逃げろ









殲罪宮に囚われた朽木ルキアは

ずっと微かな光と向き合っていた。



そこから霊圧が感じるからだ。



「音が…止んだ…… 霊圧も…消えた……
…二つとも……… 死んだのは誰だ… わからぬ…
殺気石の乱反射で… 霊圧の痕跡がかき消えていく…
何故だ… 私の為に流れる血など、あっていい筈がない……
私は本当に…血を流してまで救う価値のある者なのか…?
教えてくれ…、…海燕殿……」



そう呟く海燕という名。

朽木ルキアと黒崎一護の謎が解かれる。











「夕べ 思ったんです…
一護さんがあんなに傷だらけになって
戦っているのに…
僕はただいつも逃げ回ってるだけなんて…
かっこ悪いじゃないかって…
僕だってルキアさんを助けたい…
だからその為にできるだけのことはしようって…
そう決めてたんです。
たとえ後で罰を受けることになっても…。
…って言っても
僕じゃせいぜいこうやって鍵を盗んで
くるぐらいしか出来ないんですけど…
…だから駄目なんですよね。僕……」

「いや…充分なんじゃねえか…それでよ。」



先日の約束通り 山田花太郎と志波岩鷲が
殲罪宮に到着していた。

山田花太郎が鍵を拝借して
見張りが手薄な状態に安心して
ガチャガチャと鍵を開け、扉を開ける。



「しっかし昨日の女まだじゃねえかよ!(怒)
やっぱり嘘だったんじゃ……」

「まさか!あの人に限ってそんな…!(汗)」

「どーだかな…っと………」



志波岩鷲は強張った。


そしてぽつりと、朽木ルキアは居た。



「…誰だ……? 一護の…仲間か…?」



浮かぶのはあの日の目



「僕ですルキアさん!
良かった!ご無事なんですね!」

「お前…花太郎!どうしてここに…」

「話は後です!
さあ!岩鷲さん!急いで…、逃げま…
あ…あれ…?岩鷲さん…?」



志波岩鷲は朽木ルキアを見て動かなかった。



動けなかった。



「…その服の紋様……
墜天の崩れ渦潮………
お前…、志波家の者か…ーー?」

「…え……?
な…なんだ…知り合い何ですか…?」



不穏な空気に山田花太郎は戸惑った。



「ーーああ…、知ってるぜ 忘れるもんかよ。
そのツラ…、そいつは…、俺の兄貴を殺した死神だ。」



そしてフワリと一つの霊圧がかかる。



「!」



朽木ルキアの前に立つ女 朝霧 紬だった。



「!、てめぇは…!」



「志波 岩鷲。すみません。
地下で会った時から気付いてました。」

「な…!(汗)」

「ちゃんと名を言ってませんでしたよね?
私は十三番隊副隊長 朝霧 紬。
彼が副隊長の時は第三席でした。
志波 海燕の…跡に継いだ者です。」

「!!」



志波岩鷲は紬の胸ぐらを掴む

それより朽木ルキアは、何故紬がいるのかだった。



「あ、朝霧副隊長!何故ここに……!
副隊長がこんなことしたら…!(汗)」

「ただでは済まないよね。
さっそく……ただでは済まなくなるみたい。」

「「「!!」」」



ドクンと心臓な鳴り

段々近づく霊圧に身体に重しが掛かる。



「な…何だ…!?何か…何か来る……!(汗)」

「…ぅあ…あ…ああ…あれは………ッ!!(汗)」



こちらに向かってくるのは、六番隊隊長朽木白哉だった。



段々近づく朽木白哉に山田花太郎と志波岩鷲は混乱し、
朽木ルキアは終わりだと悟った。



「言ったでしょう?
逃げる事の方が大変じゃない?って。」

「「「!!」」」



三人は前に出る紬を見る。



「ま、まさか…これを分かってて……(汗)」

「朝霧副隊長…(汗)」

「だ、駄目です!朝霧副隊長!!
私の事でそんな…!お止め下さい!!(汗)」



