歪んだ愛
▽
その日の夜は沢山の愛を受けた。
イザナに蹴られた青紫に染まった手の甲は
湿布を貼り、その場所含めた全てに唇を落として
所有物だと分かるように跡を付けた。
何度も何度も確かめるように身体を重ねて
瀬里奈もそれに応えるように何度も求めた。
そして寝る支度をするとマイキーは
ボロボロの愛着のあるタオルを握り締めて
瀬里奈をふわりと抱き締めた。
それを受け入れるように
マイキーのパジャマを握り締めて
二人はそのまま深い眠りについた。
お互い離さないように抱き締め合った状態で朝を迎えると
マイキーはお爺ちゃんに起こされて
ずっとお気に入りのタオルケットを握りしめたまま
朝ごはんを食べに行った。
瀬里奈はまだ布団の中にこもっていると
ドラケンの声がしてウトウトとした意識が
柔らかく戻っていった。
ガチャッ
「わぁ マイキー君の部屋!!
かっけー!なんか大人っぽすぎません?(汗)」
「まぁ ほぼ真一郎君のモノだからな」
「俺のモノなんてベッドぐらいだよ」のそっ
「マイキーくん!!」
「朝から大きい声出すなよ(怒)
瀬里奈、タケミっち達来てるんだから起きて。」
「んー…二度寝したかったのに…」
Σ「え!?瀬里奈さん!?」
「気づかなかったのか(汗)」
「な、なんでマイキーくんの家に朝から…!」
「だって泊まったし」
Σ「泊まった!?まだ学生なのに!?」
「不良が何言ってんの?怒る人いないし。
ふわぁ…顔洗ってくるー」
「うん。」
「あれ?瀬里奈さん、その湿布どうしたんスか?」
布団から出るとタケミっちは直ぐに
瀬里奈の手のひらにある湿布に目が止まった。
「……」
「あー…昨日、」
「天竺の総長 黒川イザナが瀬里奈を襲った。」
Σ「え!?(汗)
Σ「は!?(汗)」
また火傷したとか嘘を言おうとした瀬里奈に対して
遮るように先にマイキーが言うと
タケミっちとドラケンが同時に声を上げる。
「襲われてないよ。
煙草吸おうとしたら蹴られただけ。
不良なのに皆んな意外と煙草嫌がる人多いよね」
「そ、それだけって…大丈夫だったんですか?(汗)」
「うん。大丈夫。」
「でも首元とかにも赤いアザが…」
「あ…これは違う違う。愛情によるものだから。」
瀬里奈はそう言うと部屋から出ていった。
「愛情によるものって………あ"!!///(汗)」
タケミっちは気付いて顔を真っ赤にして口を塞いだ。
「瀬里奈で妄想すんなよ」ギロ…
Σ「しませんよ!!///(汗)
(独占力強過ぎだろマイキーくん!)」
瀬里奈は顔と歯を洗って軽く髪を梳かして整えた。
そしてマイキーの部屋に戻ろうとすると
リビングでエマがお茶を入れていた。
「あれ?瀬里奈泊まってたの?
なら朝ごはんちゃんと作ったのに!」
「どうせ食べれないから大丈夫だよ」
「食べなさい!もうマイキーは瀬里奈に甘いんだから!」
「………ホントだよね」
瀬里奈はしみじみと言うと
エマも何かあったのかとジッと見つめると
直ぐにハッとして深くため息を吐いた。
「瀬里奈、今日首詰まった服着なよ?」
「……そんなにヤバい?」
「鏡見てないの?」
「顔洗ったけど化粧これからだし」
「とにかくこっちが恥ずかしくなるから
部屋に戻ったら着替えなよ?」
「うん。部屋戻るし持っていこうか?
