緑谷少年のため息




再び一人となった緑谷少年は相変わらず変わらない幼馴染み達に一つため息をこぼした。かっちゃんは昔からあたりちゃんが好きで堪らないが、それに気づかないあたりちゃん。というかとっくに付き合ってると思っていた。今回だってかっちゃんは僕と居たことに嫉妬していると遠回しに言っているのに彼女は気づかない。鈍感を通り越したそれはもう徹底的に拒絶とでも言えるほど。しかしそれは昔からだ。かっちゃんが素直に面と向かって好きだと言えば変わるかもしれないがそれは彼の性格上または彼女の性格上でも困難のようだ。あたりちゃんは明るい性格で皆からとても人気者で僕のような人間にも分け隔てなく優しく接してくれる。かっちゃんの本質だって見抜く力があるのに自分への恋心は全く気づかない。僕はふと、昔の事を思い出した。

「嘘つかないで」
幼稚園の時あたりちゃんの事を好きだと言った園児に向かって言った言葉。その時の目はとても冷たく感じた。その時は何の事かさっぱりわからなかったが今となったら分かる気がする。彼女は理由はわからないが自分は愛されない人間だと思っている上にその好意を拒絶する傾向なのだろう。故にかっちゃんの好意に気づこうとしない。そうならば仮にかっちゃんがあたりちゃんに告白できたとする、それにより二人の関係が終わってしまう可能性が高い気がする。あれ?それもきっとかっちゃんだってわかっているはずだ。あぁ、だからかっちゃんは遠回しにしか言えないのか、納得した。かっちゃんはかっちゃんなりにあたりちゃんを想いながら行動している。ちょっとずつちょっとずつ自分の思いを伝えていくつもりなのだ。もうそれは恐らく僕が知る限り5年前からだから本当に尊敬に値する。

窓の外に僕が今思っている二人が追いかけっこをしているのが見えた。僕が知る限りであたりちゃんもまたかっちゃんに依存していた。あたりちゃんは友達が多いが特定の人間とつるまない傾向があり以外に普段一人でいることもまた多かった。かっちゃんを除いては。それはきっと自分への好意を形として出さないからなのだろう、そう思うと切ない気持ちになった。捕まったあたりちゃんはかっちゃんに笑った。かっちゃんは気にくわない様子だが満更でもないようにも見えた。その様子なんてカップルがいちゃついているようにしか見えないが周りが思う以上に互いの気持ちは大いにすれ違っていたのだ。
僕は陰ながらかっちゃんの事を応援することにしよう。いつかかっちゃんの思いが伝わるように、あたりちゃんが愛されることを受け入れることができますように。

つまり何が言いたかったのかというと…はよ付き合えや、である



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