朽木ルキアは紬の袖を掴む。



「五月蝿いっ」ピンッ

「痛ッ!」



紬は朽木ルキアにデコピンをした。



「彼だったらもっと痛いよ?」

「ッ………!」



紬は自ら朽木白哉の前に立った。



「どうゆうつもりだ?朝霧 紬。」

「見ての通りですが?
私は旅禍に手を差し伸べ、朽木ルキアを逃がします。
その為に、貴方を足止めさせて頂きます。」


紬は刀を抜いた。



          「紡げ"天蜘蛛"」



ふわりと空気が広がり、紬の手から刀は消えた。



「………刀が消えた…」

「ちゃんとありますよ。」



ザンッ! 「ー!」



急に朽木白哉の肩に血が吹き出した。


紬の手はまるで操ってるかのように
器用に右指の関節を動かしていた。



「なるほど…糸か」

「正解です。私の斬魄刀は糸。
無数に伸びるこの糸が全て刀身です。
貴方とは良い勝負、と言いたい所ですが
正直私の斬魄刀はこの場には向きません。」

「散れ"千本桜"」



朽木白哉の刀身が無数に花びらのように散らばり、
紬の糸と混ざり合い、刀の打ち合いには見えなくなった。

戦いが追えなくなる程
早過ぎる攻防に朽木ルキアや志波岩鷲等は戸惑う。

ただ、朽木白哉には紬に苛立ちを抱いていた。



「兄は斬魄刀を護りに使っている。
攻撃は最初だけだ。何を躊躇している。」

「………言ったはずです。
私は倒すとも殺すとも言っていない。
足止めをするだけです。」

「手抜きで出来ると思うなよ。千本桜。」



紬は千本桜から身を守ろうと
糸を纏めるが、細か過ぎる花びらの刀身が
自分の肩を斬って血が噴き出した。



「ッ……!」

「朝霧副隊長!!」

「逃げましょう!ルキアさん!」

「然し…!」

「逃がすか…千本桜」ザンッ!

「がはっ…!」

「岩鷲さん!」



紬の傷は僅かに逸れたが

岩鷲は一瞬にして血まみれになった。



「確かに手抜きは出来ないようですね。
ですが、其れではこの戦いは…」

グッ、「ッ………!」



紬は朽木白哉の背後にいて
彼の首に糸を掛けて背を向けていた。



「………貴様…!」

「私の斬魄刀は喧嘩に向いていません…
簡単に殺せてしまうから……
謎だらけのこの処刑に、皆が混乱しています。
何が正しくて何が間違っているのか…
一時的な身内争いに殺し合いは出来ません…」



すると紬は誰かに気付いて斬魄刀を収めた。



「朝霧、朽木隊長。何をやってるんだ。」

「…う……浮竹隊長!(汗)」



十三番隊隊長 浮竹十四郎が現れた。



「おーす朽木!少し痩せたな。大丈夫か?」

「浮竹隊長…」

「朝霧も朽木隊長も、
こんなところでの斬魄刀解放なんて
一級禁止条項のはずだぞ。
旅禍を追い払う為とはいえ…一体何を考えてる!」

「浮竹隊長聞いてないんですか?」

「…戦時特例だ。
斬魄刀の解放は許可されている。」

「戦時特例!?
旅禍の侵入がそんな大事になってるのか!?
…まさか藍染を殺したのもーー…!」

「「!!」」



浮竹十四郎が言いかけると、一気に霊圧がのしかかった。

それは明らかに隊長クラスのものだ。



「…こ…この霊圧の感覚は……、…まさか………」



ブアッ!!
   バン!!!っと


龍の翼のような物に掴まり、黒崎一護が飛んできた。



そして朽木ルキアの前に着地する



「…い……一、」



黒崎一護は朽木ルキアを一度素通りするが、
山田花太郎から話を聞き戻ってきた。

そして紬は黒崎一護と目が合い、互いに傷をみた。

黒崎一護の方がボロボロだ。



「…ルキア。助けに来たぜ。」



やっと、会えた。