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"愛ほど歪んだ呪いは無い"
私は今も呪われている
ーーーーーー…*°
時折り見る夢は血生臭い悪夢。
全身が痛み視界は真っ赤に染まり
ぐったりと力が入らず倒れていて
血が流れていくのを感じて
赤い視界の中にぼんやりと映る人影には
微かに血塗れの男が映っていた。
「ッ………!」ガバッ
またあの夢 自分が死ぬ夢
物心ついた時から時々同じ夢を見る。
自分が死ぬ夢はいつも同じで
最後に映る誰かは誰だか分からない。
何とも不気味で後味の悪い悪夢である。
都内にある一人暮らしには広いマンションの一室
安曇雨寧はクイーンサイズのベットで
冷や汗を掻いて勢い良く身体を起こした。
その隣にはスヤスヤと眠る整った顔立ちの若い男
確か昨日恵比寿で呑んで見つけた舞台俳優の青年だ。
こっちの気も知らずスヤスヤと安眠している。
雨寧はベッドから降りてリビングに行き、
ウォーターサーバーから冷えた水を入れて飲み干した。
それと同時に仕事用の携帯が鳴り、手に取ると
今出るには気分の悪い人物からの電話だった。
「ーーー…はい、安曇です。」
『やっほー!元気ー!?
その感じだと一瞬出るの迷ったでしょー?
こんな朝から出てくれるのも珍しいけど!』
朝っぱらからのテンションじゃないだろ。
直ぐに切りたい指の筋肉を緩めて
ふーっと息を吐いて話を聞く事にした。
「朝っぱらから何ですか?」
『その受け答えホント七海と似てるよねー!
七海と話してる時はホント可愛いのにさー!
僕には何で優しくしてくれないの?』
「この不毛なやり取りが面倒くさいからです。
サッサと用件言わないと切りますよ?」
「あれ?サキさーん 水飲んでいーい?コレー」
最悪なタイミングで男が起きてきた。
然も割と大きな声で。
まあ部屋が広いから仕方ないが
今一番聞かれたくない男に聞かれた。
「うん。グラス適当に取っていいから」
「シャワーも借りるねー」
「うん」
『………何?また連れ込んでたの?
君も良くやるね。また七海に怒られるよ?』
「私の事は良いんで用件を…」
『今恵がさー、両面宿儺の指回収しに行ったんだけど
昨日の報告だとある筈の場所に無かったらしいんだよね』
「誰かが取ったと?」
『うん。置いてた場所が百葉箱だから、
そこの生徒が面白半分か、または呪詛師の可能性もある。
どちらにせよ呪符を剥がす可能性が高い。
もう年季が入った布切れだしね。
そうなると呪いも集まってくる。
恵一人だと少し心配だから雨寧も行って欲しい。』
「まぁ…恵の為なら良いですけど、何処ですか?」
『仙台。』
「せんっ…」
『新幹線の手配なら伊地知に任せてるから
今日の夕方に東京駅に向かってね。
朝から任務入ったって聞いてるからー』
「は?朝から任務って聞いてな」プツンッ
…………いつか殴ろう。
そう昨夜 後輩の伏黒恵も同じ事を考えていた事を
雨寧も同じように殺意が湧いた。
そして通話が切れたと同時に伊地知から電話が来た。
ピッ
「伊地知。朝から仕事って何?」
Σ『え!?な、何で知って…!(汗)』
「悟さんが先に言ってたから。
夕方仙台に行くって事も。」
Σ『ええ!?私はまだ朝の任務次第なので
不確定だと伝えていた筈ですが…!(汗)』
「どうせ私なら直ぐ終わると思ってるのよ。
で、今なら話聞けるからサッサと用件伝えて。」
『は、はい…先ず場所がーーーー…』
雨寧は伊地知から朝から栃木の任務と
夕方 17時の新幹線を取ってある事を聞いた。
栃木の任務が長引きそうなら無理をせず
連絡を入れて下さいと言われたが、恵の為だ。
サッサと任務を終わらせて仙台に向かおう。
ガチャ、
「サキさん シャワーありがとう。
それにしてもサキさんの家 凄いね。
何してる人なの?凄い美人だし芸能関係?」
「んー?秘密。」
「また遊び来てもいい?
俺この辺 しょっちゅう来るし。」
「私が居ない事の方が多いかな。
今から出張なんだよね。だから帰ってくれる?」
「そっか、残念。また誘ってね。」
「時間が出来たらね。」
雨寧はそう言って仮面のような笑顔を振り撒き、
男は気分良く 着替えて家から帰って行った。
雨寧は携帯を取り出し、
直ぐに交換したLINEをブロックした。
一夜の関係は二度はない。
これはある男への制裁なのだから。
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