女と助手の我が儘


新聞を何気なく開き今日のトップニュースに目を向けた。ん?将軍暗殺未遂?ふとつい先日前の研究発表後での一ツ橋喜喜とやらの会話を思い出した。おいおい早速動いているではないかあの男め。未遂である故に将軍の回りの警備が厳重になるだろうから当分は暗殺は難しいことになるなと朝から酒を飲んだ。


「先生、あの」

「どうやら将軍暗殺未遂事件が起きたようだな」

「ええ、え?」
あー、ヤバイな。零がこんな感じで私に声をかける事、それはつまり私にとって嫌なことが訪れる予兆であった。

「先生ここにいたら危険です。政府が本格的に先生のことを嗅ぎ回っているみたいです。」

「…やべ、」

「何かやりましたか?」

「…いや、ただ前の学会でな、自称次期将軍様にナンパされた。そして喧嘩を売っただけ。」

「…何してんのアンタ」

「仕方ないだろ?」

「俺と一緒に来て下さい。今なら鬼兵隊で匿うことが出来るはずです」

「嫌」

「お願いです!」

「…それは、アイツの差し金か?それともお前個人的な願いか?」

「個人的にです」

「…それは何故?」

「俺は実は…み「まさかとは思うが、トランクスみたいにお前は未来人であり私の息子で、私かアイツが死んだ未来でも変えようとかでも思って来た戦士とかではさすがにないよな。」

「…アンタ、本当に」

「あら当たったの?最近ドラゴンボールのセル編見てたからな。勘だったけど」

「嘘つけ!!まだフリーザ倒してなかったじゃないか!!ギニュー隊長とか言ってたじゃんか!」

「そうだったかな」

「アンタ本当に何時から、」

「確信したのは人斬りが来たとき、アンタ私の事母さんって言ったろ聞こえてたわ」

「っ」
嘘だろ?ていう顔するなよ。大声だしたから聞こえてんだよバカ。
しかし何となくアイツに似ていた所があったからなのか、助手だったからなのかわからないけど人斬り事件の時はコイツは殺らせないと脳が叫んでいた。

「それになんだろうな、本当になんか勘だった。まぁアイツもきっと同じ事を考えてるんだろうな」

「は」
ピロン、とメールの音がした。内容を確認し笑いながら画面を零に向けた。

「さっきメールしたらもう船出たとよ。」

「はぁあはあ!?!」
それは高杉晋助も一緒だったようで、零に黙って先ほど江戸を出たとのことだった。零には私を引き連れて来いとでも言って零だけを江戸に置いたのだろう、実際のところは零を戦場から遠ざけるためであったようだ。零とて鬼兵隊の一員なのだ。一世一代の戦いに向かう覚悟だったのだろう。置いていかれた零は落胆したかのようにその場に崩れ落ちた。


「私達とお前とでは護るものが違うからな」

「…あんたはそうやって強がってばかりだ!本心は違うくせに。そうやっていつもいつもいつも隠して、俺がどんな気持ちでっ」
零は未来人から来た私の子供らしい。何故来たのかなんてだいたい予想が着いたし、この零の言葉に確信した。心のどこかでわかっていた一番つつかれたくない所を更に蹴りあげられた気分だ。下を向いたままの零の頭に手を置いて撫でた。

「零よ」

「…はい」

「お前の母さんは後悔していたのかもしれないが私は後悔なんてしない人生歩んでるつもりだ。あれは平穏よりも修羅の道を選んだ。なら私はあれのいく道を見守り、時に照らし、時に雨宿りさせるのが私のアイツへの覚悟。」

「…それでは、」

「それは結果どうなっても一緒だ。どちらかが死んでもそれは守り続ける。後悔する時間なんてないぞ」
何か言い返そうとした零が黙り長い時間がたった。私はそれに対して何も言わなかった。

「…本当に強がりだな」
顔を上げて悔しそうな表情をした零に対して私は笑ってやった。強がりと悟られないよう必死にだ。

「女とは愛する殿方を待つものだ。男のお前にはわからんよ」

「…」
私の顔を見て零は黙った。この顔は諦めていない顔だった。その後私が折れるまでここで座ったままでいるだろう。誰ににて諦めが悪いんだよ、全く。
私はため息をつき零に言い放った。

「だが助手として医者としてなら戦場に赴いてやってもいい」

「は?」

「お前が護りたいものを守る手伝いならしてもいいと言ってる。あそこにはいつぞやの借りもあるしな」

「母さ」

「やめて、グズの母ちゃんは」

「つめた!」


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