桂浜の龍
「辰馬、久々ー」

「おー、おまんもな」

「はいお土産」

「これはコスプレセット?!」

「そうだ。しかも今回は凄いぞアブノーマルなのを取り寄せた。犬の着ぐるみ、ゴリラの着ぐるみ、ゴスロリ、赤ちゃん、タクシードライバー、トラックドライバーなどなど」

「アハハハハ!なんかそそられるのがないんだけど気のせいかなー?」

「気のせいだ。お前ならこれくらいのレベルを乗り切れるかなーっと思ってな」

「レベル高すぎない?てかゴリラって何ぃ?!」

「野生の本能に従い子作りさ。頑張りたまえ。」

「野生処か理性がぶっ飛ぶわ!」

「さぁ、交渉だ」

「え?ここで?」

「私には目的があるのだけども、協力と黙認して頂きたい」

「はい?」
わしの戦友に一人だけ女がいた。そいつはわしらと一緒に馬鹿やってそして放浪したり当時から好き勝手してきた奴じゃった。そんなある日突然に目の前に姿を現しよった。その当時から男の格好ばかりしており侍を目指していた。

「お前は私と少しばかり似ている。私はあの馬鹿共を一つにするってことは一緒だろう?」
奴はわしと考え方が少し似ている所があった。バラバラになり喧嘩ばかりしていたアイツらを止めようとする所だった。決まって高杉と銀時やらが喧嘩初めて収集がつかなくなった時に放浪しに行っては土産を渡し場を和ませたことは懐かしい記憶だ。ただ身体で止めようとするわしと違い作戦的に場を和ませる奴に当時は呆気に取られたものだ。ただ奴のいう通り似ているのは少しだけだ。止めるということは一致しているだけで根本的な考え方がわしとは違うかった。恐らく奴は奴らを止めるのではなく、再び戦いたいのだ。しかしわしには止めることができなかった。わし自身が奴と同じく奴らと戦いたいと思っていたからだ。故に奴はわしに黙認をしろなどと言ってきたのだろう。

「何するつもりじゃ」

「なんて事ないさ。お前はただ仲間を助ければいい。急いで行けよ?宇宙で鬼兵隊が危ないからな」
まるで今からわしがする事が分かっていたような口振りだった。快援隊は壊滅に追い込まれた高杉率いる鬼兵隊の救護に向かおうとしていた所だった。相変わらずこちらの行動が手の内にあるかのように操作してくる奴、恐らくこの度の騒動は奴が裏で操ってたんだろう事がこの発言で想像できた。

「言っただろ?アイツらを一つにするって」
奴は笑ってそう言った。

「じゃからそれはどう」

「辰馬、お前はアイツらと戦をする事が好きだろ?それが負け戦だとしても、そこで朽果てようとも構わない、それは私もだ。ただもう一度アイツらと共に戦いたい。」

「おまん、」

「しかし時の流れとは残酷だよな。気づけば私はれっきとした女になってしまって、侍ではなくなった。」
奴は窓ガラスに写った自分を憎そうに睨んだ。しかし

「わしからみればおまんは侍に見えるがなぁ。」
一つの事を貫き通すという侍に。しかしながら奴にとっては性別という壁は厚く重たいようでわしの言葉に首を左右に振った。

「女は武士にはなれないさ。私がなりたいのはアイツらと戦える仲間だ。しかしそれももうできないだろう。私は女になってしまった」

「…」

「辰馬、アイツらの事を頼むぞ。」
その場をそれを言い残して去って行った。今からする事を黙認しろということ、奴がやりたいこと、そして仲間にはなれないということ、全ての情報が不吉な予感となっていた。こんなことになったのは女は侍になれないと奴にキレ回したアイツらのせいだろう。そうやって遠回しにしか言わないからこんな事になったのだ。とは言えわしも人のことは言えなかった。

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