過ぎなんだけど…(汗))」

「そ、そうなの…?」

「そうそう。花道も悪いけど、
流川も喧嘩するような奴だってこと!
(そもそも花道の頭突きあんなに食らってて
普通に歩けてるんだから只者じゃないつーの…)」

「明日香ちゃん ど、どうしよう…!(汗)」

「謝ってあげてよ。
そしたら花道も立ち直ると思うからさ。」

「う、うん…」

「今から一緒に謝りに、」

「い、今はダメよ!心の準備が…!」

「もう!」

「ご、ごめんなさい…」

「アタシにじゃなくて花道に!」



明日香はそう言って自分の教室に戻って行った。










教室に戻って少しすると花道と洋平が戻ってきて
自分の後ろの席に座った花道は魂が抜けていて
また前のように窓の外を見つめて溜息を吐くようになった。
明日香は席に立って廊下にいる洋平達の元に駆け寄る。



「よう、明日香。晴子ちゃんには言ったか?」

「ちゃんと説明したよ。
謝ってあげてって言ったけど
向こうも気まずいからか
心の準備が欲しいって」

「まぁなぁ、大っ嫌いって言っちゃったからなぁ」

「好きな人に嫌いなんて言われたら
そりゃキツいよね…」



心配そうに花道を見る明日香を見て
洋平は明日香の頭に手を置いてくしゃくしゃと撫でた。



「大丈夫だよ。晴子ちゃんが来てくれたら
また前の花道に戻るだろうよ。」

「うん」











ーーーーーーー…*°




然し、放課後になっても晴子は教室に来ず
それよりも授業が終わって直ぐに
花道は鞄を持って帰り始めた為、
明日香と洋平達も止める事が出来ず
後を追うしかなかった。



「ダメだ。完全に目が死んでるな」

「やっぱあの大っ嫌いが効いたよな」

「今度ばかりは相当重症だわこりゃ」

「どうしよう洋平〜…」

「うーん…」

「はぁ………ぶっ!!」

Σ「「「「「!!?」」」」」



花道がぼうっとして歩いていると
よりにもよってバスケットボールが
花道の顔面にぶつかった。



「うわあ…(汗)」

「「「「おお…!(汗)」」」」

「や〜〜っ ゴメンゴメン!
手元が狂っちまって…!!(汗)」

「はっ!!(赤い髪!一年の桜木だあ!!(汗))」

「こ…こ…これは…
ブァースケットボールじゃあーりませんかあ」

「ご…ごめん 桜木くん!(汗)」

「わ、わざとじゃ無いんだ!
許してくれよ…ごめん!ね…?(汗)」

「バカモノォオオ!!
俺の一番嫌いなスポーツを教えてやろーかあ!
それはぁ!バスケットボール!!!」

「「うわぁあああ!!!」」

「流川がなんだバカヤローッ!!!(怒)」

「よせ花道!!落ち着け!!(汗)」

「うるさーーい!!(泣)」



花道はボールをバスケット部員にぶつけて
完全にキレて暴れ出し 洋平達が抑えようとするが
すぐに頭突きして止められる。



「洋平!大丈夫!?(汗)」

「俺たちも心配しろよ明日香ぁ…」

「ダメだ こうなるともう手がつけられん…!」

「あ、」



倒れる洋平に駆け寄ると
足音がして顔を上げれば
大男が花道の襟元を掴んで後ろへ引き投げた。



「「きゃ、キャプテン!」」

「で、デケェ…!(汗)」

「花道よりももっとデケェ!!(汗)」

「何遊んでんだ!馬鹿タレが!
もう練習始まってんだぞ!(怒)」

「「す、すいませんでした!!」」



ゴリラのような体格の大男は謝る部員に
洋平達もドン引きするようなゲンコツの威力だった。
然し花道は大男の前に立ちジッと睨みつけたかと思えば
持っていたバスケットボールを大男の顔面にぶつけた。



「バーカヤロー!何がキャプテンだ偉そうに!(怒)」

「花道!(汗)」

「よせ花道!相手は人間じゃねえ!(汗)」

「俺はバスケット部なんか大っ嫌いなんだよ!
玉入れ遊びなんかよお!(怒)」

「玉入れ遊び…?」

「(ひぃい!まずい!キャプテンの愛する
バスケットを侮辱してしまった!(汗))」



振り向いた大男は完全にキレている。



「玉入れ遊びだとぉ!(怒)」

「キャプテン落ち着いて!(汗)」

「上等だ!このガキャア勝負せいや!!(怒)」



花道は体育館に連れて来られて
キャプテンの大男と勝負する事になった。

体育館の周りには多くのギャラリーが集まった。

三馬鹿トリオは賭けが大好きで
誰に賭けるか周りを煽っている中
洋平と明日香は心配そうに見つめていた。



「いいか!勝負は簡単だ!
俺が10点ゴールを決めるまでに
俺からボールを奪い1点ゴールでも
決める事が出来ればお前の勝ち!
出来なきゃ俺の勝ちだ!
あれだけバスケットを侮辱したからには
俺からボールを盗る事くらいわけないだろ!赤い髪!」



ルール説明をする中 花道は目に涙を滲ませる。
花道にとって体育館は晴子と淡い思い出の場所だからだ。



「大変な事になったよ 洋平…(汗)」

「ああ、こんな大ごとになっちまうとは(汗)」



学校中の注目の的となった花道と大男
その噂を聞きつけ晴子も血相を変え、
駆け足で体育館に向かった。















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