目に映る者









ルキアは眉を歪める



「…莫迦者……!
来てはならぬと言ったはずだ…
あれほど…追ってきたら許さぬと…!
ぼろぼろではないか…莫迦者…!」



ルキアは泣きそうな顔だった



「…まったくだ。
だから…後でいくらでも怒鳴られてやるよ
あいつをー…倒した後でな!」

「…い…一護…!」

「何だよ?ここまできて今さら退けとか
言うんじゃねーだろうな。
退かねえぞ。冗談じゃねえ。
俺はてめーを助ける為にここまで来たんだ。
てめーがもし、ここで死刑になりたいって言おうが
そんなこた知ったこっちゃ無え!
俺はてめーを引きずってでも助け出すぜ!
こっから先、てめーの意見は全部却下だ!
わかったかボケ!!」

「な…、なんだそれは!
助けられる側の意志は
全て無視するというのか!?
そんな横暴な助け方があるか!!(怒」

「うるせえ!
助けてもらう奴がごちゃごちゃ言うな!
てめーはそれらしくその辺でブルブル
震えながらお助けー!!とか
言ってりゃいいんだよ!!(怒」

「「ッ〜〜〜〜〜……(怒)」」



二人は睨み合う

然し、朽木ルキアは呆れるように一息つく。
黒崎一護と言い合う朽木ルキアの姿が
紬にとっては凄く新鮮だった。
そして朽木ルキアも表情からリラックスしていた。



「………相変わらずだな。貴様は…
相変わらず…私の言うことを少しもきかぬ…」

「あたりめーだろ!
てめーの言うことは俺の心配ばっかじゃねえかよ!
こんな時くらい自分の心配してろ!
心配すんな!死にゃしねえよ!
これでも俺、ちょっとは強くなったつもりなんだぜ」









        その目に映るのは彼の姿

           朽木ルキアも

             紬も

         浮竹も目に浮かんだ。









「…朝霧。あれは誰だ」

「………あれは、」

「無関係だ。
少なくとも今、
兄等の頭を過った男とはな。
奴は何者でもない。
ただの旅禍だ。
私が消す。それで終わりだ。
この些細な争いのすべてが終わる」

「……」



紬の言葉を遮り朽木白哉が前に出る。

やはり朽木白哉もあの男の面影が分かるのだろう。
それ程、黒崎一護は他人の様に思えなかった。



「…随分と悠長に構えてるじゃねえか
あんだけルキアと喋ってても
斬りかかってこねえなんてよ」

「…誰に向かって口を聞いている。
私に、貴様如きの隙を衝けと言うのか?
大層な口を利くな小僧」



一気に霊圧がかかると、黒崎一護は刀を構えた。



「…ほう
この霊圧の中で顔色一つ変えぬか。
随分と腕を上げたようだな。
どうやって再び
死神の力を手にしたのか知らぬが。
あのまま現世で安穏と
暮らしておれば良いものを…
拾った命を捨てる為に
こんな所まで来るとはな…愚かな奴だ」

「…捨てに来たつもりは無えよ。
あんたを倒して俺は帰る」

「…大層な口を、利くなと言った筈だ小僧。」



朽木白哉は目の前から消えた。



瞬歩であろう。



それに黒崎一護は反応し、背後に回った白哉の刀を防いだ。



「…大層な口か?
見えてるぜ。朽木白哉」



刀を振り間合いを取り、朽木白哉は刀を構えた。



千本桜だ。



「だめだ一護!!!逃げ」

「散れ」ビンッ!!

「…あれは…」

「え……」

「貴様は…夜一!!!」



姿を表した四楓院夜一は朽木白哉の解放を止めた。



「四楓院夜一 久しく見ぬ顔だ。
行方を眩ませて百余年…
死んだものとばかり思っていたのだが…」

「…夜一さん。
助けに来てくれたんだろ?
サンキューな。
でも悪い。どいててくれ。
俺はそいつを倒さなきゃなんねえんだ。」

「…倒す?おぬしが?彼奴を?…愚か者」

「え…」ドン!!

「な…!(汗」



その行動に皆が驚いた。

黒崎一護の傷口に腕を突っ込んだからだ。
それにより、黒崎一護はフラつき倒れ、
四楓院夜一はそれを支えた。



「…薬か。が点か崩点か。
強力な麻酔系の何かを内蔵に
直接叩き込んだな。
…彼を治す気か。夜一」

「…浮竹」



四楓院夜一はその隣の紬に目をやる。

紬は目を見開いて驚いている様子だった。
あの日、同じ日に消えた四楓院夜一が目の前にいる。

じゃあ他の人たちは?









            あの人は?

           生きてる……?









「治させると思うか。
させぬ。兄はここから逃げることはできぬ。」

「…ほう。
大層な口を効くようになったの。白哉坊。
おぬしが鬼事で儂に勝ったことが
一度でもあったか?」

「…ならば試してみるか?」



朽木白哉が刀を振るうと捉えたかと思ったが
目にも止まらぬ速さで変わり身に変わっていた。

四楓院夜一は屋根の上にいた。



「3日じゃ。
3日で此奴をおぬしより強くする。
それまで勝手じゃが、
暫しの休戦とさせて貰うぞ
追いたくば追ってくるが良い
"瞬神"夜一。
まだまだおぬしら如きに捕まりはせぬ。」



そう言い残し、四楓院夜一は姿を消した。



「待って夜一さん!!」

「紬!」



紬は直ぐに四楓院夜一を追い掛け瞬歩で消えた。












ーーーーーー…*°



「夜一さん!!」



紬は直ぐに背中を追って四楓院夜一を呼び掛ける。



「待って!夜一さん!!待って下さい!!」

「紬……! (あの傷でついて来れるとは……」



四楓院夜一はスピードを緩めず進む。



「待って…!ならば答えて下さい!!
他の人たちは……!
あの人は…!生きていますか!!?」



紬は叫び続けた。



「………すまないの 紬」



夜一は答えを出さずスピードを上げた。

そして傷を負っている紬は
足を踏み外し、転んで建物の屋根の上で倒れた。

いつもならこんなミスをしないのに
怪我と心の焦りでボロボロだった。



「夜一さん…何で……!」



答えられないということは、

あの人はもういないという事なのか。














紬は脱力し放心状態だった。

もしかしたら、と思ったのに
そのもしかしたらは違っている可能性が高くなった。



他の人たちも、あの人も

もういない。









「……しん…じさ………」

「どうしたん?」

「!」



関西弁が耳に入り顔を上げる。

すると目の前には市丸ギンがいた。



「えらいぼろぼろやないの」

「ギンくん……」



市丸ギンはいつもと変わらない表情で
紬を見下ろしていた。



「どないしたん?」

「………何でもない…」

「そんなわけないやろ。」



紬はスッと立ち上がり、土埃を叩いて落とした。



「四番隊行かなあかんよ?」

「………うん」



紬は屋根をトンッと降りてとぼとぼと歩いた。


然し立ち止まって振り返り 屋根に視線をやると、
市丸ギンの姿はもう無かった。











他の旅禍達はというと十二番隊隊長の涅マユリを倒し
ボロボロだった石田雨竜を九番隊隊長東仙要が倒し、
茶渡は八番隊隊長京楽春水と戦うも
あっさりと敗れてしまった。
朽木白哉に敗れた志波岩鷲を含め、
三人とも同じ四番隊の地下救護牢に入れられた。


そして織姫は何故か十一番隊隊長 更木と対面し
共に行動する事になっていた。