あ、ドラケンいるからか。」
「そ、そんなことないし…!///」
「さっさと告白すれば良いのに。脈ありなんだから。」
「そ、そうかな…//でもドラケンマイキーばっかだし…」
「それとこれとは…」
ガチャ、
「はーいっ お茶入ったよー」
二人は話しながら部屋に戻ると
部屋の空気はガラリと変わっていた。
「黒川イザナ…何者なんだ…」
「…ウチのお兄ちゃん」
「「「……」」」
「へ?」
「何が?(汗)」
「だから ウチのお兄ちゃんだよ。黒川イザナ。」
「「「へ?」」」
「それってどういう…」
エマの話によると黒川イザナは施設に預けられ
その後エマが佐野家に置いて母親は消えたらしい。
だかろマイキーにとってもイザナは異母兄弟となる。
その話をエマがマイキーにしてたらしいが
すっかり忘れて初耳といった反応だった。
「あのっ…エマちゃん?」
「ん?」
「その…お兄さん…黒川イザナについて
何か覚えていることある?」
「……さすがにないかなー
エマ 3歳までしか一緒にいなかったし。」
「………そっか…」
「………あっ…でも、真兄と仲良かったみたいだよ。」
「え?」
「……」
「……シンイチローと?(汗)」
「え?なんで真一郎くんと黒川イザナが?(汗)」
「ちょっと待ってて」
「おい…」
エマはそう言うと自分の部屋から
菓子土産でよくある缶を持ってきた。
真一郎の遺産らしくて
その中にはハガキが沢山入っていて
どれも長文のイザナからの手紙だった。
「これ全部イザナの!?(汗)」
「うん…目は通してないけど
この手紙の量!そーとー仲良しでしょ!(汗)」
「…仲良しっていうか…ちょっと怖えな(汗)」
3人は手紙を読み出してイザナについて探った。
エマは見守るだけで瀬里奈は離れた場所で化粧をした。
瀬里奈の化粧が終わる頃にドラケンが一通目を見つけた。
真一郎宛に会いにきてくれた嬉しさを書いていた。
誰かからイザナの事を聞いて真一郎から会いにいった。
「……なるほどね。
ちょっと風に当たってくるわ。」
「え?」
「瀬里奈 ここから1歩も出るなよ。」
「うん。」
「…どうしたんだろ マイキーくん」
「……"拝啓 真一郎様"
"最近ずっと頭が痛い。苦しい。きっとアイツのせいだ。
万次郎の話はもうしないで"」
「……」
「……黒川イザナは幼くして家族に捨てられた。
そして初めて自分を訪ねてきてくれた
真一郎くんっていう家族…
それがコイツの唯一の支えだとしたら、
マイキーをどう思うんだろう?」
「……嫉妬?(汗)」
「……ああ、マイキーへの激しい嫉妬、恨み…
ずっと引っかかってた事がある。」
「え?」
「東卍結成時、九代目総長 斑目獅音の言ったセリフ…
八代目の意思を継いで佐野万次郎と東卍を潰すって
確かに言っていたんだ。」
「八代目の意思……?え?
黒龍八代目総長は黒川イザナだ。(汗)」
「そう…九代目黒龍が一虎に粉かけていたのも、
真一郎君にバレないようにマイキーを潰す為に
黒川イザナの仕組んだことだとしたら?
黒川イザナの私怨だったとしたら…?(汗)」
「真一郎君のいない今、
天竺を創設(つく)って自ら乗り込んできたんだ…
今度こそマイキー君を潰す為に…
血の繋がった弟を潰す為に!!(汗)」
黒川イザナの目的は分かった。
真一郎との繋がりも分かったとすれば
ドラケンの視線は自然と瀬里奈に向かった。
「………瀬里奈、黒川イザナとは面識があったのか?」
「ない。…けど、一度だけ真一郎から
あれはイザナの事だったのかなって思うのはある。
真一郎の優しさがイザナは辛かった時があったんだよ。」
「じゃぁ、真一郎くんとイザナは
仲違いした事があるってこと…?」
「そこまでは知らないけど、
優しさって時には人を苦しめる事があるよね?
私も真一郎の裏のない優しさに初めは疑って
離れようとしたけど、その時に似たような事を
少し前に言われたって言ってたから
それってイザナの事だったんだと思う。」
「……」
瀬里奈がそう言うと
ドラケンもタケミっちも手紙を見て黙った。
「……エマ学校は良いの?」
「もうとっくに遅刻だよ。瀬里奈は?」
「アタシは一歩も出るなって言われてるし」
「その手のこと?」
「そう エマも気を付けなね。」
「……エマ、学校まで送る。」
「え?あ、うん…///」
「(さすがドラケン…)」
「お、俺も今日は帰ります…!」
「うん。マイキーには言っとくよ。」
「よろしくお願いします」
瀬里奈はエマを学校まで送るドラケンと
家に帰るタケミっちを部屋の入り口まで見送った。
△