決定事項
▽
紬は六番隊隊舎を後にして十三番隊隊舎に戻り、
直ぐに浮竹十四郎に朽木ルキアの状態を報告した。
「そうか…責任を感じて当然か…」
「この件、浮竹隊長はどうお考えですか?」
「……霊力を人間に渡してしまったせいで
現世のバランスが歪んでしまった…
十分重い罪を朽木はやってしまったんだ…
あとはどれだけ罰を軽く出来るか、
俺が総隊長と掛け合ってみるしかない…」
「あまりご無理を為さらないように」
「ははっ、大丈夫だよ」
元々身体が弱い隊長に対して紬は労ってから
隊長室を後にして再び外へと出て行く。
隊舎にいると二人の三席に仕事しろと言われるからだ。
「あら!紬ーっ」
外に出て散歩をしていると、明るい声がして振り向く。
「!、乱菊と冬獅郎くん」
其処には十番隊隊長日番谷冬獅郎と
十番隊副隊長の松本乱菊がいた。
「今日は寝ずに散歩なの?めずらしー!」
「散歩はよくしてるよ。
隊舎にいると仕事押し付けられるから…」
「あー分かる分かる。」
「分かるじゃねえだろ!
今だって勝手な理由つけて隊舎飛び出しやがって!(怒)」
「だってぇー隊長が大好きな甘納豆のお店が新しく出たから
試してみましょって事で隊長もついてきたんじゃない」
「冬獅郎くん甘納豆好きだったんだ。
あれ?でも私がお裾分けしたいちご大福
苦手だって断ったじゃない」
「日番谷隊長だ。(怒)
甘納豆以外甘味は苦手なんだ。」
「これから行くお店いちご大福もあるから紬も行かない?」
「行く」
「おい、サボってる奴を誘うなよ(汗)」
「見廻ってるって言って欲しいなー」
「さっき堂々と仕事から逃げてただろ(怒)」
日番谷冬獅郎にため息をつかれたが、
気にする事なく三人で甘味屋に向かうことにした。
日番谷は数少ない低身長の死神なので仲がいい方だった。
松本乱菊ともサボり仲間としてよく話している。
「北茶屋の甘納豆の方が美味い。」
「北西茶屋のいちご大福の方が美味しい。」
「もー!せっかく連れてきたのにクレーム!?
あたしの身にもなって下さいよお!」
自分の行きつけの方が美味しいと言いながら
黙々と食べ続ける低身長コンビに対して乱菊は呆れた。
「本当の事だ。」
「そうそう。人には好みがあるんだから
冬獅郎くんは冬獅郎くんの
私には私のお気に入りがあるんだよ。」
「日番谷隊長だつってんだろ(怒)」
「ごめん、私の中で冬獅郎くんは
永遠の冬獅郎くんだからつい…」
「どう言う意味だ(怒)」
「それより紬、あんたんとこの隊員大丈夫なの?」
「んー、ダメ。やっと面会出来たけど
詳しい話は出来なかったし。
六番隊が硬っ苦しくて厳しいんだ色々。」
「ふーん。確か朽木隊長の養子の子なんだっけ?」
「そうそう。」
「四大貴族が絡んでいるなら、
尚更相当ピリついてるだろうな。」
「貴族っていうのはどうしてこう
めんどくさい事多いのかな」
「あんたも貴族じゃない。」
「私は名前だけで殆んど絶縁状態だから。」
「え?そうなの?」
「うん。いちご大福ご馳走さまー」
「ちょっと紬ー まだ話の途中じゃないのよー!」
「お前もいい加減帰るぞ 仕事だ(怒)」
紬はいちご大福を食べ終えお茶も飲み干すと
そそくさとその場から離れてしまった。
松本乱菊はまだ聞き足りないようだったが、
日番谷冬獅郎により強制連行された。
ーーーーーー…*°
あれから数日後
朽木ルキアの罪状と処刑日が決定された。
第一級重禍罪
二十五日後 真央刑庭に於いて極刑
流石に浮竹隊長も罪が重過ぎると
総隊長に直談判するも通用しなかった。
紬は今日も隊舎の屋根の上に寝そべっていた。
「……もー!朝霧副隊長!またこんな所にいて!」
屋根によじ登ってきたのは
またもや第三席の虎徹清音だった。
「あれ…こてっちゃん、
今日は書類終わらせてたはずだけど?」
「ええっ!(汗)」
「たまには私もやるんだなー」
「ひ、酷いですよ!(泣)
いきなり真面目にされると!」
「良い事しても怒られるのかー」
紬は身体をゆっくり起こして屋根から飛び降りた。
「あ!どこ行くんですか!(汗)」
「仕事済ませたからお散歩ー」
「またそんなこと言ってー…」
「お願い こてっちゃん。」
「ッ……分かりました…」
紬の表情を見て、虎徹清音はそれ以上呼び止めなかった。
紬の悲しそうな目を見てしまったら……、
紬は行く当てないまま散歩していると、そこに
「おや、紬さんやないの」
三番隊隊長市丸ギンがいた。
「ギンくん またサボり?吉良くん可哀想に」
「人のこと言えませんやん」
「今日は仕事終わらせての散歩なんですー」
「ちゃんとやったら仕事早いのずるいわぁ」
相変わらず狐の様な顔をして
昔から腹の中が読めない子だった。
紬はギンの横を通り過ぎようとした。
然し、
「ええっ、もう行っちゃうん?」
「え、だめ?」
「せっかくばったり会うたのに寂しいやないの」
「私と話しても楽しくないと思うけど」
「そんな事ないよ 紬さんは十分面白い人やで。
それに同じ類で入隊した中ですし、先輩」
「隊長が副隊長に先輩なんて、
からかってるとしか思えないよ?」
「肩書きは副隊長やけど、僕はそうとは思ってへんよ。
他にもそう思ってる人多いんちゃうかなあ」
「お誉めの言葉ありがとう」
「逆に不思議なんよ。
いつまでも隊長に登りつめないあんたが…」
ガンガンガン!!
『西方郛外区に歪面反応!
三号から八号域に警戒令!
繰り返す 西方郛外区に歪面反応!』
市丸ギンが何か言いかけると、いきなり警報が鳴り響いた。
「なんやあ…?」
「ここから近い…」
「行きます?」
「行かないよ 管轄外。」
「そんな殺生なあ」
「隊長格が動くべきではないと思うんだけど」
「おもろそうやん。ほんま行かへんの?」
「門番がいるだろうし、私はいい。
気になるなら一人で行って来なよ。」
「………相変わらずやなあ」
そう言い捨てて紬は現場から背を向けて歩き出す。
その小さな背中を市丸ギンは見つめてポツリと呟いた。
△