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舌を絡めると、甘い音が脳に直接響くように伝わってきて、その刺激に思わず眉を顰める。
薄らと目を開くと、固く目を瞑っているユリさん。
綺麗だな、そんな顔すら。
俺に組み敷かれている下着だけを身に纏った細い身体も、真っ白な肌も。
全てが神々しいくらいに綺麗で、この人本当に俺と同じ人間なのかな、なんて。
こんなに美しい人に、俺はなんて低俗な欲をぶつけてしまっているんだろうと思う。
だけどそれと同時に、そんな時だって余す事なく綺麗なユリさんの前では、俺の欲すら赦されているように思えてしまう時もある。
俺だけのものにしたい。
この身体も頭の中も心の中も全て。他の誰かになんて指一本だって触れられたくはないし、俺の事だけを考えて想っていてほしい。
そんな、稚拙でしょうもない独占欲からくる支配欲を紛らわそうと、白い頸を甘噛みする。
『っ、あ…ん、ここ、』
耳元で聞こえる甘い声に誘われるようにそこに強く吸い付くと、真っ赤な痕が残る。
顔を離して見えたそれにはっとした。
ああ、俺はどんな事があったって、どんな理由だって、この人に少しの傷も痕も残したくないと思っていたのに。
「ごめんなさい、痛かったですよね」
痕を指でなぞると、ユリさんはふわりと笑った。
『大丈夫だよ。…ふふ、なんか嬉しいかも。』
「え?」
『こころが、そういうことしてくれるの。』
「…ずる、」
『ん?』
「そんなこと言うの、ずるいです。」
ユリさんは知らない。
俺がどれだけユリさんのことが好きで、本当はこんな痕じゃ全然足りないくらいの独占欲に塗れてるかなんて。
強く触れて、壊してしまいたい
そんな加虐心すら抱いてることなんて、知らない。知らなくて、いい。
「好きですユリさん。俺のって名前書いちゃいたいくらい。」
『うん、いいよ?だってこころのだから。ね、こころ、』
「ん?」
腕を伸ばしたユリさんを抱き締めると、首筋に擦り寄ってくるのが可愛くて腕に力を込める。
『…私がこんなこと言うの、変かもしれないけど』
「うん?」
『…こころが、いつも気遣って優しくしてくれるの、すごく嬉しい。すごく大事にされてるって感じがして、安心する。』
気を遣っているわけでは、ない。
ただ俺がユリさんを傷付けたくないだけで、嫌われたくないだけで。傷を抉ることも記憶に重なることもしたくない。俺は、ユリさんに無条件に心も身体も預けて欲しいだけ。
『だけど、それってきっとこころが色んなこと我慢してくれてるからだろうなって。』
「……」
『…私も、もっと、こころが思うままに触れて欲しいって、思うん、だけど…』
なんかごめん、上手く言えないや。
そう言って笑ったユリさんに、色んな感情が混ざって爆発しそうになって、泣きそうになった。
少しだけ体を離して顔を覗き込むと、伺うように俺を見るユリさん。
そんな事言わないで。
俺が必死に押さえ込んでるものが溢れてしまえば、あなたを怖がらせてしまうかもしれないのに。それだけは絶対に嫌なのに。
『こころ、大丈夫だよ。』
俺の葛藤が伝わったかのように、頬に優しく触れて柔らかく笑う。
『こころのこと、大好きだから。嫌じゃないし、怖くもないよ。大丈夫。』
「…ユリさん、」
情けないけど、理性の箍がぐらついているのが分かる。
ユリさんを思うがままに掻き抱いて、他のことを考える余裕や思考なんて一切なくなるくらいに全部を俺で埋めることができたなら
彼女と体を重ねる時、そう考えなかった日はない。
「…怖いことはしないって、約束するから」
でもごめんユリさん、俺、正直結構頑張ったんです。
あなたが好きで好きで堪らなくて、自分でもどうしたらいいか分からないままただ全部必死に、本当に必死に我慢して、なんとか抑え込んでた。
絶対に傷付けないから、絶対に怖い思いはさせないから、だから、
少しだけ、頑張った俺にご褒美ください。
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