儚は、俺のような所謂不良とは正反対の生き方をしてきた人間だった。
だからと言って、真っ当な家に生まれて普通に育ってきた訳でもなかった。

儚の両親は儚が物心がつく前に離婚していて、母親に引き取られた彼女は父親の顔も知らないと言っていた。
母親は体も心も弱い人で、アルコールとクスリに溺れ、よく儚に手を上げた。
ただ、そんな母親でも彼女にとってはたった1人の家族。儚は高校を卒業して働き始め、生活を支えた。
それでも母親自身や2人の関係が変わる事はなく、結局儚が20歳の時、母親は薬の過剰摂取で亡くなった。

それからの儚は、小さい頃からの夢だった


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