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世界でいちばん


私の大好きなひとは、とってもとっても可愛らしい。ぬいぐるみやかわいい雑貨、新作コスメを見かけると、嬉しそうにそれを眺めたり、手に取ったりし始める。いつ見ても本当に楽しそうにしているから、こちらまでつられて笑顔になってしまう。
以前、そのことを伝えたら、へにゃりと微笑んで「ありがとう」と返された。あの時のしあわせそうな顔を、私は素直に、守りたい、と思ったんだ。背は小さいし、力も弱いからまったく頼りないけれど、私はあなたの王子さまになりたいな。
「あーらしちゃんっ」
元気良く名前を呼べば、どうしたの××ちゃん、と嵐ちゃんが振り返る。
「突然ですが!今日は私が、嵐ちゃんのことをエスコートしたいと思います!…お手をどうぞ、おひめさま?」
おとぎ話の中の王子さまには程遠いなあ、と思いながら手を差し出すと、嵐ちゃんはあら!と嬉しそうに声を上げて。
「ありがとう、アタシのおうじさま。」
するりと、私の手を取った。世界一可愛くて、とっても素敵な、私だけのおひめさま。まだまだ上手にエスコートすることは出来ないけれど、今日はあなたの、御心のままに。

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