覚悟
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マイキーは今日愛美愛主の件でパーと話し合うらしい。
瀬里奈はマイキーの隣にいつもいるが
東卍の事には口出しはしないし
いくら仲が良くても東卍の話し合いに参加しない。
東卍のメンバーでは無いし、女が入る事じゃ無い。
マイキーの顔を守る為でも自分はあくまで
マイキーの女であるだけでそれ以外無い。
瀬里奈は煙草を吸っていつもの河川敷にいた。
「瀬里奈」
「………何?」
聞き慣れた声がして少し間を置いて振り返る。
そこにはマイキーでもドラケンでも無く
場地がいて、その後ろに副隊長もいた。
「マイキーにあんまうろつくなって言われてんだろ。
これから愛美愛主とやり合うんだから。」
「だから何?マイキー無視して
好き勝手やってる人に言われたく無いんだけど。」
Σ「なっ…!てめェ場地さんになんて口…!」
「千冬。」
副隊長の千冬が前寄りになると場地が制した。
そのやり取りを見て瀬里奈はクスッ…と笑って
立ち上がって軽くスカートについた草を払った。
「千冬…だっけ?ワンちゃんみたいで可愛いね。」
「わ、ワンちゃん…!?//(汗)」
「場地、アタシの事特別扱いしなくていいよ。
東卍のメンバーじゃ無いから。」
「…それでもお前は東京卍會の名付け親だろ。」
「え!」
「………万次郎會はちょっとね。」
瀬里奈はそう言うと笑みを浮かべて煙草をスゥ…と吹かした。
千冬は瀬里奈がマイキーの女だって事は
勿論知っているが詳しい事は知らない。
透き通った白髪にくっきりとした整った顔立ちに
近くまで来ると驚くほど華奢で
ワイシャツから少し見える蛾のタトゥー。
そこら辺の普通の女じゃ無いって事は直ぐに分かる。
「煙草も控えろって言われてんだろ。」
「皆んなして親父より親父みたいだね(笑)
大丈夫 今日まだ4本目だから。」
瀬里奈がそう言うと場地は瀬里奈の右手を掴んだ。
「……何?マイキーに言いつけるよ?」
「言いつけろよ。煙草やめろって言ってんだから。」
「マイキーは減らすだけで止めろなんて言わないよ。
それに……この煙草、誰のか知ってて止めてんの?」
そう言いながら瀬里奈は下から睨むような
冷たい目を場地に向けると、
場地の後ろにいた千冬はゴクリと唾を飲んだ。
然し場地がそんな睨みで引くわけがなかった。
「禁煙しろとまでは言わねえけど、
控えろって言ってもそのまま吸うからだろ。」
「勿体無いじゃん。煙草いくらすると思ってんの?」
「知らねーよ」
「皆んなも吸ったら良いのに。
カッコいいし、気分転換になるし。」
「カッケェのは認めるけどよ…」
「(認めるんだ…(汗))」
「場地にも似合うと思うな。セブンスター。」
「金かかるからもうちょい先だな。」
「(吸うんだ…(汗))」
瀬里奈の誘いに乗りそうな場地を
千冬は心の中でツッコミを入れていた。
「あ、マイキーだ。もしもし?」
瀬里奈はマイキーから電話かかってきて直ぐに出た。
然し、内容は信じられない事だった。
「え…パーが捕まった?」
「!」
「え…パーちんが!?(汗)」
「うん……え、タケミっちが?うん。うん。
エマ呼んでるのね?皆んなは…うん。
今場地がいるから話しても良い?……うん、分かった。」
瀬里奈はマイキーとの電話を終えて切った。
「瀬里奈 パーが捕まったって…」
「二中近くの廃墟でマイキーとドラケンに
パーとペーの4人で話してたんだけど、
愛美愛主が来て頭とやり合ったんだって…
マイキーが倒して警察が来るから皆んな逃げようとした時
愛美愛主の頭をパーが刺して自首したって…」
「パーが、刺したのか……」
「パーちん…(汗)」
「取り敢えず今日は警察がうろついてるから
皆んなそのままバラけて待機だってさ。
場地達も帰った方がいいよ。」
「おう…」
「アタシの事送ろうなんてしなくていいよ。」
瀬里奈は場地が言おうとした言葉を先に言って牽制した。
2人のやり取りに千冬は疑問に思ったが
