作戦会議2










「でだ、じいさん。戦うと決まったら、
確認しなくちゃいけないことがいくつもある。
まず、バッカが食ったWデロデロの実Wってのは
どんなもんなんだ?」

「食った者を『溶解人間』にする。
それが、Wデロデロの実Wの能力じゃ。
バッカは自分の身体を、自由に液体にすることができる。
ゆえに、通常の攻撃ではあいつにダメージを与えられん」

「なるほどな、それで、俺の攻撃はすり抜けたってわけか」

「それともうひとつ。バッカは、
他人を操る光線を眼から撃ち出すことができる」

「光線?催眠術みたいなもんか?」

「正確に言えば、『あらゆるものを溶かしてしまう』
光線じゃ。お前たちは、町の連中が襲ってきたと言ったな。
その前に、バッカは光線を撃っていなかったか?」

「撃ってた。おれたちはよけられたけど、
周りにいた人たちはまともにそれを喰らってた」

「W溶解波(デロリンパ)W
──バッカの光線を浴びた者は、心を溶かされ、
やつの意のままに操られる。極端な話、
バッカが死ねと命じれば、操られている人間は
自分の胸にナイフを突き立てることになるじゃろう」

「はっ。悪党には似合いの能力だな」

「おそらく、今頃バッカは町中の人に光線を浴びせ、
思い通りに動く人形に変えているはずじゃ。
……だからこそワシらは急いで行動を起こさねばいかん」

「ん? バッカが町から逃げる前にってことか?」

「違う。バッカたちは休息とW偉大なる航路Wに
向かう準備のためにしばらくはこの島に滞在するじゃろう。
問題は、町の人たちの方なんじゃ。……バッカの
W溶解波Wを喰らった人間は、二十四時間で死亡する。」

Σ「なっ…!」

Σ「時間制限あるの!?」

「Wデロデロの実Wの能力は、心という、
形のないものでも溶かすことができる。
そして、操られた状態から二十四時間で、
完全に心は溶けきってしまう。
そうなればもう、何をしても助からん」



心を溶かすってどういう事?
ずっと操られたまんまって事なの?
そんなの絶対止めなきゃ。
私たちを受け入れてくれた大切な町の人達なのに。



「どうしたらWデロデロの実Wの能力は解除できる?」

「睡眠以外で、バッカが気を失えば能力は解除される。
だが、そう上手く気絶させることができるとも限らん。
……最初から奴を殺すつもりで戦うべきなんじゃろうな」



ヴォルフは口では言うけど表情は求めてないものだった。
いつかバッカが悪い奴でもヴォルフにとっては
ただ一人の血の繋がった子どもなんだ。



「町での戦いからもう四時間くらい経ってる。
あと、二十時間……」

「その間に町へ戻って、襲ってくる町の人達を
なんとかしながら、バッカを倒す…
……かなり厳しいよな……」



ベポとペンギンとシャチも、困惑している。
私もそうだ、町の人達 大切な人達が襲われるのは
今回が初めてでは無く2回目だ。
そしてローも同じだと思ってチラリと手元を見ると、
ローの指先が微かに震えていた。
思い出してるんだ、きっと自分の国の事を……。
皆んなどうしたら良いか考えていると、



「屋根に上るぞ、ついてこい」



そう言って私たちは屋根の上に上がった。
天気は不穏な雨雲が近づいているようだった。
私たちは余計に不安に押し寄せられていると、
こういう時ヴォルフは頼りになった。



「町の状況を探るぞ」

「あん?」

「ワシの発明した高精度望遠鏡
『ドコマデモミエールくん』なら、
ここから町の様子を見ることくらい朝飯前じゃ。
二台あるから、ロー、お前も一緒に見ろ」



そう言って相変わらず単純でダサいネーミングセンスの
発明品をローに渡して2人は町の様子を見ると、
町の人達は武器を手に彷徨っているらしい。



「じいさん、バッカのやつはどこにいる」

「神殿、じゃな。お前たちも行ったことがあるだろう。
町の中心にある、海の神を祀った神殿に、海賊たちはいる」

「あそこか。なるほど、
町であれ以上に広い場所はないからな」



傷付けたくない町の人達を突破して
神殿に近づかなきゃいけなくなった。
なるべく体力を削らずに行きたいのに。



「お前ら、なんか、案はあるか?」

「ごめん、なんも思いつかない……
俺がもう少し頭のいい白クマだったらよかったのに……
こんな役立たず、消えた方がいいのかな……」

「変なところで落ちこむな、ベポ!
アイディアがないのは俺も同じだ」



聞いたローは凹むベポを宥めた。
はあーっと、全員が大きなため息をついて
私含めて皆んなどうしたら良いか分からなかった。

でもふと横を見ると、ヴォルフだけは
妙に自信を感じさせる笑みを浮かべていた。



「思いついたわい」、ヴォルフがポツリとつぶやく。

「何をだ?」

「そうじゃ!この手があったわ!イケる!
これはイケるぞ、お前たち、すぐに準備をせい!
ワシの研究所へ向かうぞっ!!
バッカのやつに、一泡吹かせてやるわいっ!!」



ヴォルフは生き生きとし始めて、
私たちを家から少し離れた研究所へ連れていった。













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