譲れねえ










高校の購買でパンを買って
自販機で買ったいちご牛乳と一緒に昼食を取り、
校門の前で飴を舐めていると
マイキーとドラケンが自転車に乗ってきた。

流石に中学生が登校にバイク使うとヤバいので
2人は徒歩か自転車で彷徨いている事が多い。



「瀬里奈ー」

「悪い、マイキーが寝てて遅れた」

「だって給食後だもん」



マイキーはご飯食べると爆睡する。
そんなの当たり前な瀬里奈にとって
それすらも予定に入れるほど当然だった。

瀬里奈はマイキーの自転車に座り腰に抱きつく。



「んじゃ行こっか。タケミっちのとこ。」

「確か大溝中だな。キヨマサんとこの奴に聞くと」

「よーし行くぞー」



マイキーはそう言って自転車を漕いで
その後ろをドラケンがついていった。












大溝中に着くとまだ午後の授業中だった。
静かな学校に金髪の男2人と白髪の女1人
柄悪い人達に職員室から気付いた教師は
ザワザワとするだけで誰も止めようとしなかった。

昇降口に入り、下駄箱の横に来客用スリッパがあって
瀬里奈達は一応靴を脱いで履き替えて
教室はその辺の奴に聞けばいいと思って
取り敢えず校舎を歩く事にした。



「なんだテメェどこ中だ!(怒)」

「止まれやゴラア!(怒)」

「お、いーとこに。」



マイキー達に怒鳴る馬鹿は誰だと
瀬里奈は飴を舐めながら目線を向けると
この学校の上級生であろう者達が
マイキー達を気に入らずキレていた。

「これでタケミっちの教室聞ける」

そう言って殴りかかってきた男を
マイキーは一瞬で蹴り捨てて
ビビった他の奴らもドラケンがボコボコにした。

タケミっちの居場所聞いても吐かないし
探しながら売られた喧嘩を買い続けて
2-3の教室を開けると、



「お。いたいた。遊ぼうよタケミっち♡」



マイキーは笑顔で教室に入っていった。
入口よりも大きいドラケンは
引き戸より上の窓に手をかけて顔を覗かせ
その下で瀬里奈もひょっこり覗くと
アップフロントの金髪リーゼント
顔に手当てした後が沢山ある奴に
マイキーが声を掛けているから
直ぐにそいつがタケミっちだと分かった。

タケミっちは断る勇気もないまま
マイキーに引っ張られて教室を出て行くと
昨日の喧嘩賭博の時にはいなかった瀬里奈に気付き
瀬里奈は涼しい顔をして数秒タケミっちと目が合った。
タケミっちは何が起きているのか理解出来ない状況で
廊下に転がっている上級生にビビっていた。



「なんスか?コレ(汗)」

「あ?コレ?このゴミ?
なんかムカつくかれ全員ノシといた。
お前ら全員ここに並べー。うつぶせで。」

「「「「??(汗)」」」」



ドラケンに言われるがままに上級生達がうつぶせになり
つらづらと横になって行く。



「おいおい離れすぎだよ。
痛えのはお前らだよ?」

「何が行われるのだろう…(汗)」(小声)

ノシッ「おふ!(汗)」



何が行われるか。

それは背中を橋のようにマイキーとドラケンが
男達の背中をひょいひょいと飛んで歩き進める。
その隣で縮こまるタケミっちと
その後ろに瀬里奈が歩いていると、



「げふ!(汗)」

Σ「!(汗)」

「瀬里奈」



すると急に瀬里奈が男の頭を踏みつけたから
タケミっちがギョッと驚くとマイキーが呼び止めた。



「だってこいつパンツ見てた」

「前通るからだよ。踏めばいいのに。」

「だって歩き辛いもん。」



瀬里奈はそう言ってまぁ良いやというように
咥えてる飴をカチャリと口の中で転がして
そのままタケミっちの後ろを歩いて行く。
そして昇降口まで戻ってやっと本題に入った。



「元気してた?」

「昨日の今日っスよ(汗)」

「今日ヒマだろ?」

「いやっ…そうでもないス(汗)」

「ちょっと付き合えよ」

「え…?ボクの話聞いてます?(汗)」



ちょうどチャイムが鳴ると
ゾロゾロと噂を聞いた人達が昇降口に集まる。
4人が昇降口を出ようとすると
1人の女の子が呼び止めた。



「ちょっと待って!」

「ヒナ!?(汗)」



ヒナと呼ばれた可愛いショートボブヘアの女の子は
マイキー達に近づいてきて、瀬里奈もジッと見つめる。



「あン?誰だお前」

「ごめん ヒナ… 今日立て込んでてさ(汗)」



バチン!!

