狂乱の貴公子
「やぁヅラ久々だな」
そう言って俺の前に急に現れたのはかつての戦友である潤だった。こやつの放浪癖は健在のようである日突然現れる事だ。しかしこの将軍が暗殺された直後タイミングである事が自棄に違和感を覚えた。
「ヅラじゃない桂だ!…お主、帰ってきてたのか」
「おう。お前も相変わらずみたいだな」
「お前も、ということは他にも既に会っているのか?」
「銀時と晋助とね。あ、これお土産ね」
「これは、なんだ」
「超強力育毛剤」
「いやいやいやおかしいからね?俺は剥げてないからね?」
「名字が名字だからな、運命に抗う事に全面的強力が必要かと」
「余計なお世話だ!全国の桂さんが可哀想だろう?!」
「誰も名字を攻めてる訳ではない。お前がロン毛なのは薄毛を隠すためだろ?大丈夫さ!どんな髪型でも私達はブレンズさ!」
「そんなブレンズはいらない!!」
「ひどいわジョニー!私達の友情は不滅と約束したじゃない!」
「ジョニーじゃない!ヅラだ!…あ、間違えた桂だ!」
「ぷ」
「笑うな!」
「…時にヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ」
「ハハハ、晋助も銀時も全く変わらんかったがお前も変わらんなぁ」
「…お主もな。戦争は終わったのに何故そのような格好をまだしている?もうそれを偽る理由もなかろう」
「あぁ、これね。これは私にとって必要な事さ。今も昔もお前達と共にいるためには男であらねばならないだろう」
ふと昔の事を思い出した。当時から男として育ったのもあり気にしなかったが俺達と一緒にいたのにも関わらずこやつと俺達には性別という壁があったのだ。こやつは昔から俺達と共にいた、否いられるように男装をしていたのだ。
「そうではない。そんな事をしなくなって」
「小太郎、お前にもアイツらにもわからんよ。」
「あぁわからんな。昔からだ。お主がここまで俺達に執着しているのかも。」
「…」
「男としてでも、女としてでもお主はお主であることに変わりはないだろう」
「あるさ、女は侍にはなれない。故に私は今も変わらず女である事が嫌いだ。」
そのフレーズに心当たりがあった。高杉と銀時が男として生きたいと主張した潤に対して全面的な否定をした。女は侍になれないと。これにはやや深い事情がある。二人は当時から潤に惚れていた。それが奴から出される女性ホルモンからなのか逞しい姿からなのかはわからんが二人は潤に女として生きて欲しいということだった。しかし当の本人はそれに対して男女の壁を感じたらしく珍しい真面目に答えた。
「…そうか」
俺からはこれ以上何も言えなかった。
「私は、お前達とこうして馬鹿やってるのが好きなのさ。なのにお前らときたら先生やら国やらバラバラと来たものだ。そんな柄だったかい、お前らは」
「潤」
「ははは、怒ってもいいぞ?私はお前達が世を憂いている間にも私はお前達との戦を望んでいたのさ。女ではなく男の戦友としてな」
そう言って潤は笑った。この笑い方は決まって何か企んでるのだろう。何かとは決まっている、こやつは恐らく攘夷戦争以上の戦争を引き起こそうとしているのだろう。俺達を再び一つにまとめ上げるために。
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