想う心








夜の集会で武蔵神社に集まる事になり、
マイキーの指示でドラケンはタケミっちに連絡して
武蔵神社に来るようにだけ簡単な要件を伝えた。

瀬里奈はマイキーのCB250T(バブ)に乗って
マイキーに腰に手を回して抱き着いた。
そしてブンブンとチョッカンコール鳴らして走ると
どんどん同じ方向に単車が集まる。

直ぐに武蔵神社について瀬里奈は軽く
寄りかかるような形で座っていると
少しして三ツ谷がタケミっちを連れて来て
その後ろにはこの場に合わないヒナもいた。



「よう タケミっち。悪ィな急に呼び出して」

「お前なにヨメ(彼女)なんか連れてきてんだよ」

「スイマセン こんなになってるって思ってなくて…(汗)」

「あっ ヒナちゃんこの前はごめんな。
タケミっち試すとはいえ脅して」

「あっ いえ全然大丈夫です!(汗)」

「おい!エマ!!」

「ハーイ」

「この子タケミっちのヨメだからしっかり守っとけよ。」

「りょ〜か〜い。あっ」

Σ「(汗)」

「よっ いくじなし君♡」

「!(汗)」ピキッ

「誰の事?"いくじなし君"って?(怒)」

「オマエ…エマと知り合いなの?」

「ちっ 違うんだヒナ!俺はなんも覚えてなくて!(泣)」

「エマの下着姿見たくせににげたーーいくじなし」

「へーーそんな事があったんですねーー(怒)」



ヒナはかなりキレていて棒読みだった。



「あったのかなーー?んーー?
ほんとに記憶がないんだよぉ(泣)
アレ!?そんなモノ(得物)どこから!?ヒナさん!?」



その後タケミっちはヒナにボコボコに殴られた。



「すびばせんでした。
もう二度とこんな事はいたしません(汗)」

「知らない!(怒)」

「怖ー(汗)アンタもよくあんな娘いるのに
ウチの話に乗ったね。でも勘違いしないでね。」

「へ?」

「別にアンタの事なんて何とも思ってないから。
ウチはただ早く大人になりたかっただけだから。」



エマはマイキーと笑顔で話してるドラケンを見て
タケミっちも視線を向けると
マイキーの後ろに座る瀬里奈に目が合った。



「!」

「嫌になっちゃうよねーーアイツ。
ウチの事なんか興味ナシ!
マイキーと喧嘩とバイクの事ばっかり!
少しは怒るかなって思ったのに…」

「(……そっか、エマちゃんはドラケン君に
ヤキモチ焼いて欲しかったんだ。
それにしても女心ってわかんねーー(汗))」

「タケミっち。終わったかー?」

「すいません!お待たせしました!(汗)」

「オラ!!集まれテメーら!集会始めっぞ!!」



ドラケンが声を上げると、
瀬里奈も立ち上がってエマ達の方に行った。



「ヒナ 久しぶり」

「お久しぶりです!(汗)」

「瀬里奈 知ってるの?」

「うん。マイキー達と遊びに行った時、
マイキーの事思いっきり引っ叩いた。」

「えっ(汗)」

「あ、あれは勘違いしちゃって!
ほんとごめんなさい!//(汗)」

「良いよ。マイキーが許したんだから。
それよりエマ ちゃんと謝った?」

「今謝ったよ」

「知らなかったとはいえ、
人の彼氏寝取ろうとしたんだから反省しな。
そもそも理由もめちゃくちゃだし。」

「だって…ドラケン全然そんな気見せてくれないし…
エマの事よりマイキーばっかだし…」

「だからってテキトーな男で済ませんなって話。
童貞はさっさと捨てていーけど、
処女はホントに好きな奴とヤんな。先輩の助言。」

「……ごめんなさい…」

「分かればいいんだよ」



シュン…と反省するエマに瀬里奈は優しく頭を撫でた。



「ヒナはもうヤったの?」

Σ「え!?や、ヤったって何を…///(汗)」

「セックス」

「キャー!!まままままだ
するわけないじゃないですか!///(汗)」

「動揺しすぎ(汗)」

「キスはしてんでしょ?直ぐだよ直ぐ」

「き、キスもまだ…//」

「えっ 付き合ってんでしょ?それもまだ?」

「いくじなし君…(汗)」

「コラッ」

「いてっ」

「大事にしてくれてんだよ。ヒナの事。」

「……///」

「それか本当のヘタレか。」

Σ「!(汗)」

「瀬里奈だって言うじゃん(汗)」

「だって顔面がヘタレ顔じゃん。」



瀬里奈はヒナの前で普通にタケミっちの悪口を言ってた。













ーーーーーー…*°






