性癖
朝起きたら、かっちゃんがいた。相変わらず綺麗なお顔立ちをされている。私達がこういう関係になったのは随分前だったがこうして誰かと一緒に寝ることに窮屈感がある。いつもならかっちゃんの方がヒーロー仕事の身支度のため先に目を覚ましてシャワーを浴びて朝御飯を作ってくれる。今日は久々の休日とのことで昨日に呼び出しされたくないとアラームと携帯の電源を切っていたかっちゃんを思い出す。それでいいのかヒーロー。
かっちゃんに裸体で抱きつかれている温もりにまだ慣れない私はとりあえず起こすのも可哀想なのでこっそりとここから抜け出そうとするも筋肉マンのかっちゃんからは私は抜け出すことができずにいた。結果として結構もぞもぞ動いていたのでかっちゃん流石に目を開けた。よかった、これで解放される。
「かっちゃん」
「ん」
いまだに寝ぼけているかっちゃんに対して起きて、離してと端的に伝えた。
「やだ」
「やだって」
「もう少し」
「う、ぐぁ」
が、私の意思は却下され更に抱き寄せられ更に密着度が増した。
「もう少し可愛いげある声出せや」
ごもっともである。私はまだ人と接触することに対して慣れない。そんな私の思いを知ってか知らずかかっちゃんは随分と酷いことをいうものだ。
「昨日みたいに?」
「…あぁそうだな」
かっちゃんは私の問いに関して肯定した。かっちゃんは堪えながら高い声で喘ぐのが好きなのだという私の予想は当たっていた。今のかっちゃんは寝惚けているのだろう、普段そういうことを言わないから確信がなかったけどこれで納得した。
「よかった」
「は?」
「あれね、かっちゃんのベッドにしたにあったAVの女優の物真似してたの。本当に堪える感じ好きなのね」
「…はぁ!?」
かっちゃんは驚いた声を出した。ベッドの下に置くだなんてド定番なことをしてくれたからだよ。
「…いつからだよそれ」
「最初から」
「………最初からか…そうか」
「う、ん?」
かっちゃんは何か納得したかのように私を押し倒した。目付きがいつにも増して悪く機嫌を損ねたようだ。あれ?!
「お前、そんな余裕あったんかい」
「かっちゃん喜ぶかなぁっと思って」
私の言葉にかっちゃんは私の頭を鷲掴みにした。いたたメシメシいってる!!
「…かっちゃんいたたたた!」
「余裕、あったんだろ?」
更にかっちゃんは私に問う。久々の威圧感に私は嫌な予感がした。私は彼の地雷を踏んでしまったようだ。相変わらず地雷とやらを踏んでしまうことがある。
「物真似する余裕あったんならもう少し付き合ってくれるよな?それの方が喜ぶけど?」
「朝から?!」
「優しいなまえちゃんよぉ」
もうだめだ、目が完全に逝っている。
「ひ、」
どうしたものかなんて、思ってるとかっちゃんは私の首に顔を近付け首筋を甘噛み、そして舐めたり吸ったり好き勝手にする。私は擽ったさで背筋がゾクッとした。かっちゃんはそうやって人の首を舐めたりするのが好きな様子。でも私はゾクゾクするから苦手だ。それを気づいたかっちゃんは満面の笑みを見せた。
「あの女優確か首攻めなんて、してなかったよなぁ?てことはよぉ」
かっちゃんは私が逃げられないようホールドして首筋を舐め上げ、目線を反らした私の耳元に口を寄せた。
「首、弱いんだよなぁ?」
「や、だ…」
「いいって言えよ?」
「あぅ、」
「余裕なんてなくしてやるよ、覚悟しとけや」
そう、いい声で囁いて再びかっちゃんは笑う。私はそれに答えるようにかっちゃんの首に手を回すとまぁ満足そうだった。
私も愛されている、という事を受け入れる事にした。
リクエストありがとうございました。毎日来ていただいてるだなんてとても光栄です!!
如何だったでしょうか?舞台は取扱い説明書の未来で愛を受け入れるようになったけど、変わらない二人を想定しました。甘いのを狙ったつもりがやはり空回ってるような気がしますがご了承下さいまし。