タケミっちの言葉に返事も返さず
ヒナと呼ばれた女の子はマイキーの頬を引っ叩いた。
軽い強い音が鳴って、五月蠅かった周りが静まり返る。



「タケミチ君 行こう!」

「え?(汗)」

「こんな人達の言いなりになっちゃダメだよ。
ヒナが守ってあげる。」



ヒナはタケミっちの手を取って離れようとする。
すると、ドラケンがヒナの腕を掴んで止めた。



「オイ。殺すぞ ガキ。
いきなり殴ってハイサヨナラ?
ふざけんなよコラ」

「…ふざけてるのはどっちですか?」

「あ…?」

「他校に勝手に入ってきて 無理矢理連れ去るのは
友達のする事じゃありません。
最近のタケミチ君ケガばっかり。
もし それがアナタ達のせいなら、私が許しません。」

「あ?」



タケミっちを震えながら掴んでるヒナから手を離し
タケミっちはヒナを掴むドラケンの肩に手を置いた。



「その手を離せ…(汗)」

「何言ってんのか聞こえねーよ(怒)」

「その手ェ離せって言ってんだよバカ野郎!!(汗)」

「テメー誰に向かって口きいてんだ!?(怒)」

「もう二度と、譲れねえモンがあんだよ(汗)」

「は?二度と?」



すると、静かだったマイキーがやっと
タケミっちとドラケンの方を振り向く。



「あーあー せっかくダチになれると思ったのにザンネン。
さて、どーやって死にてぇ?」



マイキーの視線にタケミっちは冷や汗をかく。



「二度と人前に立てねーツラにしてやるよ。」

「…一つだけ約束しろや(汗)」

「ん?」

「ヒナには絶っ対手ぇ出すなよ!(汗)」

「は?知らねーよ」



そう言ってマイキーは拳を振り上げると、

「う!(汗)」

とタケミっちはビビってギュッと目を瞑る。



「なーんてね。」

「………へ?(泣)」

「女に手ぇ出すわけねーじゃん。」



そう言ってマイキーは柔らかく笑った。



「な?瀬里奈。」

「うん。」



マイキーがそう言うって事は
自分も何もするなって事だ。

本当は直ぐにでもヒナを殴り返したかったけど
ドラケンが前に出てマイキーも静かだったから
様子を見ていて正解だったらしい。

瀬里奈は静かにマイキーの後をついて行き、
昇降口を出ていった。



「タケミっち。俺相手に凄んだな?」

「す…すいません(汗)」

「いいよ。"譲れねえモンがある"
今時"女"にそれ言う奴いねえぞ?昭和だな。
ビッとしてたぜ?」



ドラケンはそう言ってマイキーに続いて外に出る。



「あれ?タケミチ君 この人達って…」











タケミチが事情を説明するとヒナは深く頭を下げた。



「ごめんなさい!!私勘違いしちゃって…//(汗)」

「いーよ 別に。すげービンタだったなぁ」

Σ「すいません!!//(汗)」

「ハハハハッ 好きな男(やつ)の為に頑張るのは良いけど
無茶しちゃダメ。相手が相手なら大変な事になっちゃうよ?」

「ハイ! タケミチ君ヒナ行くね?」

「え?デートは?(汗)」

「今度でいいよ。せっかく友達が遊びに来てくれたんだし。」

「バイバーイ 今度は叩かないでね♡」

「ヒナまたねー」


マイキーはそう言って軽く手を振って
その隣で瀬里奈も同じように手を振った。
ヒナは気まずそうに頭を下げてそそくさと校舎に帰った。



「いいコじゃん。滅多にいねーよあんなコ。」

「あ、(汗)」

「大事にしてやれよ。」



マイキーがそう言うと瀬里奈は
全て溶かした飴の棒をかじり、
ポイっと捨てて煙草のように踏みつけた。