怪我人











「この島ってずっと雪降ってるな」

「暖かくなるのはまだ先だよ。
一年のうち四分の一しか暖かくならないからこの島は」

「マジかよ」

「俺 雪好きだなー」

「お前は身体中に毛があるからだろ」

「私も寒さは慣れっこだよ!雪もキラキラして好き!」



私たちはヴォルフが離れた場所にある研究室に篭ってる間
ビニールハウスの野菜を珍しく3人で収穫していた。
収穫出来る野菜が多くてダメになる前に
収穫してしまいたいからだ。
このビニールハウスはヴォルフの発明品のおかげで
温度調節が出来て色んな野菜を収穫する事が出来る。



「ローさーん、こっちの梅の実も
収穫しちゃっていいかなー?」

「やめろ馬鹿!梅は……
梅干しにするつもり、なんだろう?」

「え、そりゃそうだよ。梅干し美味いよなー、
あれとおにぎり合わせるともう最高……」

「うるせェ!いいか、金輪際、
俺の前で梅干しの話をするな!」

「ひいっ! わ、分かったよ、怒鳴るなよう……」 

「ベポいじめちゃダメだよ!
梅の実も収穫するよ!ヴォルフが好きなんだから!」

「こいつが勝手に落ち込んでんだろ。
あと梅の話すんなっつったよな?」

「梅干しじゃないもん!梅の実だもん!」

「屁理屈言ってんじゃねー……ーー!」



ローが何か言おうとした途端
大きな爆発音が聞こえて鳥がバサバサと
森から逃げるように飛び立った。



「何…今の音……」

「ローさん!」

「ああ!行くぞベポ!
アメリ!お前はココで待ってろ!」

「え!私も行く!」

「危ねえから待ってろ!」

「ッ…!」



ローが怖い顔で言うから、私は仕方なく立ち止まった。
でも危ないところになんでローとベポは良くて
私は行っちゃダメなの?私の方が森に何度も行って
迷子にならずに帰ってくるのに!

私はロー達が収穫した野菜を袋に詰めて
家に持って帰る事にした。
1人で持っていくには大変な量だけど
私の不思議な能力を使えば簡単だもん。
ローもベポもヴォルフもいないから
私は何キロもある野菜を軽々と運んだ。









ーーーーーー…*°




家に帰って野菜を食料庫に保管していると
ヴォルフが帰ってきた。



「ヴォルフ お帰りなさい」

「おう。ん?ローとベポは?」

「森で大きな爆発があったから見に行ってるよ」

Σ「なんじゃと!?アイツまた勝手な事を…!」

「ガラクタ屋っ!!」

Σ「わあ!」



噂をすればローがドアを蹴破るようなかたちで、
慌ただしく帰ってきた。



「ロー! お前また勝手に人を連れてきたのか……って、
なんじゃい!血塗れじゃぞ!!」

「二人とも重傷だ!ここでオペをやらせてくれ!」

「分かった!ワシは湯を沸かす!お前は治療に専念しろ!」 

Σ「え!?お兄ちゃん!?」

Σ「は!?」

「昨日森で狩りしてたお兄ちゃん達どうしたの…!?」

「何だよそういう事かよ…!アメリ下がってろ!」

「わ…私も手伝うよ!」

「なら俺の部屋から手術道具持ってきてくれ!」

「う、うん!」



私は部屋に戻ってローが元々持ち歩いていた
手術道具を急いで持って来た。

キャスケットのお兄ちゃんは脇腹に血が出てて
ペンギンのお兄ちゃんは腕が千切れていた。
私は思わず顔を背けたくなったけど、
ローが必死に助けようとしているから
私も力になりたいと思ってそこから離れなかった。



「ローさん、お、おれはどうすればいい?」

「先にキャスケット帽の腹の治療からやる!
お前はペンギン帽の止血を頼む!
腕のつけ根をひもで強く縛って、上に向けておけ!
それから、ちぎれた腕の方はビニール袋に入れて、
氷で冷やしておいてくれ!」

「アイアーイ!」

「わ、私 桶に氷入れてくる!」

「おい、ペンギン帽、意識はあるか!?」

「あ、ああ……」

「こいつの血液型は分かるか!?」

「分かる……X型だ……おれと一緒だから、
ちゃんと覚えてる……間違いない」

「X型か……」 

「ロー、ワシの血を使え!まごうことなきX型じゃ!」

「ガラクタ屋……」

「じいさん、こいつら二人は相当出血してる。
二人分の輸血をやるってことなら、
大量の血が必要になるんだ。
それをあんたひとりから抜いたら、最悪の場合──」

「バッカモン!それくらいは予想がついとる!
覚悟の上じゃ!なあに、心配するな。
これでも若い頃は、戦いで血を流したことも
数えきれんほどあるんじゃ。
小僧二人分の血を抜いた程度で死ぬほど、
ヤワな生き方はしとらんわい!!」

「……っ。分かった。あんたの血、使わせてもらう!」



2人を助けるには血が必要みたいで血液にも種類がある。
私は2人とは違うから助けてあげる事が出来なくて
ヴォルフが同じだから2人分血を抜く事になった。
私は怖くなって血を抜かれている腕と逆の手を
思わずギュッと握るとヴォルフも握り返してくれた。



「じいさん!大丈夫か!」

「心配……いらん!ちょこーっと、
眩暈がするくらいじゃ。軽い貧血程度のもんよ。
こんなジジイに気を遣っとる暇があるなら、
とっとと治療を済ませてしまえい!」

「ああ、分かった。それと、助かった」

「ふん、ギブ&テイクじゃ……この先、一週間、
家事はお前とベポにすべてやってもらうからな……」



そう言ってヴォルフは気だるそうに、
ソファーに背をもたせた。

その間もずっと私はヴォルフの手を握っていて
ローの手術を見ていた。











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