傷跡
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タケミっちはその日の夜は寝れなかった。
マイキーとの約束まで残り1週間
然も場地は初めから一虎の仲間だった。
不可能に近いこの状況に
約束を果たせなかったら殺される条件。
怖いし考えても何も浮かばないし、
それでも何か方法を見つけないといけなくて
考えているうちに朝日がカーテンから伸びていた。
寝れなかったのに眠い瞼で
ずーっと考えていた疲労でボーッとしていると、
「おい!こっち来い!」
「へ?」
「まぁ座れよ」
めちゃくちゃ怪我している奴がブランコに座り
タケミっちに声を掛けていて
やべー奴だと思ってタケミっち怖くなった。
「(シカトシカト…(汗))」
「昨日はお互い災難だったな」
「え…?昨日?(汗)」
「場地さんカッケーだろ?」
「……場地君の、お友達?(汗)」
「東京卍會壱番隊副隊長 松野千冬だ。」
「場地君にボコボコにされてた人じゃん!(汗)」
「お前もな。」
「うっ(汗)」
「場地さんに感謝しろよ。」
「え!?な…なんで俺が!(汗)」
「お前は任命式をぶち壊した。
場地さんが殴んなかったら、
お前もっとヒデェ目に遭ってたよ。」
「!」
「俺らをボコったのは芭流覇羅に入る為。
でも、場地さんが芭流覇羅に入ったのは
東卍潰す為じゃないよ。」
「え!?(汗)」
「場地さんの考えは他にある。稀咲だ。」
「………え!?(汗)」
「場地さんは稀咲の尻尾を掴むために
芭流覇羅に入ったんだ!」
千冬はそう言って立ち上がり、
タケミっちも千冬の後をついて行った。
「場地さんは芭流覇羅に入って、
稀咲を探ろうとしている。」
「それって…稀咲と芭流覇羅が
繋がってるって事ですか?(汗)」
「多分ね。場地さんが芭流覇羅内部から調べるなら
俺なりに外部から稀咲を調べてぇ。
協力してくれ、タケミっち!」
「え?」
「俺がなんとかしないと…
あの人…一人ですぐ暴走しちゃうから」
「稀咲の事を探ってるって…
場地君本人が言ってたんスか?(汗)」
「あ?言ってねえよ。
でも、分かるんだ。あの人の考えてる事はさ。
ずっとそばで見てたからな!」
「…」
「俺のやりてェ事はシンプルだ。
場地さんの力になりてぇ。タケミっちお前は?」
「え?(汗)」
「参番隊任命式…あんなヤベェ状況で
お前は稀咲をぶん殴った。
お前は一体…何がしてェんだ?」
千冬に聞かれてこの時は答えられなかった。
言葉が詰まると千冬は追求しなかった。
そしてもう一つ気になる点を伝える。
「…これからマイキー君と会うけど、
瀬里奈さんからは聞いてるか?」
「…黙ってて欲しいって言われました。」
「場地さんも女に手ェ出すような人じゃないんだ。
言い訳かもしんねェけど…」
「瀬里奈さんが言ってた。殴られただけマシだって。
あのままだったらもっとヒドイ目にあってたと思う。
だからあれで良かったって言ってた…」
「……場地さんの事許してくれんのかな…」
「…それは分からない。
瀬里奈さんもマイキー君の兄貴の事知ってるから。」
タケミっちは瀬里奈が好きな人の代わりに
弟のマイキーを選んでいる事を千冬に言わなかった。
「俺らもケジメつけるべきじゃねェかな。」
「え!?(汗)」
「瀬里奈さん守れなかったのが
俺らにも責任あると思うんだよ。」
「(で、でもそれだとマイキー君がキレて
場地君二度と東卍に戻れなくなる……!(汗))
瀬里奈さんもマイキー君に怒られるって言ってたのに、
勝手にバラしていいんのかな…」
「マイキー君だから手は出さないでしょ。
殴られるのは俺たちだけで良いよ。」
「(俺も含まれてるよね…そりゃそうだけど(泣))」
千冬とタケミっちはマイキーのいる墓地へ行くと
マイキーは佐野と彫られた墓の前にしゃがんで
