爆豪勝己と修羅場
とある日に久々に町に出てきた。最近デクに負けるわ、あたりに拒絶されるわで散々だったから。気分転換で趣味である登山で必要な物を物色していた。
あたりとの関係は昔と比べたら幾分かましであったが、それがアイツの負担になっていることも気づいていた。デクに負けた忌々しい日にアイツを抱き締めた時だってそうだ。あの時は俺もあれだけ付けてろと言っていたネックレスを付けてなかったのもありイラついていた。攻めすぎたとは後悔している。しかしアイツはあの後トイレにこっそり吐きに行った。それからは平然としていたがそれが腹立たしい。アイツの愛されることでのトラウマの大きさをその時にはじめて実感した。そんなことさせたくねぇってのに。アイツは俺に弱音一つ吐くことがなかった。
「くっそ、腹立つ」
俺にもまだ壁があるってのかよ、どんだけ厚いんだよ糞が
「あたりちゃん!あれも可愛い!」
「あー、買ったげるよ」
「え?いいの?」
「あたりちゃん大好き!」
「…おー」
自分を落ち着かせようと外をふと見ると見慣れた女と知らねぇ男が歩いていた。少し様子をみていると男はアイツにベタベタ引っ付くわ、好きだなんたらと言っているじゃねぇか!俺でも言った事ねぇなのに!!
俺は堪忍袋の尾がキレて二人を追いかけ捕まえた。
「おいいい!!あたり!!!」
「げ、かっちゃん」
「げってなんだよ!!誰だそいつ!!!」
「誰って、」
「かっちゃんって…ああ」
どうやら男は俺の事を知っているようで俺をジトッと見た。そしてあたりの肩を自分の方へ抱き寄せどや顔をしてきた。こいつっ
「んだてめぇやんのかよ、てか離れろや!」
「やだ!」
「爆破すんぞ!!ごらぁ!!!」
俺は男からあたりを引き離そうと手を引っ張る。様子がおかしいので顔を見ると真っ青になっていた。
「う、離して、私、だめ、死ぬ」
「あたりちゃん?!」
男の制止を聞かずにあたりは口を抑えてえずきながら走り近くにあった女子トイレに駆け込んでいった。またかよ。
「…え、悪阻?」
「は、」
何故か男二人が残り唖然としていると、男が言った。悪阻?!
「はぁあ?!!悪阻?!」
「お前か?!お前なの?!」
男の反応で少し安心した。悪阻の相手が俺と疑っているということはそういう関係でないことだろう。ていうか
「何がだよ!てかてめぇ誰だよ!」
「俺はあたりちゃんのディステニー!折角デート誘ってくれたのにお前のせいで台無しだ!殺すぞ!」
コイツ、痛い奴だ
「やってみやがれや!」
「あぁ、こんな口も目付きも悪い男に!あたりちゃんの純情が!!それにまだ高校生なのに、そんな馬鹿な!」
このテンションの上がり方、なんか見たことある。
「スッキリした…何叫んでるのよ、あたる」
女子トイレから顔色が少し治ったあたりが出てきた。そうだコイツのテンションの上がり方と似ている。…ん?
「あたる?」
「かっちゃん、ごめんね。弟が」
「弟?!」
内心、似ていることに納得した。てか俺より身長高いじゃねえかいつか殺す。
「やめてあたりちゃん。俺は一人の男として君が好きなんだから」
「…うっぷ」
弟の言葉にあたりは再び口を抑えた。
「えええ!?」
「…ごめんねかっちゃん。人との接触のリハビリ兼ねて弟とデートしてたの。これ、こんな感じだから。」
「吐くほどかよ」
「家族は尚更、これ乗り切れたらいけるかなって。ショック療法的な?」
「てかつわりじゃないんだよね!?」
「エッチなんて、できないよ」
「よかったぁ、」
どや顔すんなや、安心しろやいつかはするからな!
「あの時…やっぱり吐きそうだったのかよ」
「あの時って何ぃ?!!」
「うるせぇ黙れや外野!」
「あの、」
「…どうなんだよ」
「、うん」
「かっちゃん?」
「…」
「チッ、」
「かっちゃん」
「付いてくんなよ!」
「私頑張るから!だから」
「いい加減にしろや!そんな事望んでねぇ!」
俺は居たたまれなくなってその場から離れた。頑張るとかごめんとかそういうことを言わせたいんじゃねぇ。無理だったら言えや糞。何で弟に頼ることができるのに俺には言えねぇんだよ糞!糞!
次の日の登校時にいつものようにあたりを迎えに行った。その時は俺の事を頼れなんて臭い台詞でも言おうと思っていた。「ごめんね、かっちゃん、頑張るから」挨拶する前にそう言ってきたもんだ。その汐らしい反応に、イライラしてしまい怒鳴るとまた謝ってきてまた落ち込んでいく。その悪循環に嵌まってしまった。幼馴染みだろ!?俺の気持ちくらい気付けや!!ブス!!!
- 12 -
*前次#