白いクマ











「ロー どこ行くのー?」

「散歩」

「気を付けてねー!」



ローは医学書を読むのに疲れたらしく
気分転換に散歩に行ってしまった。
私も退屈だったから
最近ハマって編み物に挑戦している。

ローはババくさいとか俺の方が上手いとか
意地悪なこと言ってくるけど
料理も狩りもまだ私の方が上手だから
それでおあいこって事にしてる。
ローだって子どもなのに大人っぽいんだもん。
私より絶対先におじいちゃんになるもん。










「おーい 帰ったぞー」

「あ!ヴォルフおかえりなさーい!」

「ん?ローはどうした?」

「今は散歩に行ってるよ!」

「そうか」

「たぶんそろそろ戻って来るはずだけど…」


ガチャ、
「おーい、ガラクタ屋」

「何度も言わせるな!ガラクタ屋じゃなく、
天才発明家ヴォルフ様と呼べ……って、
Σそのでっかいクマはなんじゃああ!!」

Σ「クマ!?わあ!クマだ!生きてる!!」



ローが帰ってきたと思ったら
白いクマを連れて帰ってきた。
然も生捕なんてハイレベルな技を…!
さすがの私も生きたクマの捕獲は無理!
どうやって捌けばいいのかも分からない!



「ああ、こいつはベポ。迷子の白クマだ。
今日からここで暮らすから、よろしくな」

「あ、熊鍋じゃないんだ…」ホッ

Σ「やっぱ喰われるの俺!?」

Σ「家主であるワシの許可は!?」

「食わねえよ!まあ、いいじゃねェか。
たぶん、力仕事とかで役に立つぜ」

「あ、どうも、ベポと言います。
よく分からないまま連れてこられたんですけど……」

Σ「しかも喋ったあああああ!!」

Σ「しかも凄い丁寧!!」

「やかましいな、ガラクタ屋。
で、置いてくれるのか、どうなんだ」

「……ふん。お前が連れてきたってことは、ワケありか」

「まあな」

「とりあえずは、事情を聞かせてもらおうか」



それから一時間余り、
ヴォルフとベポはソファーで話をしていた。
ヴォルフはベポの過去や家族のことを、
ゆっくりと尋ねていた。

ベポは新世界っていう遠い海から
お兄さんを探しに島を出たらしく、
乗る船を間違えて北の海まで来てしまったらしい。
探しに行きたくても航海術が未熟だから
海に出たくても出れなかったみたい。
新世界っていう海は危険なんだって。

話が一区切りついたところで、
ヴォルフは台所へ4人分の紅茶を淹れに行った。
ベポも緊張が少しほぐれたみたいで
紅茶をフーフー言いながらすすって
カップを掴む両手がフワフワで可愛かった。



「おおよそのことは分かった」
と不意にヴォルフが切り出した。



「航海術を学んで、兄を探しに行きたい、か。
ふん、まったく、クマのくせに家族思いなことじゃ!
だがまあ、怪しいところはないし、
ちゃんとワシの質問にも答えた。
悪いやつということは、なさそうじゃ」

「だったら」

「ああ。ここに住まわせてやる。ただーし!
ワシらがギブ&テイクの関係だということを忘れるな!
ベポ!お前にもいろいろと働いてもらうぞ!
タダ飯食らいを認めるつもりはないからな!
さぼっていたらすぐに追い出される
というくらいのつもりで働けい!」

「ア、アイアーイ!!了解だ!
おれ、役に立てるよう、がんばるよ!!」



ベポは独特な返事をする。



「あとその子はだれ?」



ベポは私の方を見て首を傾げる。
可愛い…



「この子はアメリ。ローよりも先にワシと暮らしてる。」

「じゃあ先輩だ!よろしくアメリさん!」

「アメリでいいよ!わあ!手フワフワ!
これなら冬島でも困らないね!」

Σ「え!?毛皮にするの!?」

Σ「そんな事しないよ!?」



ベポは一回私に熊鍋にされると思ったから
自分を獲物だと思ってる人だと思われてしまった。
こんな可愛いクマ 誰が食べるもんですか。
私はベポが新しく暮らす事になって嬉しかった。

そして3人同じ部屋で寝る事になったけど、
ベッドは2つしかないから
ベポは床に布団を敷いて寝る事になった。
モフモフしているから床でも寒さは凌げそう。



「なあ、どうしてローさんは、
こんな親切にしてくれるんだ?」 



灯りを消してしばらく経つと、
小さな声でベポが尋ねてきた。

ローは「ただの気まぐれだ」としか言わず
ベポはその返事に納得したのか
スゥスゥと寝息を立て始めていた。

私もローの優しさを知っているから
何も言わずに眠った。











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