強さとは
下校最中に私は生きる平和の象徴であるオールマイトに呼び出された。その時にかっちゃんが林間学校の最中にヴィランに誘拐されたと聞かされ衝撃を受けた。
「君の個性には追跡機能があると聞いた。協力して欲しい。」
学校で個性を使ったのを見られたのだろうな。私の百発百中の個性を利用してヴィランを捕らえるらしい。
「わかりました」
「そう言ってくれると思った。」
「しかし条件があります。」
「駄目だ」
「え」
こちらの条件を言う前に止められた。
「君は付いてきたいのだろう?しかし市民を巻き込むわけにはいけない」
私の考えはお見通しのようだった。
「…必ず助ける。だから協力してくれないか?」
私はオールマイトに協力をすることにした。小さい発信器をかっちゃんに投げて住所を特定するという簡単な作業だった。私もかっちゃんを助けたいしそこに、向かいたい。でもいつもとは勝手が違う。私はこの人たちに取って足手まといなのだ。かっちゃん救出の作戦成功の可能性を上げるためにはやもおえない。私の個性はただ当たるだけである。普通の人ならそう思うだろう。オールマイト達に協力を終え、そう自分に言い聞かせて家路に着いたが、家の前に幼馴染みであるデク君が立っていた。私を待っていたのだろう。
「あたりちゃん」
「デク君、」
「ごめん、かっちゃんが」
「誘拐されたんだよね。」
「う、うん」
知ってたんだね、と気まずそうにデク君は付け加えた。
「必ず助けるから、必ず」
そしてオールマイトと同じような事を宣言してきた。こんなに闘志を剥き出しなデク君を初めて見た。いつもは怯えてびくびくしている彼が、だ。
「…敵本拠地でしょ?大丈夫?」
「わからない。でも!」
「…」
「あたりちゃん?!」
「私駄目だね。弱いし無力だ、よ」
自分の無力さに今までこらえていた涙が頬を伝った。今までかっちゃんに与えられ、守られていた故にこのような現状に至ることがなかった。だからこそ自分にできることが見つからないしわからなかった。同じ無力側の人間であったはずのデク君は私と違いすぐ最適な行動に移しかっちゃんを助けようとしている。単純に羨ましい、と思った。いつもそうだ。私はかっちゃんのことになるとすぐに優柔不断で弱気になる。私はまだかっちゃんを信じられていないからだ。かっちゃんは戻ってくると信じられていない。
「気持ち凄くわかるよ。僕も昔はそうだったから。でも僕はそれが嫌だから助けにいく。」
彼のその瞳はヒーローそのものだった。どことなく、かっちゃんが大好きだと言っていたオールマイトに似ていた。
正直なところ今までの私は自分を犠牲にしてでもいいから助けに行こうと思っていた。重機を盗みヴィランの所に特攻をするなど模索していた。無力である私はきっと足手まといになる、しかしこの個性ならば時間稼ぎくらいはできる。デク君にはそれがわかっていた故にこうして私の元へ先手を打ちに来たのだ。勿論いつもならデク君が心配するようなことはするだろう。しかしその行動こそが、かっちゃんが嫌がることも知っていたし、何よりもかつてのように私がかっちゃんを信じられていない証拠だということがわかっていた。
「そっか。これあげる」
私は懐に隠し持っていた紙切れを渡した。
「さっきオールマイト直々に私に個性を使って位置を見つけて欲しいと依頼されてね。その時の住所。」
「あたりちゃんは、」
「私は流石に足手まといだからね。君とはいかない、勿論オールマイト達共ね。だから必ず、助けて、」
「うん!ありがとう!!」
私も、強くなりたい。
そう思い涙を強く服の裾で拭いて笑った。
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