信じる愛
かっちゃんにあたるといるところを見付けられてからというものギクシャクとした空気が流れていた。何故かシスコンになっているあたるをデートに誘い、人に触れられる事になれようとしたのに。私がかっちゃんを怒らすことなんていつもの事なのにあの時から怖じけついてしまった。いままでは嫌われて当然くらいに思っていたが、かっちゃんが私を受け入れると言ってくれたことでそれが変わった事にその時気づいた。怖かった、かっちゃんに嫌われたりすることが。故に立腹するかっちゃんへの対応が分からず怒鳴られた際にはひたすら謝ることしかできなかった。かっちゃんは謝んなって怒鳴るのもわかるし自分でも女々しいなんて思っていたけど。嫌われたくないから謝り続け、数日がたった。
ある普通科の授業中の事だった。かっちゃんとデク君のクラスのレスキューの授業中にヴィランが侵入したのだという。数人が軽症で一人が重症だという。冷や汗が出た。かっちゃんは無事?可愛いかっちゃんがヴィランに目をつけられ痛め付けられてたらどうしよう。私はいてもたってもいられず個性を使い消しゴムをかっちゃんに投げた。私の個性は最近少し調整できるようになったようで、知ってるターゲットには少し念じれば視界に入ってなくても当たるようになった。威力は変わらないようだったけどね。私は無我夢中でホームルームを抜け出して消しゴムが飛んでいく軌道を追いかけた。その先にタイミングよく保健室から出てきたかっちゃんとばったり会った。と同時に根気よく投げた消しゴムがかっちゃんの顔面を直撃した。
「ぶっ!」
「かっちゃん!」
「あたりてめぇか」
「たんこぶが」
「っ大したことねぇよ!てかお前のせいな!」
「っ…ごめん」
かっちゃんが舌打ちした。この顔はめんどくさいと思ってる顔だったので直ぐ様に謝るとかっちゃんは不機嫌そうにまた舌打ちした。後ろにいた赤髪と金髪の男子が修羅場?喧嘩?何爆豪なんかしたのか?なんて騒ぎ始めたのに気づいたかっちゃんは無言で私の手を引っ張ってその場から離れたというか校舎から出た。話しかけても反応してくれずやっと手を離してくれたと思えばかっちゃんの家。誰もいないようでイライラしながら鍵を開けてそのまま私はかっちゃんの部屋に投げつけられるように入れられた。
「かっちゃんっ」
「…おい」
「ごめんなさい、かっちゃん」
ぶちっとなんかかっちゃんから音がした気がした。かっちゃんを見るとヤバいキレる。時はもう遅く私はかっちゃんに胸ぐらを捕まれた。
「……うぜぇんだよ!最近ホントになぁ」
「…ごめ、」
「俺はそんな言葉聞きたくねぇんだよ」
「…」
「俺があの時キレた理由わかんのかよ」
「…、弟に頼ったから」
「それで?」
「う、私ゲロ吐くし」
「はぁー」
「うぅ」
かっちゃんが私の返答に大きなため息をついた。
「ゲロ女だし鬱陶しいとか煩いとか死ねとか思うがなぁ」
「…っ」
「お前の嫌なこともトラウマとやらも、良いことも全部、全て。俺は受け入れるって言ったろ」
かっちゃんが真っ直ぐに私を見た。
「だから、」
「、かっちゃん」
「だから、弟なんかじゃなくって、俺に言えや、もっと俺を頼れよグズ」
「、うん」
「…だから、もうビビんな。堂々といつもみたいに笑ってろ。俺はいなくなんねぇよ」
「う、んっ」
かっちゃんが胸ぐらを掴む手を離してそのまま私を抱き締めた。あの時のようにかっちゃんの匂いがした。でも不思議と吐き気はなく、あるのは暖かさと心地よさ。私がかっちゃんの背中に手を回すとビクッとかっちゃんが反応し更に強く抱き締められた。暖かい。
「あははー」
久々に笑えた。私馬鹿だな。かっちゃんの事を信じること忘れてたなんて。何をグダグダ考えたのだろう。大丈夫、かっちゃんはいなくならない。
「あたり」
「ん」
「好きだ。(やっと言えた)」
「…くー、」
「は?寝てるのかよ?」
「か、ちゃ、…ん」
「…はぁー」
爆豪少年は恐らく睡眠不足だったのであろう女を寝かしつけることにした。ついでに女のポケットの中を漁ると出てきたのはネックレス。やっぱり持ってやがったな、呟いて女の首に付け、キラキラ輝くそれに独占欲が満たされ満足し自分も再び女を抱き締めながら昼寝することにした。
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