再会の導 01


「コナン君、今週の土曜日は家にいるの?」
「え?うん、いるけど、どうして?」
「新一の知り合いが来るんだけど、コナン君も会ってみる?」
「新一兄ちゃんの?」
「うん。元依頼人さんなの。一年くらい前だったかな…私も何度か話した事があって」

知ってるよ、俺が連絡受けたんだから。
新一、もといコナンは、心の中でこっそり呟いた。
蘭は、台所で夕食に使った食器を洗っており、今はこちらに背を向けていた。

"元依頼人"というのは語弊がある。
新一は当時、ただ事件に居合わせただけなのだ。

「一華さんって言うんだけど、事件に巻き込まれた時入院しちゃってね。私は何度か着替え持って行ったりしたの。その事件でお父さん亡くなっちゃって、他に家族もいないみたいだったから…」

一年前に亡くなったのは彼女の"養父"だ、とコナンは思う。本当の両親は彼女が高校生の時、つまり五年前に亡くなったと、以前聞いたことがあった。
新一の父、工藤優作とその養父(一華はずっと「北条さん」と呼んでいた)が仲の良い友人で、以前は何度か一緒に食事をしたりと交流があった。

「ふうん。でも、何で新一兄ちゃんの知り合いが、蘭姉ちゃんに会いに来るの?」
「東京に戻ってきたから、久しぶりに会おうって新一に連絡が来たの。でも、今アイツ居ないでしょ?そしたら新一、お前が代わりに会ってくれってメールして来て。もう…勝手よね」

苦笑いしながら、蘭が居間のスペースに戻ってきた。洗い物は終わったようだ。

(しょうがねぇだろ…蘭と約束させれば、コナンの姿でも会えるしな)

蘭に気づかれないよう、コナンはそっとため息をつく。
北条氏が亡くなってから、元々地方の大学に通うために下宿していた一華とは疎遠になっていた。新一も彼の両親も、時々話題に出しては彼女の身を案じていたのだ。

- 4 -

*前 | 次#

back

ページ: