Heavy snow











「ふいー。まったく、いろいろあった一日じゃな。
老体には堪えるわい。しかしガキども!
本番は明日からじゃぞ!
ウチの仕事も外の仕事もきっちりこなすというのは、
そう楽なことじゃあない!油断してポカをしたら、
ゲンコツを喰らわせてやるからな!!」



バギーに乗り込んだ帰り道
いつものヴォルフに戻って空気は明るく、
けどどこか皆んな疲れた様子で返事もまばらだった。

ベポはヴォルフに町に住まないのかと聞いたけど、
ヴォルフは実験もあるし今の暮らしに満足してるらしい。
そして改めてヴォルフにお礼を言っていた。
シャチとペンギンはこれで追われる怖さが無くなった。
とても幸せで嬉しそうだった。
私も勿論そんな2人を見て嬉しかった。

でも、私の中では終わってない過去に
今でも震えが止まらなくて必死に隠してた。
皆んな安心して嬉しそうな空気だったから。










ーーーーーー…*°




家に帰ってから6人で明るい食事を楽しんだ。
シャチとペンギンはいつも以上にうるさくて
相変わらずベポと肉を取り合う中、
いつものようにアメリの分をとってあげたが、
アメリの食事はあまり進んでいなかった。

今日 シャチの叔父と話していた時も
怖がってずっとベポの後ろにいたのを気付いてたが、
それは今でも引きずっているようだった。



「ローさん」

「なんだ?」



洗い物当番でベポと食器を洗っていると、
ベポからしんみりした様子で声をかけられた。



「アメリ、過去に何があったか聞いちゃダメかな…」



アメリはちょうど風呂に入っている。
そのタイミングを見計らって声を掛けていたんだろう。



「何でだ?」

「シャチの叔父さんに会ってから、
ずっとアメリ元気ないんだよ。
ずっと怯えててさ、怯え方がシャチ達と同じなんだ。
だからアメリも2人みたいにさ、
悪い大人と関わって、今でも怯えてんじゃないかな…
話を聞いたところで、解決出来るか分からないけど、
辛い思いをし続けるアメリは見たくないよ…」



シャチやペンギンには悪いが、
アメリの場合は2人とは比べ物にならない国の話だ。
自分を産んだ理不尽な親のせいで
優しい人達を殺されてしまい、
実の子どものに対しても酷い扱いをするクズだが、
ヴォルフのように罰を与える事は難しい。

王族に何かしたら政府が絡んでくる。
アメリは逃げた自分を追いかけにくるかも
そう思って今も怯えているのかもしれない。

でも、それをもう1人で抱え込むのは違う。
普段は魚の骨も取るのが面倒で甘えるくせに
肝心なところは甘えてこない捻くれ者も困る。
解決にはならないが、俺たちに共有して欲しかった。

一緒に暮らしてて分かる。
アイツらならアメリを悲しませたりはしない。
だから俺はアメリにアイツらにも話してもらう事にした。










「ど…どうしたの?」



寝る支度を済ませたアメリが部屋に入ると、
俺たちは各々ベッドや布団に座って待ち構えていた。



「アメリ ここ座れ。」

「え、なになに?ゲームするの?
明日から町に通うんだから寝たほうが、」

「お前の話を聞いた後にな。」

「え…」

「アメリ…俺 今日ずっと心配だったんだ…
シャチの叔父さんの事怖がってたけど、
怯え方がまるで自分も経験したような感じだったから、」

「俺たちは今日ヴォルフのおかげで
もう怖いもんは無いけどさ、
アメリが1人で抱えてるのなら、
何が出来るか分からないけど助けてやりたいんだ。」



ベポに続けてペンギンも伝える。
やっぱコイツらもアメリの事には気付いてたらしい。
話す時間を作ると言ったらアッサリと了承した。



「や、やだな…凄い顔で怒鳴ってたから
それが怖くてベポに隠れてただけだよ…」

「アメリ、コイツらにも話せよ。
コイツらは俺みたいにならないと思うから。」

「……」



W俺みたいにWとは、
俺がアメリから聞いた時、
コイツにも責任を押し付けて
まだ子どものコイツに
酷い言葉をたくさん投げた事だ。

でもコイツらはそうはならない。
優しい奴らだ。驚きはするだろうが、
きっとアメリの味方をしてくれる。
俺のせいで話すのが怖いだろうけど、
それを乗り越えて欲しいという意味でもあった。



「……ロー…私、怖いよ…」

「……」

「町に行くのもまだ怖いよ……」






     また優しい人が殺されるんじゃないかって


















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