馴染む


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紫乃は、日番谷と乱菊の元を訪れていた。

二人は現在、織姫の部屋に間借りしており、
近辺でそれぞれの斬魄刀と対話しながら
鍛錬を続けている。

紫乃は二人の霊圧を辿り、
織姫の住むアパートへとやって来た。

部屋の扉が開く。

「紫乃さん!どこ行ってたんですかー、もう!」

出迎えた乱菊は、開口一番に不満をぶつけてきた。

「今朝の会議が終わったと思ったら、
急にいなくなるんですから!」

「ごめんね。浦原商店に用があって」

紫乃は苦笑しながら答える。

その様子を見ていた日番谷が、ふと口を挟んだ。

「阿散井も浦原という男に
修行してもらってるんだろ?」

「うん。一護くんの仲間の一人と
修行してるみたい」

紫乃はそう答えながら、部屋の中を見渡した。

そこで、ふと気付く。

「……あれ?織姫って子が
いるんじゃなかった?」

「ああ、織姫ならルキアと尸魂界に帰りましたよ」

乱菊は何でもないことのように答えた。

「修行のためって言ってましたけど……
ルキアから聞いてません?」

「ルキアと?」

紫乃は目を瞬かせる。

「聞いてないけど……そっか」

少し驚いたものの、すぐに嬉しそうに微笑んだ。

「仲良しさんだね」

「織姫に用がありました?」

「うん。でも、乱菊でもいいんだけど……」

紫乃は少し言いにくそうにしながら、
事情を説明する。

「現世の服を貸してほしくて。
学校以外で制服だと、
夜中に歩くのはちょっと不便じゃない? 
だから私服で義骸を纏いたいと思って」

その瞬間。

乱菊の目が、ぱっと輝いた。

「コーディネートを組むなんて楽しそう!」

嫌な予感がした。

「それなら私に任せてくださいよ!」

「いや、普通に現世で
馴染むくらいでいいからね?」

紫乃は苦笑いしながら念を押す。

乱菊は胸元の大きく開いたトップスに
ショートパンツという、
普段から露出の多い服装をしている。

そんな彼女を見れば、
紫乃が自分に求めているものとは
少し方向性が違うことくらい分かりそうなものだ。

「早速、織姫から借りましょう!」

しかし、乱菊はまったく気にしていない。

「あの子、意外とセンス良い服
いっぱい持ってるんですよ!」

そう言うなり、乱菊は織姫の許可も取らずに
クローゼットを開けた。

「これかなー……あ、これもいいかも!」

楽しそうに服を漁り始める乱菊。

その背中を眺めながら、
紫乃は日番谷へ視線を向けた。

「そういえば、日番谷隊長は
結局ここに住んでるんですか?」

「……一角達は定員オーバーだった」

日番谷は、いかにも不本意そうに答えた。

「仕方なく、ここにいるだけだ」

「そうなんですね」

一角と弓親は、一護の友人の一人の姉が住む
家に世話になっているらしい。

「隊長も大変ですね」

「他人事みたいに言うな」

「ふふ、ごめんなさい」

そんなやり取りをしている間にも、
乱菊の物色は続いていた。

「ありました!」

勢いよく振り返った乱菊が、
手にしていた服を紫乃へ見せる。

「これなんてどうですか!」

そこにあったのは、ミニスカート。

そして胸元の大きく開いたキャミソールに、
薄手のカーディガン。

明らかに、現世のギャルが好みそうな
組み合わせだった。

紫乃は数秒、無言で服を見つめる。

「……うん」

そして、静かに微笑んだ。

「自分で選ぶよ。ありがとう」

「えー!」

即座に乱菊から不満の声が上がる。

「紫乃さんも足出しましょうよー! 
現世でしか着られないんだから!」

「遠慮しておくね」

紫乃は乱菊の抗議を聞き流し、
そのままクローゼットへ手を伸ばした。

そして、服を一着ずつ選んでいく。

手に取ったのは、ブラックの
ローライズストレートデニム。

紫乃には少しだけサイズが緩かったため、
腰の位置でしっかり固定できるベルトも選ぶ。

トップスは、身体にほどよくフィットする
ブラックで半袖ののハイネックニット。

そして靴は、ブラックのローヒールの
パンプスらしきものを借りることにした。

露出はほとんどない。

色も黒を基調にした落ち着いたトーン。

紫乃らしい、至ってシンプルな組み合わせだった。

「……地味ですよー!」

横から乱菊が声を上げる。

「もっとこう、現世らしい服とか! 
ほら、スカートとか!」

「私はこれでいいよ」

「せっかく現世にいるんですよ?」

「だからこそ、普通に馴染みたいんだけどなぁ」

紫乃は苦笑しながら、選んだ服を抱える。

結局、最後まで乱菊の声が
途切れることはなかった。

どうやら紫乃の現世服選びは、
乱菊にとっては本人以上に
楽しい時間だったらしい。







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