女と人斬りと、


「すまなかったな、桃子」

「いや、大丈夫。行くのだろ?はいこれ止血剤ね。あと晋助に会ったら殴っといて。」

「相変わらずだなお前達は」

「お前の性癖ほどではないがな」

「失礼だな男は皆変態だ」

「止めてくれ、桂さん。俺まで巻き込まないで」

「零、お前だって足フェチだろ。若い女の足前にガン見してたもんな」

「やめて!何で知ってるの!!」

「甘いな、零よ。俺なんか人妻の少し熟した体が「それ私に喧嘩売ってるの?」
一応私も人妻だからな。

「一応は無理はあまりしたら傷口開くからね」
わかっている、と簡単に言って小太郎は旅立っていった。今から高杉のところに殴りにいってくれることだろう。実にありがたい。
と思っていた。


「最近、人斬りが流行っているとは聞いたけど、まさか目の前にいるとわね」

「あら、驚かないのかい」

「驚いてるわよ。」

「そうには見えないけどね。」
あー。とうとうここ来ちゃったか。人斬りさん。小太郎を見送った夜のことだ。酒を飲んだ後に水を飲もうと台所に向かおうとしたら物凄いもの音がしたので向かうと倒れている零とその場に立っていた男が一人。盲目なのか目は閉じられているがすぐに私の気配を察知するほどの強者のようだ。男の持つ剣はまるで触手みたいに蠢いていた。アイツこんなバケモノ開発してるの?


「これで小太郎をやったってわけね」

「白夜叉もだけど、高杉の昔の仲間だっていうからどんだけ強いのかと思ったら呆気なく死んだよ。」
どうやら銀時とも交戦したのだろう。彼の様子から見て引き分けか負けたのか。

「ふーん」

「昔の仲間が死んだのに随分と呑気だねぇ」

「馬鹿ね。あいつがそんな急に死ぬわけないじゃないの。それに高杉の坊っちゃんが闇討ちなんてさせるはずないから貴方の独断による暗殺なんでしょ?」

「…さすがはあの人の女だねぇ。なんでもお見通しってか」

「そうでもないわよ。少なくとも男と女はわかり会えないものなのよ」

「そうかい。病人って聞いていたけど大層強い女のようだな」
何?鬼兵隊ではわたし病人設定になってるの?やめろよただの二日酔いだよ

「それで何?次は私でも殺そうって言うの?私戦闘要員ではないから楽しめることはないと思うけど」

「あぁ、ただあんたは高杉の邪魔だ。あんたがいるから高杉は動けない」

「嘘ね。私の知っているあいつは、私のためには動かないわ。戯れならとにかく、あいつは、あいつらは自分の思想のために好き勝手生きててね。私のことは二の次なのよ」

「っ」

「貴方は高杉を慕っているからこそ、私に嫉妬しているだけ。でも私を殺したところで少なくともあいつは私の死なんて簡単に乗り切るし、対して何も思わないわ」

「…」

「そこまでの理想と、立場を持つ男よ。私の死くらいで悲しんでる時間はないの。ここで立ち止まる男はこっちから願い下げ」

「あんた、いい女だわ」

「知ってる」

「やめろ、この人に、手を出すな」
瀕死のはずの零が私の前に庇うように立った。

「まだ動けるのかい?いいねぇ」

「逃げてくれ」

「泣かせるねぇ」
そう言って人斬りが剣を振り上げた。止めを刺すつもりなのだろうが私は前に立つ零を蹴り飛ばした。驚いた顔をする零にざまぁみろと笑うと私は斬られた。なんだろうな、他人のはずなのに身を呈してまで守らなくてはならないような気がしてならない。クズなのに。零が私が倒れて気が遠退いているときに何かを叫んだ、耳が聞こえなかったが口の動きで何となくわかった。それに私のこの感情も零の事も納得した。

おい、人斬りよぉ。私がいい女だってこと知ってるわ。だからこそ、言えないことだってあるのよ。




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