信仰









千冬の次は自分なのかと焦っていると
半間がタケミチの前まで来て見下ろす。



「へー お前が花垣?前に出ろ!」

「ッ…!(汗)」

「テメー…この前の…殺されに来たのか?」

「これより"証人喚問"を始める!」

「(証人喚問?何が始まるんだ!?(汗))」

「東卍の創設メンバーで壱番隊隊長 場地圭介!
こいつが東卍を捨てて芭流覇羅に入りたいと言っている!」



半間が声を張って周りに言うと
東卍の幹部が入る事にざわついている。
力にはなる。然し、
スパイの可能性もあるから簡単に認められない。
そこで用意されたのがタケミチだった。



「花垣タケミチ」

「は、はい!(汗)」

「ここにいる場地は東卍の集会で、
皆んなの前で何を話した?」

「……えっと、芭流覇羅に行く。
東卍は敵だって。そう言ってました。」

「……一虎ぁどう思う?」

「証人喚問も良いんじゃないっスか?もう仕上げで。」

「仕上げって…(汗)」

「よし。最後だ場地。"神"(マイキー)への暴挙。
それでお前を芭流覇羅に入る事を認める。この女をヤれ。」

「!」

「え!?(汗)」



半間はそう言うと瀬里奈の背中を押して
場地の前に出させた。

初めて見せた場地の動揺。
瀬里奈は何となく分かってたのか
俯いて考えている様子だった。



「え、ちょっと!そんな事しないですよね場地くん!
瀬里奈さんはマイキー君の大切な人っスよ!?(汗)」

「……大勢の前でヤる趣味持ってねえんだけど。」

「お!反論してきたな?
でもそれが出来ねえとお前は認められない。
これから東卍をぶっ潰すんだ。当然だろ?」

「……」

「場地くん!(汗)」

「タケミっち 良いよ。」

「瀬里奈さん!」

「どうせ場地がやるやらないでも
此処に連れてこられた時点で分かってた。
だからどっちでも良いよ。」



瀬里奈は羽織っていたカーディガンを脱ぎ捨てた。
周りから「おお!」と下品な歓声が上がる。



「瀬里奈……」

「何怖気づいてんの?場地。
マイキーの大切なモノを壊す?
そんなの、アンタ達慣れっこでしょ?」

「!」



瀬里奈がそう言うと場地は瀬里奈を殴り
体重が軽い瀬里奈は吹き飛んで
タケミチと一虎がいる方へ倒れた。



「瀬里奈さん!(汗)」

「ッ……ゲホッゲホッ」

「ハァ…ハァ……」

「……出来ねえの?場地。」

「……」



半間に煽られ場地が歩み寄って来ると
タケミチは瀬里奈を庇って前に出る。



「どけ。てめェも殺すゾ?」

「どけないっスよ場地さん…
瀬里奈さん…女を殴って……
クソみたいな事やってんじゃねェよ!(汗)」



タケミチは場地相手でも手足が震えながら
瀬里奈を庇って立っていた。



「……もう良いんじゃねぇスか?
マイキーの大事なモン殴り飛ばしたんだし。
場地は戦力にもなるし、俺がいない間の東卍にも詳しい。
場地がスパイだったとしても、
芭流覇羅に入れる価値はありますよ。」

