愛されるという事
私は産まれた時から両親に愛された。それはもう人並み以上に。しかし、個性婚だった両親は私の個性の発動と弟の誕生によりにより簡単に私を愛さなくなった。それもそうだ両親にとって私は没個性だったのだ。この世の中は強い個性が世界を征する。長子だった私は私より強い個性を持つ弟にすぐに追い越され、私は要らない存在となりネグレクトになった。弟には買い与えられる玩具は私にはないし、外食も私だけ置いてきぼりだった。それでも両親に愛してほしくてたまらなかった。そんなある日、私は弟と物の取り合いの笹井な喧嘩をして日頃の鬱憤もありそれはもう盛大に殴った。勿論母親も父親も弟を庇い私を殴った。その時の言葉が今でも頭から離れない。
「お前なんて生まなきゃよかった」
母親が言った言葉だ。あれだけ私のことを愛してくれたはず、そうか愛される事には終わりが来るのだ。そう思えば納得した、いやせざるおえなかった。愛されたら、飽きたらいらなくなると、私は自分に言い聞かせた。私その一件から私は近くの別荘で一人で暮らすこととなる(家政婦はいたが基本は一人でいた)。愛されたい、しかし愛されないのは当たり前だ、それで自分を保つことができた。愛されることでいつか、終わりが来る。それが怖かった。それならない方がいい、ずっといいと思った。私への好意は全て嘘だとそう思うことにした。愛することは簡単だ私がやめない限り終わりはない。そんな中であったのがかっちゃんだ。彼は私にとってヒーローだった。強いしかっこいい、その上こんなに私に冷たくしてくれることで安心できた。ずっと一緒にいてくれた。かっちゃんの言葉にしてくれない優しさに私は救われた。だから彼に見会うヒロインが必要だった。私はそれを見守る市民で構わない。たまにいつの日からか忘れたがそう思えない時があった。かっちゃんが私以外の女の子と喋っている時だ。彼処はわたしの位置だという貪欲な感情が溢れてくる。なんて醜いのだろうか。かっちゃんには彼女できたらいいねなんて言うくせにね。でも愛される事の方が怖かったから顔には出さないしそう思うこともできた。
なのに今日のかっちゃんはとても嫌な予感がした。いつもと違うから。聞きたくなかった、かっちゃんの言葉を聞いてしまうとまた嬉しくなる、でも次は必ず捨てられる。私の前からいなくなってしまう。だから逃げた。逃げたところで、かっちゃんが言いたいことなんとなく分かってしまったからもう後には戻れない。
「やっと見つけた」
「かっちゃん、」
流石幼馴染みだと言うしかない。私が逃げ込む所なんて分かるようだ。よく遊んだ公園の隅にあるベンチに座りすくんでいた所を見つけられた。
「なんで、泣いてんだよ」
「あれ?」
かっちゃんに言われて初めて気付いた。泣いていた。親に捨てられて以降泣いたことなんてなかったのに。かっちゃんも私と同じように薄着で珍しく息を切らしていた。落ち着くためにか私の座るベンチの隣に盛大に腰を下ろした。
「俺は、居なくならねぇよ。お前のことも捨てねぇ。だから、泣くなよ」
「…やめて」
「俺はお前のこと、」
「やめて!」
「…」
「…ごめん、怒鳴って」
私が声を荒げたことにかっちゃんは不機嫌そうに黙ってくれた。そうだ、素直に好きだと言われる事が嫌だと伝えよう、今まで聞かれなかったし自分からいうこともなかったから。そうだかっちゃんならわかってくれ…
「幼稚園の時ヒーローになってお前のこと守るってこちとらとっくに誓ってんだ!ちったぁ俺の事信じろよ!」
「…っ」
…ると思った、けど先手を取ったのはかっちゃんだった。今度は私が逃げれれないように頭と腕を抑えられた。間近にかっちゃんと目が合う。目が反らせられなかった。
「もう一回言う。俺はお前のこと一生あい…一緒にいるって覚悟できてんだ。お前も腹くくれや」
幼稚園の時にかっちゃんと初めて会った。ガキ大将だったかっちゃんは当時虐待されていた私に対して言った言葉があった。俺が守ってやるよ、と。私もかっちゃんも偉く昔の事を覚えていることに少しおかしくなった。今もあの時も、私の欲しい言葉くれる。かっちゃんの手を私は握り締めた。
「うん。ごめん。」
「そんなこと聞きたくねぇ」
「…ありがと」
「……おー」
あ、照れた。そっぽ向いた。
「かっちゃん」
「んだよ」
「…もう少し、待って、くれない、、かな」
「は?」
「私も、答えたい。でも今は無理、」
「あ?」
「抗体がない、頭あんまりついて来ない、」
「っ〜、」
「え、どうしたの?」
「お前、その顔やめろ」
「どんな顔したの私」
「…帰っぞ、あちぃ」
あれそこは寒いではないのなんてツッコミはできなかった。手を繋がれたまま立ち上がらせて背を向けて引っ張りながら歩き始めたからだ。丁度よかった。私も熱かったから。
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