愛美愛主と東京卍會がやり合う事が決定した。
引き金は三番隊隊長パーの親友がやられた事だった。

親友は愛美愛主のメンバーに袋叩きにされて
目の前で彼女レイプされて
親兄弟吊るされて金巻き上げられて
ガキがする事じゃない非道な奴らだった。

それでもやるって言う事は
パーの親友の仇の為でありパーの為だ。
仲間の為に命を張れる東卍。
それは創設時に決めた掟だ。
だから誰も文句は言わない。言わせない。

マイキーがやると決めたら絶対だ。











「病院?」

「うん。ケンチンと行ってきた。」



愛美愛主とやりあう前、マイキーが急に
レイプ被害者の女が入院している病院に行ったと言う。



「なんで?」

「パーの親友の彼女 まだ病院で意識戻ってないんだって。
その子の親がさ、俺らの事八つ当たりして怒鳴り散らして
俺ら頭下げてきたんだよね。」

「……マイキー達が?」

「うん。俺 なんで関係ねーのにって思ったけど
ケンチンが言ってた。
"不良の世界"は不良の中だけで片付ける。
東卍のメンバーは皆んな家族もいるし大事な人もいる。
下がる頭なくてもいいから、人を想う"心"は待てって」

「…ドラケンは優しいね。」

「うん。俺も同じ事言った。
俺…ケンチンが隣にいてくれて良かった。」

「……」



マイキーがそう言うと瀬里奈は
煙草に火をつけようと咥えてライターを手にすると
咥えてた煙草をマイキーが取った。



「何?吸ってみたいの?」

「違えーよ。苦ぇし。お前吸いすぎ。」

「そう?2日で1箱ならまだマシだよ。」

「飴舐めとけよ。」

「…分かった。」



瀬里奈は煙草をしまって、
ポケットからチュッパチャプスを取り出して
苺ミルク味を口に入れた。



「マイキーも食べる?」

「いらねえ。」

「……アタシ正直人を想う"心"とかよく分かんない。
自分のせいで誰かに迷惑掛けてるとか
考えた事もなかったし、別に分かんなくていいと思ってる。」

「瀬里奈」

「うん。ドラケン否定してるわけじゃないよ。
ただ…アタシには分からない心を持ってる
ドラケンは凄いねって話。」

「………」

「こう言ったらマイキーは呆れるかもだけど、
アタシ ドラケンに嫉妬してるのかも。」

「ナニソレ。ケンチン男だよ?」

「分かってるよ。でも、
マイキーに隣にいてくれて良かったなんて
そんな事言われるドラケンが羨ましいって事。」



瀬里奈はそう言ってマイキーと向かい合う。
小柄なマイキーが見下ろす更に小柄な瀬里奈は
見上げるような形でマイキーを見つめた。

その表情はいつもみたいに柔らかく
怒っても悲しんでもいない綺麗な顔だった。



「何言ってんの。俺 瀬里奈にも隣にいて欲しいんだけど。」



マイキーはそう言って瀬里奈を抱き締めた。



「うん 嬉しい…。でもアタシ、マイキーのモノだから
マイキーが嫌になったら捨てても良いよ。
アタシがしたくてしてる事なんだから。」

瀬里奈の言葉にマイキーの空気が変わった。

「は?いつ俺が迷惑そうにした?」



身体を引き剥がされて冷たく見下ろす顔に
瀬里奈は動じず同じ表情で見上げる。



「してないよ。でもいつかはなるかなって。」

「ならねえよ。絶対。」

「絶対?そうかな?だってマイキーには必要なのは
アタシよりもドラケンだもん。東卍の為に。」

「瀬里奈も必要なんだけど。」

「……そう思ってくれてるなら。
アタシは嬉しいな。」

「二度と捨てろなんて事口にするなよ。」

「うん ごめん。アタシはマイキーの事
全部肯定したくなっちゃうからダメなんだ。
だってマイキーの事が好きだから。」



そう笑顔で言う瀬里奈が愛おしくなって
マイキーは強く抱き締めて肩に顔を埋めた。
その折れてしまいそうな強い力に
瀬里奈は心地よさを感じている。

ドラケンはマイキーの足りない所を補ってる。
それは東卍にとって凄く大事な事だと分かってる。
でも瀬里奈は違う。
マイキーがどれだけ非情でも別に構わない。
殴りたければ殴ればいい。殺したければ殺せばいい。
マイキーがする事は全て許される。
そんな世界で良いと思ってる。

瀬里奈はそういう奴だって事は
マイキーの側にいるドラケンがよく分かってる。
だからドラケンは瀬里奈の事も気に掛けてる。
マイキーが人の道から外れないように。