「っ、ふ、ぁ」
「相変わらず声を抑えるんですね、貴女は」
「ぁ、んっん」
「別にいいですけど」

ぐっ、と押し入れられた逸物に思わず悲鳴を漏らしかけた。腰を掴まれ尻を突き出すような格好にまるで獣のようだと自嘲する。
必死にシーツを噛み声を抑える姿は彼の目にはどのように映っているのだろう。




数時間前、今の自分と同じ様に腰を突き出し行為に及ぶ彼を千歳は見ていた。
男色に対応するための訓練。相手は女でも男でも手玉にとる様なジゴロだった。
同じ小柄な身体でも、波多野や三好は存外筋肉質なことを千歳は知っている。柔術の講義の際に見えた筋肉のつき方は小柄ながらもしっかりとしたものだった。
しかし、実井はその顔と身体で女として男を惑わすことも出来る。綺麗、というよりは可愛らしい顔つき。

大東亜文化協曾の地下の一室で行われたそのまぐわいに千歳は思わず目を見張った。結城中佐の指示で訓練視察の一環として出向いたその場でよもやそのような場面を目にするとは思っていなかった。
完璧に愛人として演技をする姿はとても美しく、男とは思えないほど煽情的。弛緩した身体を惜しげもなく相手に見せつけ快楽を強請るその姿は女顔負けの様相だった。

その姿に目を奪われていた千歳と実井の視線がカチリと合った。


(え)


一瞬、実井の顔が歪められた。完璧な演技を貫いていた彼に見えた僅かな綻びは、しかし直ぐに結び直される。
視線を外した彼は直ぐにまた、完璧な愛人、へと舞い戻っていった。




「っ、あっ、ん」
「考え事ですか?」

ぐちゅりと秘部からの卑猥な音が耳に届く。実井が千歳の耳元でそう囁き、ねっとりと舌を這わせる。その感覚に千歳は思わず身体を強張らせた。


『抱かせて下さい』

自室で読書に勤しんでいた千歳の元に彼が来たのは、恐らくジゴロとの訓練が終わって間もない頃だった。
物腰柔らかな柔和な笑みを携えていたにも関わらず、放つ気配は棘があり明らかに苛立っていた。

男に抱かれていた所を見られたことでプライドでも傷付いたのかと推測しようとした千歳の腕を掴むと、実井はベッドに縫い付けた。
自身に覆い被さる彼を見て、千歳は目を細めると、ひとつ息を吐いた。





「ねぇ、千歳さん」
「ん、なんですか」

物思いに更けていた千歳の意識が再び彼へと戻る。名を呼ばれ千歳は首だけ彼に向けた。
彼女の目に映った彼は酷く妖艶でそして


「これなんだと思います?」


暴力的だった。



ーーーーー



想定外だった。実井は数時間前の出来事を思い出して苦虫を噛み潰したような面持ちとなる。
男相手の訓練は他の訓練生もこなしていた。身体を売ることに抵抗などない、この身体は自分の武器だ。最大限利用して情報を引き出す為のもの。
だからこそ完璧にこなしていた。視線ひとつ、声音ひとつ、相手をその気にさせる為にはどんな仕草も完璧に演じていた、はずだった。

入ってきた気配は2つ。ひとつは結城中佐、そしてもう一つはーー

チラリと向けた視線。しまったと思った時には相手が微かに目を見開いた。
見られたくなかった、その気持ちを仕草に表してしまった失態に実井は奥歯を噛み締めた。




チクリとその細く白い腕に針を刺す。そのまま液体を注ぎ込めばぴくりと肢体が微かに揺れた。
以前、遊び、で作った催淫剤だ。試しに神永で打った時には1時間も経たないうちに花街へと姿を消した。

抱かせろと迫った彼女は自分を拒まなかった。実井はその事実にも不満を募らせていた。
あの時交わしてしまった視線をひどく後悔した。自分を見透かされたからこそ彼女は目を見開いたのだ。

隠しきれぬ苛立ちをぶつけても拒みもせずかといって求めても来ない。ただ自身の淀みを吐き出させようとしている様なその姿に実井は顔を歪め、そして忍ばせていた物を彼女のその体に染み込ませた。


「っ、」

身体を震わせ荒い呼吸を繰り返す千歳に実井は笑みを浮かべた。
背中に舌を這わせれば、「ひっ、」とか細い声を上げる。同時に下腹部に力が入り実井の竿を締め付けた。
そのまま腰を動かせば、先ほどまでとは違う反応が返ってきた。

「あっふ、あっあ、」
「はっ、淫乱ですね」
「っ、ひぁ!あ、ぁあ!」

腰を打ち付けるたびに収縮する膣内。
組み敷いている彼女は悦楽に耐える様に固く目を閉じてシーツを噛み締めていた。


ーーもっとだ


実井は唐突に彼女の中に入れていた逸物を引き抜いた。そして次の瞬間、

「っ!、ひぁっん!!」

薄い膜がなくなった、ダイレクトな竿の感覚が身体を駆け巡り千歳は甲高い声を上げた。
一際響いたその媚声に実井は乾いた笑いを漏らした。

「ほら、こっちの方が良いでしょう?」
「やっ、め、あっん!」

千歳の秘部からとめどなく溢れる膣液が身体に刻みつけられている快感を物語っている。
与えられる快感に翻弄されまいと耐える彼女に実井は追い込みをかけた。

耳元にそっと口を近づける。



「中で出してあげますね」



夫婦ならば喜ばしい、しかし彼から放たれた衝撃的な一言に千歳は硬直した。

「なか、だめっ、やっ」

見開かれた目、逃げるように身を捩ったその身体を掴み腰を打ち付ければ膣が竿を締め付ける。

(いい気分だ)

