互いに正座をしているのは自室のベッドの上だ。寝巻きの自分に上着を脱いだ彼。視線を合わすことができずに横を向いてしまっている。
(どうしてこうなった)
千歳は頭を抱えた。恐らくそれは目の前の彼も同じだろう。
互いに合わせたようにため息をついた。
落とされないようにする訓練、と称したゲームを提案したのは神永だった。いつものゲームをしている彼らを眺めながら、千歳は福本と洗い物をしていた。
面倒臭いことを言い出したと迷惑そうな顔をする面々の他に、面白そうだと目を輝かせる面々。
勿論千歳は前者だ。
大体、落とされないとは何だと、誰も落とされることはないだろうと興味なさげに仕事に集中すれば、神永が余計なことを言った。
『千歳も参加な』
拭き終わったコップを戸棚にしまい、それではこれでと足早にその場を立ち去ろうとすればニコニコ満面の笑みを浮かべた甘利と田崎にキャッチされる。
逃げることは許さないと。
女を落とすゲームがあるなら落とされないゲーム、即ち快楽負けないということならしい。
各々が花街に出向いて実践する方式。引っ掛けるのは男でも女でも良いそうだ。
自分がやる意味もなければその意思もないため、大人しく指示を受けて、実践などせずに帰ろうとしていれば甘利が囁いた。
『千歳は俺らの中から選ぶから』
逃げ場をなくされていく。千歳は脱力した。
和気藹々と話し合う彼らをよそに、どうやってこの状況を切り抜けようと千歳は思案していた。
(で、貧乏くじ引いたのが小田切さん…)
乗り気ではない1人、小田切に白羽の矢が当たった。女性を抱くことに全員抵抗はないが、どうせなら嫌がるもの同士でやらせた方が面白い、と三好が悪い顔をして宣ったらしい。
今度料理した時には、大量の塩分を彼の皿に加えてやろうと、小さな怒りの炎を燃やした千歳に小田切が声をかける。
「嫌ならやめてもいいぞ」
それは同情なのかと視線をやれば、僅かながら戸惑いの色を見ることができた。
「小田切さんこそ気まずいならやめますか?」
互いが乗り気ではない、ならやめてもいいはずだが、そんなこと彼らもお見通しだろう。やめたらやめたで、それ見ろそんなことすら出来ない、と後ろ指を指されることは明白で。
そしてそれを黙って受け入れる自分達でもない。
これくらいできなくてどうする、という妙なプライドがふつふつと沸き上がっていた。
「手早く済ませましょう」
「了解だ」
今から愛を育む行為を行うとは思えない台詞を互いに吐き、互いの服を脱ぎ始めた。
ーーー
首筋に噛みつけば女性らしい声を上げる。双丘に手をかけその頂を挟み込み、弄れば身をよじらせた。
目の前の女性は本当にあの千歳なのかと小田切は若干の戸惑いを隠せなかった。まるで本当に普通の女性だ。
「ふっ、あ」
既に濡れている秘部に指を入れ中を擦れば、悦に浸った瞳が小田切を見つめる。
淡白な小田切もひどく興奮した。
「意外だな」
「あ、やっん」
ざらざらとした部分を何回も執拗に擦れば徐々にその声は高くなっていく。
ぐりっと秘豆を潰せば、つま先まで体を震わせながら千歳は達した。
達した余韻から、身体をへたり込ませる彼女の内部に小田切は容赦なく入っていく。
「っ、小田切さ、おっきいっ」
思った以上の質量だったのか、千歳が目を見開いた。膣内が収縮して小田切のものを締め付ける。
ゴム越しにも分かる女性独特の感触に、小田切は眉をひそめてその悦を堪えた。
「はっ、随分と気持ちよさそうだな」
引き抜いた竿を奥へと打ち付けたり、探るように動かせば、千歳は声を出さまいと手の甲を口元に押し当てた。
「んっ、ふっ」