ドラケンが傘をさしていた。
でも驚いたのは、瀬里奈もいた事だ。
綺麗な横顔に合わない大きな湿布が貼られてて
もしかして自分から言ったのかと
タケミっちはドキドキしていた。
「…千冬もタケミっちもボロボロだね。」
「!」
「……瀬里奈さん…あの、」
「コレ?同級生に恨み買われて男使って殴られたの。」
「え?(汗)」
「でもマイキーに仕返しして貰ったから大丈夫だよ」
いつもの表情で瀬里奈が話していると
タケミっちと千冬は戸惑った。
正直に話そうとしたのに既に嘘を完結させてて
本当は殴っていない別の男を
マイキーにシメて貰ったと言う事だ。
瀬里奈は自分に貸しのある同級生を使って
適当な男を一人出してもらっていた。
一番の被害者は半殺しにされた男だろう。
全く身に覚えのない事で東卍の総長に殴られ続け
歯は欠けて鼻も折れて酷く顔面をボコボコにされた。
それを瀬里奈とその女は見ていただけだった。
「………マイキー君…あの、」
千冬は瀬里奈の事は何も言わずに
場地と一虎、そして真一郎の事と
芭流覇羅との決戦の日を伝えた。
「そっか 兄貴の話聞いたか…」
「かっけぇ人だったな真一郎君」
「うん」
「タケミっち 俺らも分かってんだ。
あの"事件"は今さらどうにもならねぇ。
場地も一虎もあんな事、したかった訳じゃねえ」
「そう…今さらしょうがねぇって 分かってる。
でも心がついてこねえ。
場地と一虎が盗もうとしたCB250T(バブ)は
兄貴が乗ってたバブなんだ。」
「え!!?(汗)」
「俺の誕生日にプレゼントしてくれるはずだった。
兄貴の形見のバブ 俺の今の愛機だ。」
CB250Tは雨に打たれて
黒い車体は艶々と輝いていた。
「あれから2年。場地の事は許した。でも、
知らなかったとしても、今さらどうにもなんなくても」
「……」
「兄貴を殺した一虎だけは、一生許せねえ。」
「……(汗)」ゾクッ
「場地が一虎側にいくのもな。
タケミっち…俺は場地を連れて来いと頼んだハズだぞ?
なんで壱番隊(バジんとこ)の副隊長がいて、
場地がいねえんだ?お前は何がしてえんだ?
タケミっち。マジで死にてえの?」
マイキーの目は本気だった。
さっき千冬に聞かれた時は答えられなかった。
自分のしたい事は初めは稀咲を東卍から追い出す為
場地を芭流覇羅から取り戻す事だった。
連れ戻せば稀咲をクビに出来ると思ったから。
そしたら未来が変わって、ヒナが助かるかもしれないって。
でも違った。
あの燃え盛る炎に包まれるヒナを見て決意したのは、
「マイキー君 俺は、東卍のトップになりたいです!!
いつかマイキー君にそれを認めさせてみせる!!
それが俺のしたい事です!」
そう言ってタケミっちと千冬は去っていった。
「ハハ バカだな…あいつ」
「…だな」
そういうマイキーの横顔は笑っていて
瀬里奈はジッとその横顔を柔らかい表情で見ていた。
すると視線に気付いてマイキーが振り向く。
「瀬里奈 まだ頬痛む?」
「ううん でも雨で湿って気持ち悪いからハズそうかな」
「女も充分脅したから大丈夫だとは思うけど
またあったら絶対言えよ?」
「うん ありがとう」
瀬里奈は湿布を外すと青あざが出来ていて痛々しかった。
本当は女も後悔するくらい痛めつけたかったが、
ドラケンに止められて我慢した。
マイキーは瀬里奈の軽く頬をさする。
その表情は無表情なのにどこか優しくて
二人の邪魔にならないようドラケンは先に行ってしまった。
「マイキー」
「ん?」
「さっき安心した。
一虎を許さないって言ってくれて。」
瀬里奈はそう言いながら目を閉じて
マイキーの冷たい手に自分の手を重ねて
しっとりとした雨の中で彼の微かな温度を感じた。
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