交差点
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日番谷の真剣な説明が終わった後。
張り詰めていた空気はどこへやら、
気付けば一同は、何故か一護の部屋に置かれた
縫いぐるみを囲んでいた。
「ははーん!!なるほどなー!
こいつ、なんで動いてんのかと思ったら
義魂丸だったのか……てっきり、
すげーカラクリで動いてんだと思ってたぜ」
阿散井は、ライオンとも熊ともつかない
妙な姿をした縫いぐるみを手に取り、
しげしげと眺めている。
「ソウル・キャンディを
縫いぐるみに入れてんのなんて初めて見たわ。
てか、縫いぐるみに入れても動くもんなのねえ。
さすが技術開発局。無茶な作りだわ」
乱菊も面白そうに身を乗り出し、
縫いぐるみを覗き込んだ。
先程まで破面と虚圏について話していたとは
思えないほど、緊張感のない光景である。
「つか、お前らいつ帰んだよ!?」
そんな一同を見かねた一護が、声を張り上げた。
「何言ってんだ。帰んねえよ。
破面共との戦いが終わるまでは現世にいるぜ」
阿散井が、さも当然のように答える。
「居るぜ……って、
寝るとことかどうすんだよ?
言っとくけど、ウチにはこんな人数
泊めるスペース無えかんな!」
「えー!!! あたしも駄目?」
すかさず乱菊が手を挙げる。
「はあ!?いや、フツーに考えたら
あんたが一番ダメだろ!!
つーか、なんで自分はオッケーだと
思ってんのかがわかんねーよ!!」
一護が慌てて言い返す。
「…………」
乱菊は黙った。
そして何を思ったのか、
ゆっくりと制服のシャツへ手を伸ばす。
ぱちん。
ボタンを一つ外した。
「ぅおおおッ!?な……何してんだコラ!!
ボタン一個外してもダメなもんはダメだかんな!」
「…………」
一護の必死の抵抗も意に介さず、
乱菊はさらにスカートの裾を少しだけ持ち上げる。
「スカートちょっと上げてもダメだッ!
ちくしょうッ……!
そんな誘惑には屈しねえ……ッ!
断じて屈しねえ男だぜ俺は!!」
声だけ聞けば、必死に誘惑へ
耐えているようにも聞こえる。
しかし――。
「だったら指の隙間閉じたらどうだ」
横からルキアが冷静に指摘した。
結局、狭い一護の部屋に七人全員が泊まることなど
到底できず、ルキアだけが押し入れを借り、
それ以外の六人は一旦追い出されることになった。
「まあ、とりあえず……
あたしは織姫んとこ泊めてもらうわ!!」
乱菊は、何の問題もないと
言わんばかりに言い放つ。
「もらうわ!って、
もう井上に許可とったのかよ!」
「とってないけど、
あの子は頼めば嫌とは言わないわよ!」
「それ、許可取ったって言わねえだろ!」
一護が頭を抱える。
そんなやり取りを眺めていた乱菊が、
ふと思い出したように紫乃へ振り返った。
「紫乃さんも行きますよね?隊長も来ます?」
「行かねえ」
日番谷は即答した。
「来ればいいのに〜。楽しいですよォ」
乱菊がにこにこと詰め寄る。
「お前がな」
日番谷は露骨に嫌そうな顔をした。
「私は、夜一さんの所に行くよ」
紫乃が穏やかに答える。
「夜一さんの?」
一護が目を丸くした。
「一護くん、知ってるんだよね?
商店をやってるとか……場所を教えて欲しい」
「それなら――」
一護が答えようとしたところで、
ルキアが慌てて口を挟んだ。
「花房副隊長!そこには浦原という
変態もおります故、危険です……!」
「えと……その変態に用があるから大丈夫だよ」
紫乃は苦笑いを浮かべた。
浦原喜助。
かつて十二番隊隊長を務め、
技術開発局を創設した男。
そして今は、現世で商店を営みながら
一護を鍛えているという。
どうやら、相変わらず変なことをしているらしい。
「俺も行くぜ」
阿散井が紫乃の隣に並んだ。
「たった数日で一護を俺らと
戦えるレベルまで鍛え上げた人だ。
一度会って見ておきてえ。
それに……色々と訊きてえこともあるしな」
「そっか」
紫乃は阿散井を見上げ、静かに頷いた。
阿散井にも、浦原に聞きたいことがあるらしい。
ならば、一人で向かうよりも
彼が同行してくれるのは心強かった。
「それじゃあ、行こっか」
「ああ」
こうして紫乃と阿散井は、
一護たちと別れ、浦原喜助と四楓院夜一がいる
浦原商店へ向かうことになった。
百余年ぶりの再会に紫乃の胸がきゅっと締まった。
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