激しくなる上下運動に耐える姿に、小田切は普段持つことのない嗜虐心をくすぐられる。
「っ、あ」
腰を持っていた手で、口元を押さえていた両の手を掴み、そのまま運動を再開する。
案の定、千歳の抑えていた声が響いた。
「やっ、あ、はっん!」
表情もよく見える体勢に小田切は余裕をなくしていった。普段見ることのできない霰もない姿、自分の竿を求めるように腰をくねらせる女性的な一面、熱のこもったその瞳。
興奮材料としては十分だった。
「あ、おくっ、やだっ」
「好きなのか?っ、」
「っ、やっ、おだぎり、さ、ひぁっ!」
体制を変えて逃げようとする千歳の腰を捕まえれば、その身体を抱き寄せる。対面座位の格好にすればより深く竿は膣内を抉り、千歳の目が見開かれた。
「や、だめっ、これっ」
「奥が良いんだろ?ほら」
「っ、やっあ!!」
ぐりぐりと自身の雄を動かせば思わぬ刺激だったのか、千歳が小田切にくたりと倒れこむ。
そんな彼女の腰を掴み小田切は竿の先まで引き抜くと一気に腰を落とした。
「ひあっ!やっ、だっ」
快感を逃がそうと身を捩る千歳に抵抗は無駄だだと今度は突き上げれば、びくんと身体が跳ねる。その姿が堪らなく淫らで、思わず自身の雄が一層膨れ上がった。
「やっ、おっきく、ひぁっ、あ!」
「はっ、千歳」
「おだ、ぎりさっ、あ、やっあ!」
恍惚とした表情を浮かべた千歳とかちりと視線が合う。何のためらいもなくその唇を奪うと、互いに咥内を犯すように舌を絡め合った。
舌が絡まる音、結合部からの水音、霰もない淫らなその空間に小田切は酔いしれた。
「あっ、ふっ、だめっ、もう」
「腰っ、動いてるぞ」
「っ、ち、がっ、ひぁ!」
小田切にしがみつき、しかし自らの腰を揺らし快感を求めるその姿。それを指摘すれば、涙を浮かべ羞恥心をさらけ出す千歳。それでも、腰の動きを止めない。
「あっ、やっ、だめっ、やだ」
「いきそう、か?」
小田切がそう問えば、千歳はこくこくと頷く。小田切はそのまま、仰向けの状態になると上に跨る彼女の腰を動かし、自身の竿を打ち付けた。
身動きが取れない状態で、千歳は小田切の上で喘ぐ。
「ひっ、あっ、だめっ、やっ!〜っ!」
「っ、」
何度目かの打ち付けで彼女の最奥に亀頭が当たった瞬間、千歳は小田切にしがみつき果て、何度か腰を動かし、小田切も薄い膜に白濁を吐き出した。
互いに荒い息を吐き、呼吸を整える。
「小田切さん、意外とお上手ですね」
ひどく冷静な声が響き、小田切が目を見開く。
小田切に身を預け、しなやかな身体へたり込ませていた千歳がゆっくりと上体をもたげた。
(こいつ)
「どうでしたか?私の身体は」
ニコリと、しかしどこかしたり顔の彼女に小田切は眉間に皺を寄せた、彼女は分かっていたのかと。
「声を出すことを拒めば嗜虐心をくすぐられ、より快感を与えようと盲目的になる。小田切さんも立派な殿方だと勉強になりました」
千歳はそう言えば、乱れた髪を耳にかけ、ぬるりと自身の中から竿を抜いた。
どこまで彼女のあの姿が演技だったのかは分からない、が少なくとも、自分が興奮させられていたことだけは見抜かれていた。
それがすべてだ。
「普段見ることのない悦に溺れる小田切さん、とても煽情的でしたよ」
くすりと笑う彼女に、小田切は頭を抱えた。敵わない。きっとこの分だと、あの痴態が本当なのか嘘なのかさえわからずじまいだろう。
完膚なきまでに叩きのめされた自負心を千歳がフォローするように囁いた。
「技術は高いと思うので、あとは溺れないように注意して下さい」
本当に敵わない。
ーーーーー
正直者
prev next
back
言葉の遊び リンク文字