別れの時
▽
出航の日の朝
カーテンを開けてみると、雪は降っておらず、
空には太陽が見えている。
海へ出るには、最高の日だった。
出航の際には、町の人たちが
見送りに来てくれることになっていた。
私たちはこれまで通りに朝食を食べ、全員で家を出た。
研究所に行ってポーラータング号に乗りこみ、
ヴォルフに操縦の仕方を教わりながら、
船をプレジャータウンの港につけた。
一度船から降りて、町の人たちと最後の別れを済ませた。
意外にも、一番泣いていたのはラッドだった。
「うおおおおおんっ!!
あのチビどもがこんなにたくましくなり、
そして大いなる冒険へ繰り出そうとしている……!
海賊だろうがなんだろうがかまわん!私は今!
猛烈に感動しているうううううっ!!」
ラッドがこんなに涙もろい人だなんて全然知らなかった。
それとトッタが泣きながらあの時のことを謝ってくれた。
今でも君が好きだと言うと
背中でローが睨んでるのが分かった。
他にも酒屋のマーチやウェイターのレクや
花屋のアレンも好きだと言ってくれて
こんなに愛されていた事を知った。
この町には知らないことが、
本当はまだまだあったんだと思う。
楽しいことも笑えることも、教わることも、
話すべきこともたくさんあるんだ。でも、
私たちは海に出る。広い広い大海原に。
「お前ら、そろそろ行くぞ」
ローに言われて私はヴォルフに強く抱き着いた。
「アメリ…」
「なんじゃい…行くのが怖くなったのか?」
「ううん、そんなわけ無い。ワクワクしてる。
でも、やっぱり寂しいんだ。
ヴォルフに教わった事沢山あって、
一緒に暮らした時間は宝物だから……」
「そうか…、ほらロー達が待っとるぞ。
置いていかれる前に早く乗れ。」
「うん…」
「……じゃあな、じいさん。世話になった。
せいぜい長生きしろよ。」
「あと100年生きてね!!」
「そのつもりじゃ!」
私たちは船のデッキに乗り込んだ。
「ローさん、船、動かすよ」、と
ベポが後ろから呼びかけてくる。
「ああ」とローが返事をすると、
ゆっくりと潜水艦が動き出す。
陸地から遠ざかろうとする。
その時、ヴォルフが、笑った。
「ロー!アメリ!ペンギン!シャチ!ベポ!
──これまで、楽しかったぞ」
当たり前のように、ヴォルフはそう言った。
私が返事を返そうとヴォルフの名前を言おうとした時、
「ヴォルフっ!!」
ローが初めて、ヴォルフの名前を呼んだ。
「ロー、お前……」
「寂しくないわけがねえだろうがっ!あんただよ!
他の誰でもなく、あんたと別れるのが寂しくないなんて
そんなことあるわけがねえだろうがっ!!」
ローが大声で叫び出す。
「ありがとう、ヴォルフっ!!
ずっと、ずっと優しくしてくれて、ありがとうっ!!
離れてても!会えなくなっても!
あんたは、おれの最高の友達だっ」
最後の方は、声がかすれて目からは涙を流して
そんなローを見て私もまた涙が溢れ出てきた。
鼻水も出てきた。でもそんな見栄えなんか関係なかった。
「ヴォルフありがとう!俺、頑張るよ!!」
「また無茶な実験して怪我すんなよ!!」
「アンタと暮らした日々は幸せだった!!」
「ヴォルフ!どんな私でも受け止めてくれてありがとう!
私、強くなったよ!これからも、
どんな事でも皆んなで乗り越えて行くから
楽しみにしててね!!」
「行ってこい、ガキどもっ!世界を知ってこい!
自由を知ってこい!……ワシは……
お前たちと過ごせて!幸せだったっ」
ヴォルフが右手を突き上げた。
それに応えてに私たちも右手を高く上げた。
そして港に背を向ける。もう、後ろは振り向かない。
「ベポ、操縦室に、入ってくれ」
「……うん」
船が再び動き出す。すぐに、陸地が見えなくなっていく。
もう、私たちは海賊なんだ。
この先は、自分たちの力で生きて、
自分たちの求めるものを手にしていかなければいけない。
ローとシャチとペンギンと一緒に操縦室に入った時、
「ハートだ」
「え?」
「俺たちは、ハートの海賊団だっ」
ローがそう言うと私たちは満面の笑みを浮かべた。
反対する人なんて誰一人いない。
私たちはこの町で沢山の愛情を受けた。
そしてこれからもその愛を仲間達と大事にしていく。
私たちは「「「「おお!!」」」」と返事をして
また拳を高く突き上げた。
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>出航の日の朝
カーテンを開けてみると、雪は降っておらず、
空には太陽が見えている。
海へ出るには、最高の日だった。
出航の際には、町の人たちが
見送りに来てくれることになっていた。
私たちはこれまで通りに朝食を食べ、全員で家を出た。
研究所に行ってポーラータング号に乗りこみ、
ヴォルフに操縦の仕方を教わりながら、
船をプレジャータウンの港につけた。
一度船から降りて、町の人たちと最後の別れを済ませた。
意外にも、一番泣いていたのはラッドだった。
「うおおおおおんっ!!
