刻限
*
朽木ルキアの極刑が、明日へと早められた。
その報せを受けた紫乃は、
すぐさま十三番隊隊舎へ戻った。
隊首室へ向かうと、そこには既に浮竹がいた。
「浮竹隊長、ルキアの極刑が……」
紫乃が報告を口にしかける。
「ああ。俺は中央四十六室に謁見する」
浮竹はそう言って、白い隊長羽織に袖を通し、
身なりを整える。
「私も同行します」
迷いのない紫乃の言葉に、浮竹は頷いた。
「分かった」
二人はそのまま中央四十六室へ向かった。
ルキアの極刑が突然早められたことについて、
二人は正式に意見を申し立てた。
しかし――。
その申し立てが受け入れられることはなかった。
決定は覆らない。
処刑の日程も変わらない。
時間だけが、刻一刻と過ぎていく。
*
中央四十六室から戻った二人が次に向かったのは、
四楓院家の奥にある蔵だった。
「……本当に、ここにあるんですか?」
周囲を気にしながら、紫乃が尋ねる。
「ああ。四楓院家に伝わる宝具があるんだ。
これなら双極を破壊できる」
浮竹はそう言い残し、蔵の中へ入っていった。
紫乃はその場に残り、周囲を警戒する。
四楓院家の許可を得ているわけでもなく、
勝手に蔵を探している。
冷静に考えれば、とんでもないことだった。
それでも今は、そんなことを
気にしている場合ではない。
既に双極は、予定通り解放され始めている。
時間がない。
紫乃は何度も蔵の奥へ視線を向けた。
「……浮竹隊長、まだですか?」
返事はない。
焦りが募る。
「浮竹隊長! 時間が……!」
蔵の中へ声を掛ける。
すると、ようやく奥から浮竹が姿を現した。
その身体には、大きな盾のような宝具と
縄が巻き付けられている。
「すまん!ちょっとばかり封印の解除に
手間取っちまってな……」
浮竹は苦笑しながら頭を掻いた。
紫乃は目の前の宝具を見つめる。
「それが……双極を破壊できる宝具ですか?」
見るのは初めてだった。
そもそも、そんなものが存在することすら
知らなかった。
「ああ。これなら、双極を止められる」
浮竹は力強く答えた。
「……分かりました」
驚いている暇はない。
紫乃はすぐに踵を返した。
「行きましょう、浮竹隊長」
「ああ!」
二人は急いで蔵を飛び出し、処刑場へ向かった。
双極の解放は、既に始まっている。
ルキアの処刑まで――残された時間は、
もうほとんどなかった。
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