新しい朝











「おはよう」



ローは早起きだった。

ヴォルフより私の方が早起きなのに抜かされちゃった。
私はローと一緒に朝ごはんを作る事にした。
食材の保管場所や火の扱い方も説明しながら。
白米を炊いて保存していた魚を焼いて
温かい汁物を作って出来た頃にはヴォルフもリビングに来た。



「ん?2人とも早起きじゃのう。」

「ねェ聞いて!ローの方が早起きだったの!
だから今日は一緒に朝ごはん作ったんだ!」

「そうか そうか。うちは毎食ご飯。
パンは食わん!覚えておけよ。」

「ガラクタ屋パン嫌いなのか?」

「モサモサするし硬くて食べづらいし、
食べてもすぐ腹が減る。」

「まぁ良いや俺もあんま好きじゃねえし。」

「そうなの?良かった!
私も今はお米の方が好き!」



私は王宮では毎食パンでお昼は小麦料理が多かったから
初めはつぶつぶした柔らかい食感が苦手だったけど、
今ではお米の甘さと塩を沢山振った焼き魚との
相性が良くて腹持ちの良さも分かるようになった。

ローがパン嫌いなのは意外だったけど、
ヴォルフと気が合うようで良かったな。



「今日 アメリは家事をやっててくれ。
ローはワシと発明品の組み立てと畑仕事じゃ。」

「分かった。狩りはどうする?」

「頼んだ。」

「なぁガラクタ屋 剣とか持ってないか?」

「剣?どうするんだソレを」

「剣術を学んでたんだけど、
それを忘れないようにしたい。」

「分かった。ワシの倉庫にあるから貸してやる。」



ローはヴォルフから剣を借りて
その日から空いた時間は素振りしたり
剣術を磨くようになっていた。

私は家事と夕方には狩りに出て、
1人で行動する事が多くなっていた。
それでも食卓には3人テーブルを囲んで
私が作ったご飯を美味しいって言ってくれた。

ローはヴォルフの事をガラクタ屋なんて
変な呼び方をしているけど、
畑にある[ベジベジくん七号]っていう
ダサいネーミングの温室栽培が出来る発明品は
ヴォルフには言わないけど凄い発明品だって
2人でいる時に私に教えてくれた。



「この辺は冬島だから大発明だよ
私のいた所なんてずっと夜みたいに暗くて…」

「お前 北の海出身なのか。」

「うん。ほぼ1年中雪が降っていて、
山に囲まれていて そこでも狩りを学んでいたの」

「それでガキのくせに腕が良いのか」

Σ「ローだって子どもなのに!」

「俺は海賊に教わってたからな。
狙撃も訓練したけど反動が強くて大変だった。」

「それは私も同じ。ヴォルフにも教わって
1人で狩りにいくようになったのは本当に最近だよ。
発明品は全然興味ないけど、森を歩くのは大好き!」

「……お前、いつからここに来たんだ?」

「もう1年くらいになるよ。」

「そうなのか 町には出た事あるのか…?」

「初めて着いたのが町の港だったから…見た事はあるけど、
でも今は買い出しはヴォルフだけで、
私は畑仕事とか家のことやってて町には出てないよ。」

「そっか…」

「気になるの?」

Σ「い、いや!むしろ行きたくねえ!」

「ヴォルフに言えば連れてってもらえると思うよ。
私は人見知りだからあんまり行きたくないけど…」



町の皆んなは凄く優しくて
身寄りのない私に対して寄り添ってくれた。
でも私にはその優しさが怖くて
自分に関わったらまた、私のせいで
失うことになってしまうのが嫌だった。

だからといってそれをヴォルフには伝えてないけど、
ヴォルフは私を町に連れ出す事はなかった。
それもあってここは居心地が良いんだ。



「人見知り?お前が?」

「え!?人見知りだよ!」

「初対面からスゲェ話しかけて来ただろお前」

「それは…歳が近い子と話すのが久しぶりだったから」

「そっか、町に行かないって事は
この1年ヴォルフとしか話してないのか」

「うん。それでも全然平気だったけど、
ローが住むようになってもっと嬉しい!」

「…なら良かった」



ローは私とヴォルフの生活の事を考えてたのか
私が嬉しいっていうと少し照れたように俯いた。
ローは絶対優しい子なんだと思う。



「明日はヴォルフの好きなおにぎり作ろっか!」

「おにぎりが好きなのか?」

「うん!でも理由は味半分食べやすさ半分ってとこかな」

「なんとなく想像つく…」

「だからもう寝よ!
でもほんとに私が上で良いの?」

「ああ。ハシゴ登るのめんどくさい」

「ほんのちょっとなのに…」



ヴォルフとローが作ってくれたベッドは
元々あったベットに新しくベッドを上につけた
2段ベットになっていて、
しっかりした木造の短いハシゴがかかっている。
身体を起こしても天井まで余裕はあるから
そんなに圧迫感はなく、
それでも天井までの距離が短くてなって
なんだか新鮮でワクワクした。












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