女と密偵


俺は真撰組監察方山崎退。この度鬼の副長こと土方さんから課された任務中である。攘夷である可能性がある女がいるので調査しろとのことだった。その女は間桃子と言う。調べでは手術は必ず成功するが多額の金額を請求するヤブ医者で攘夷志士も匿っている可能性があるとのこと。副長も独自で調べたことがあるそうだが尻尾が出なかったとのことだ。故にこうして俺はその場に倒れた患者としてなんとかその屋敷に潜入することに成功した。ていうか前に寺子屋で一回あってるのに覚えてないの?俺がジミだから!?


「体調はどうだい?」

「なんとか落ち着きました」

「よかった。夜も遅いしここで休むといいよ。明日病院にでも連れていこう」

「ありがとうございます」

俺はこの屋敷に潜入するために女の前で倒れた。案の定こうした輩を放っておけないようで意図も簡単に潜入することができた。生憎ベッドに寝かされ頭痛薬を飲まされただけで何も情報もないが。女の印象としては優しく美しい人。本性はわからない。

「では私は部屋に戻る。ここは好きに使って貰って構わないよ。できるのであればね」

「は、はい?」

意味深な言葉を残して女は部屋を出ていった。それから数時間後夜も本格的になった所で俺は監察としての仕事を行おうと身支度をして扉を開けたが何も起きない。女の言葉ははったりか、とホッとして廊下に足を踏み入れたその瞬間
俺の足に何か踏みつけた感触がした。嫌な予感がしてゆっくりと下を向いた。男が血を流して廊下を這いずっていたのだ。俺は悲鳴を上げて逃げようとしたが踏んでしまった足に男は絡み付いてきた。


「先生ー。ごめんなさーい。また女の子に浮気ばれてしまいましたー。」

「ぎゃー!!お化けー!!!」

「あれ?男?いやだなぁ先生ー。あの人以外の男と夜を共にするだなんぶぇあ!!」
なんか大事な事を男は言った気がしたがそんなこと気にしてられずに俺は男を蹴り上げて廊下を走って逃げた。やっと巻いた所で息を落ち着かせるために立ち止まる。男が言った言葉を思い出した。女には男がいる。そう確信した。そしてその男が攘夷志士の可能性も示唆される。俺は息を落ち着かせ辺りを散策したがこれといって何も出てこなかった。女は研究者でもあるため実験室みたいなものとか怪しい液体とかはあるが攘夷志士とかヤブ医者としての証拠はなかった。最後の部屋だと息を飲むと中から声が聞こえた。女の声だった。

「そうか食べたのか」
うっすらと中を覗くと女は携帯で電話をしている様子。しかも誇らしげに笑っている。なんのことだろう

「何?それで電話してくるってお前の小さい砲弾を今晩使うつもりだったの?残念だったなぁ!」
砲弾?何やら物騒な単語が並んでいる。まさかとは思うが。

「そんな粗末なもの私以外で使うの?嫉妬?してねぇよ。馬鹿じゃねぇの?」
ああ、痴話喧嘩か。少しだけ癒され…ねぇよ!何なの?口悪いなぁ俺の最初の印象返してくれ!

「ん?あぁ一、3日も?それはそれは…御愁傷様」
何が?!

「私、子供好きなの知ってるでしょ?息子が復活しなかったら緑の紙を市役所に提出せざるおえないわね…終わったことを言うのはいけないけど」
俺のこれまでの会話の中での考察によると、女は男とはすでに結婚しており、二人の子供が出来て何らかの事件により危篤状態。女は男と別れる理由ができてあれだけ高笑いしていたのだろう。


「これ現代社会の闇じゃない?」

「知るかよ!!相手側の素性調べろよ」

「副長!間桃子って同姓同名どれだけいると思ってるんですか!」

「知るか!それがお前の仕事だ!!」

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