嫌がる素振りを見せずひたすら与えられる暴力的な快感に耐えてた千歳に見えた拒絶の色に実井はひどく興奮した。嫌がれば嫌がるほど、膣は緊張するのか実井の逸物を締め付けた。

「っ、はは、もう少しで出ちゃいますよ」
「!、やっ、ぬいって、やだっあ、ひぁ!」
「大丈夫ですよ、孕んだら面倒くらい見てあげますっ」
「や、ぁ!じつ、いさっ、だめっ」

最奥の子宮口を圧し潰すように亀頭を擦り付ければ、声にならない声を上げて千歳は仰け反った。
実井は舌舐めずりをするとそこを何度も攻め立てた。
達した余韻に浸らせることなく、快感を与え続けオーガズムを感じさせ続ける。

「あっ、ひぁっあぁ!やっ、め」
「っ、そんなにされたら、出ちゃいますよっ」
「っ!、やっ、やだっ、ぁあ!!」

首を振り自身を拒絶する彼女の腰を掴むと、膣の入り口まで引いた竿を根元まで一気に差し込む。
打ち付けられた快感に何度めかのオーガズムを感じ千歳が果てると、実井は限界を迎えたように白濁を彼女の中に注ぎ込んだ。

「!、あっ、出て、やっ」


「逃がしませんからね」

力の入らない身体をそれでもと捩り、竿を抜こうとする千歳の身体を掴み一滴も零させないと言わんばかりに、竿を奥へと擦り付ける。
ふと、実井が彼女を見れば達した余韻から焦点の合わない目で虚空を仰ぎ、浅い呼吸を繰り返していた。


ぞわりと実井の中で何かが蠢いた。


「…っ、!あっ、やっ」

彼女の肢体を仰向かせ、その両腕を掴むとズンと腰を進める。目を見開いた千歳と交錯した視線で抗議の意思を示された。

「っ、あっもぅ、やっ」
「嫌ですね」
「なっ、あ、んぁ!あ!」
「まだ欲しいでしょう、貴女も」

霰もない声を出しながら抵抗の色を見せる千歳に反応するように実井の逸物はその質量を増した。
膣内を押し広げるそれに千歳は声にならない悲鳴をあげる。

「っ、あ、やだっ、や」
「ほら、またっ中に出ますよ?」
「っー、!じつ、いさっ、」
「嫌なら頑張って下さい、ねっ!」
「ひっ!ぁあ!」

ぐり、と奥を掻き乱せば身体は嫌でも反応する。逸物を締め付ける膣に実井も眉を顰めた。
言葉とは裏腹に感じる身体、漏れる声、善がる表情。薬のせいであってもその姿はとても煽情的だ。
自分の白濁が注がれた彼女の中に、自身を刻み付けるように再度注ごうとしている事実が、実井をひどく興奮させた。

「あっふ、もっ、やっぁ」

女としての千歳の姿に優越感を止められなかった。
追い打ちをかけるように陰核を摘めば、身体を反らせて千歳は達した。達した後も実井は陰核を摘み、腰を打ち付ける。
休ませてなどやらない。

「ほら、もっと鳴いて下さい」
「っ、いや、あ、ぁあ、ひぁ!」
「気持ちいいんでしょう?」

室内に響く水音と霰もない声。膣では自身の白濁と彼女の膣液が混じり合っている。
実井は口角を吊り上げた。
掴んでいた腕を離し、彼女を抱きすくめると首筋に噛みつき跡を残す。痛みに眉を顰めた千歳に構うことなく圧し潰すように腰を打ちつけた。

「っ、〜!!」

ぎゅっとシーツを握りしめ果てた千歳の中で何度か腰を動かすと、拒絶する力もない彼女の中に実井は再び白濁を注ぎ込んだ。

「ん、ぁ」

それすら快感なのか、甘い吐息を漏らした彼女に徐に口付ける。シーツを握りしめていた手を開かせ自身のそれと絡めた。
まるで、全てを奪う感覚に実井は酔いしれる。

「ふ、ぁ」
「はは、本当に孕みそうですね」

唇を離し、ずるりと自身の竿を抜けばコポリと流れ出た液体。随分と柄にもなく出してしまったものだと実井は自嘲した。
ぐったりと横たわる千歳の秘部から流れる白濁に口角が吊り上がる。

「……っ、あ」
「出しますからじっとしていて下さい」
「じ、ぶんでっ、ん」

実井の細長い指が千歳の膣内をかき回すと、白濁が外へと溢れ出した。余計なお世話だと彼の肩を押し返して離れようとする彼女に実井は眉を潜めて膣内のざらりとした部分を撫ぜた。

「っ、やっ」

途端に身体から力が抜け代わりに実井の指を締め付けたその肢体に実井はくすりと笑みを零した。そのまま白濁を出し続けていると千歳がふと実井を呼んだ。


「実井さん」
「何ですか」
「満足ですか」


呆れたような視線を自身に投げる千歳に実井は考える素振りを見せ、そして



「貴女が孕めば御の字ですね」



満面の笑みを見せた。



ーーーーー


歪む自負心
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