今はそんなことでは無いと
場地と急いでその場を離れる事にした。
そして瀬里奈は煙草を携帯灰皿に捨てて
マイキーの自宅へと帰って行った。
ーーーーーー…*°
「マイキー ただいま、」
ダンッ
「ッ…」
「何で場地といたの?」
マイキーの部屋に入った途端
瀬里奈はマイキーに押されて扉に押し付けられ
腕をグッと首元に抑えられて動けなくなった。
いつもなら東卍メンバーといたって追求しない。けど、
パーが捕まって意味が分からなくて混乱してるから
二人っきりで会ってたと思ってイラついている。
「いつもの河川敷にいて…千冬を連れた場地が
一人で歩くなって言われてるだろって
アタシの事心配してくれてたんだ。
煙草も控えろどころか目の前で吸うの止めろって
ヒドイよね…アタシが吸ってる煙草の銘柄
知ってるくせに……」
「俺 うろちょろすんなつったよな?」
「…ごめん……いつもの場所なら大丈夫かなって…
ねぇ、マイキー…苦しい、首…」
「俺の言う事聞けねーの?」
「そんなわけ無いじゃん。
アタシはマイキーのモノだよ?」
「だよな。瀬里奈は俺んのだよな?」
「うん 当たり前だよ」
「……ごめん…瀬里奈、俺おかしくなってた…」
「パーの事で混乱してたんだね。
ごめんね、帰るの遅くなって一人にさせて…」
首元を押さえていた腕が離れると
瀬里奈は宥めるようにマイキーに抱き着いた。
そしてポンポンと背中をあやすと
マイキーは思い出したようにポツリポツリと話し出した。
「そうだ…パーが捕まったんだ……
なんで自首するって…ならなんで刺したんだ…」
「……親友の仇討ちたかったんだね。」
「仇なら俺たちが…」
「それじゃ足りなかったんだよ。」
「…」
「親友はただ殴られただけじゃない。
大切な彼女に一生の傷を負わせて然も目覚めてない。
身内まで巻き込んで一生責任を背負わされる。
そんな傷を負った親友にただ倒して終わりじゃ
パーは納得出来なかったんだよ…」
「……俺らに相談したって…」
「マイキー達巻き込みたくなかったんだよ。
本当は東卍は刃物なんて使うようなチームじゃないから
自分だけ責任負ってケジメを付けたかったんだよ…」
「俺……パーを守れなかった…!」
「マイキー…」
涙が滲み出たマイキーを瀬里奈は受け止めた。
その後マイキーは悔し涙を流したが直ぐに落ち着いた。
ベッドの上で寄り添うように支え合う二人に
他の誰にも邪魔できない何かがあった。
「瀬里奈…俺…パーに何か出来たかな…」
「……もし、マイキーが変わりに長内刺してたら
パーはもっと苦しんでたし、東卍も終わってた。」
「……」
「何か出来たとしてもそれは後悔になるから、
だったらこれから何してあげられるか
そっちを考えた方がパーの為なんじゃない…」
「…そっか……そうだよな…パーは捕まっちまった…」
「なんとかしてあげたいね」
「うん…」
「マイキー、アタシに出来る事があったら
何でも言ってね。何でもしてあげるよマイキーの為なら。」
「瀬里奈…俺、瀬里奈もパーみたいに
俺の為とか言って消えたりしない…?」
今のマイキーはさっきの冷たい目のマイキーじゃなく
一人にされる事に怯える寂しい目をしたマイキーだった。
そんなマイキーが愛おしくて仕方なくて
瀬里奈は思わずマイキーに強く抱き締めた。
「アタシは絶対消えないよ。
マイキーが拒絶しないかぎりずっと。
だってアタシはマイキーのモノだもん。
持ち主に黙ってモノは消えないよ。」
「瀬里奈…」
「マイキーの事絶対一人にさせないよ。」
「………俺、瀬里奈の事モノとして見てねえよ。
ちゃんと好き。だから離れんな。」
「…ありがと マイキー」
瀬里奈はマイキーの優しさに思わず笑みが溢れた。
そんなに優しくしなくて良いのに優しいマイキー
可愛くて愛おしくて仕方ないのに
時折見せるその危うさがさらに愛おしくて
そのままずっと見ていたかった。
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