あのチビどもがこんなにたくましくなり、
そして大いなる冒険へ繰り出そうとしている……!
海賊だろうがなんだろうがかまわん!私は今!
猛烈に感動しているうううううっ!!」
ラッドがこんなに涙もろい人だなんて全然知らなかった。
それとトッタが泣きながらあの時のことを謝ってくれた。
今でも君が好きだと言うと
背中でローが睨んでるのが分かった。
他にも酒屋のマーチやウェイターのレクや
花屋のアレンも好きだと言ってくれて
こんなに愛されていた事を知った。
この町には知らないことが、
本当はまだまだあったんだと思う。
楽しいことも笑えることも、教わることも、
話すべきこともたくさんあるんだ。でも、
私たちは海に出る。広い広い大海原に。
「お前ら、そろそろ行くぞ」
ローに言われて私はヴォルフに強く抱き着いた。
「アメリ…」
「なんじゃい…行くのが怖くなったのか?」
「ううん、そんなわけ無い。ワクワクしてる。
でも、やっぱり寂しいんだ。
ヴォルフに教わった事沢山あって、
一緒に暮らした時間は宝物だから……」
「そうか…、ほらロー達が待っとるぞ。
置いていかれる前に早く乗れ。」
「うん…」
「……じゃあな、じいさん。世話になった。
せいぜい長生きしろよ。」
「あと100年生きてね!!」
「そのつもりじゃ!」
私たちは船のデッキに乗り込んだ。
「ローさん、船、動かすよ」、と
ベポが後ろから呼びかけてくる。
「ああ」とローが返事をすると、
ゆっくりと潜水艦が動き出す。
陸地から遠ざかろうとする。
その時、ヴォルフが、笑った。
「ロー!アメリ!ペンギン!シャチ!ベポ!
──これまで、楽しかったぞ」
当たり前のように、ヴォルフはそう言った。
私が返事を返そうとヴォルフの名前を言おうとした時、
「ヴォルフっ!!」
ローが初めて、ヴォルフの名前を呼んだ。
「ロー、お前……」
「寂しくないわけがねえだろうがっ!あんただよ!
他の誰でもなく、あんたと別れるのが寂しくないなんて
そんなことあるわけがねえだろうがっ!!」
ローが大声で叫び出す。
「ありがとう、ヴォルフっ!!
ずっと、ずっと優しくしてくれて、ありがとうっ!!
離れてても!会えなくなっても!
あんたは、おれの最高の友達だっ」
最後の方は、声がかすれて目からは涙を流して
そんなローを見て私もまた涙が溢れ出てきた。
鼻水も出てきた。でもそんな見栄えなんか関係なかった。
「ヴォルフありがとう!俺、頑張るよ!!」
「また無茶な実験して怪我すんなよ!!」
「アンタと暮らした日々は幸せだった!!」
「ヴォルフ!どんな私でも受け止めてくれてありがとう!
私、強くなったよ!これからも、
どんな事でも皆んなで乗り越えて行くから
楽しみにしててね!!」
「行ってこい、ガキどもっ!世界を知ってこい!
自由を知ってこい!……ワシは……
お前たちと過ごせて!幸せだったっ」
ヴォルフが右手を突き上げた。
それに応えてに私たちも右手を高く上げた。
そして港に背を向ける。もう、後ろは振り向かない。
「ベポ、操縦室に、入ってくれ」
「……うん」
船が再び動き出す。すぐに、陸地が見えなくなっていく。
もう、私たちは海賊なんだ。
この先は、自分たちの力で生きて、
自分たちの求めるものを手にしていかなければいけない。
ローとシャチとペンギンと一緒に操縦室に入った時、
「ハートだ」
「え?」
「俺たちは、ハートの海賊団だっ」
ローがそう言うと私たちは満面の笑みを浮かべた。
反対する人なんて誰一人いない。
私たちはこの町で沢山の愛情を受けた。
そしてこれからもその愛を仲間達と大事にしていく。
私たちは「「「「おお!!」」」」と返事をして
また拳を高く突き上げた。
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