「……」

「良いんだな?場地。」

「…」

「俺たちは東卍を潰す。そしてマイキーを殺す。」

「……ああ、力を貸すよ。一虎。」



場地はそう言って一虎に頭を下げた。



「よーし、本日をもって!
場地圭介を芭流覇羅の一員とする!!」



半間がそう言うと歓声が上がった。

タケミチはマイキーと場地を取り戻す約束をしていた。
だからこの状況に焦っている。



「ちょっと待ってください!
場地君はマイキー君達と東卍創設メンバーなんスよね!?
どうして裏切れるんスか!?(汗)」

「東卍の創設メンバーだから、東卍を裏切らない?
冗談言うなよ。コイツも創設メンバーの一人だぜ?」



そう言って場地は一虎を見た。



「え?」

「一虎は東卍を恨んでんだよ。
忘れもしねェ 2003年の中1の夏だ。
俺たちはハシャいでた。
夏真っ只中なのに少し肌寒い日だった。」



場地は淡々とあの日の事を話し始めて
瀬里奈は俯いて顔は見えないが
拳を強く握り締めていて何かに耐えていた。

小さく震える小さな身体は
誰の目にも止まらぬまま
あの夏の夜の事を話されて
今にも殺してやりたい衝動を
必死に抑え込んでいた。



「マイキー 一虎 俺。あの日俺らは決別した。
一虎が庇ってくれたから、俺は年少入らずに済んだ。
俺は一虎が出所するのを待ってたんだ。」

「良いね 場地。そう言う事ならマジで大歓迎だ。
ホレ これが芭流覇羅の"特攻服"だ。
花垣!マイキーに伝えろ!!」

「1週間後の10月31日
廃車場にて芭流覇羅vs.東卍決戦だ!」



そう言ってタケミチは千冬と
瀬里奈を連れて出ていけと言われたが、
瀬里奈はゆっくりと身体を起こす。


「瀬里奈さん…?(汗)」



瀬里奈はタケミっちの言葉なんか耳に入らず
半間や場地の方へと足を進めた。



「あ?そんなに場地とヤりたいのか?(笑)」



半間がそう言うと周りから大きな笑い声が響く。



「瀬里奈」



場地が瀬里奈の名前を呼ぶと
長い髪の隙間からしっかりと
殺意と呼ぶに相応しい瀬里奈の目が映った。
ゾクリと場地の背筋に寒気が通ると
瀬里奈は場地の横のゲームにかかった
自分のカーディガンを手に取った。



「煙草代バカにならないんだよ。」



瀬里奈はそう言ってカーディガンの中身をチェックして
一虎の横を通って千冬の方に向かった。



「千冬 立てる?というか立って。帰るよ。」

「ッ……」

「瀬里奈さん…(汗)」



瀬里奈はそのまま千冬に肩を貸して
ゲームセンターを出て行った。
















ゲームセンターから離れた近くの病院に千冬を置いて
瀬里奈とタケミっちは帰り道を歩く
そして瀬里奈は煙草を取り出して火をつけた。



「瀬里奈さん、ホントに病院行かなくていいんスか?(汗)」

「ん?一発殴られただけだし。」

「だけって……ヒドイっスよ場地君…」

「でも目の前でヤられないだけマシだよ。
そのまま回されてたかもしれないし。」

「そんな…(汗)」

「タケミっち。アタシがいた事
マイキーに言わないでくれない?
もちろん場地に殴られた事も。」

Σ「なんで…!(汗)」

「そしたら二度と場地が東卍に戻れなくなるし、
その場にいたタケミっちも殺されるよ?」

「え…(汗)」ドキリ…

「千冬にはさっき言っといた。」

「でも…」

「アタシも芭流覇羅と関わらないって
約束したばっかなのに破ったから怒られる。
皆んなで仲良く怒られるなら
黙っていた方が平和的でしょ?」

「……分かりました。あの、
瀬里奈さんは場地君達の話知ってたんスね…」



タケミっちから言われて瀬里奈は足を止めた。



「知ってるも何もその場にいたよ。」

「え?」

「アタシとマイキー付き合ったの2年前って言ったよね?」

「あ…はい…」

「それよりも前からマイキーの家には居たから」

「え?」

「真一郎はアタシの大切な人なんだ。」



瀬里奈がそう言うとタケミっちの心臓が高鳴った。



「高校上がったら…つまり今頃は
アタシは真一郎のモノになるはずだった。
そう約束して直ぐ、真一郎は一虎に殺された。
喪失感を埋めようにも
時々思い出せば考えるのをやめたくなる…
アタシが今マイキーの側にいるのは
同じ人を失ってそれを埋めたかったから。」

「………(汗)」

「…ねェ ヒナちゃんが誰かに殺されたら、
タケミっちはその人を許せる?」

「え……」ドキンッ



瀬里奈の言葉にタケミっちは動揺する。
だってヒナは何度も未来で殺されていて
目の前で下半身を潰されて爆発に巻き込まれて死んだ。

それを見て自分はどう答えればいいか
言葉が浮かばずに黙っていた。



「……そんな事、想像したくないよね?」



タケミっちの表情を見て察して
瀬里奈はいつもと変わらない
冷たくて生温いような
自分を見る目が深く黒いのに
口元は笑って言っていた。