機材のトラブルで撮影が延期になったとかで、珍しくお昼過ぎに帰ってきたグク。
ご飯を食べたらすぐに寝るかと思ったけど、ソファーに寝転がってだらだらとしている。



「ねえユリ、海行かない?」


『海?』


「うん。ドライブ。」



ふにゃりと笑ったグクが可愛くて胸がきゅっとなる。
当たり前だけど2人で出掛けた事はなくて、グクの車に乗った事もない。それに、海なんてもうどのくらい行ってないだろう。



「まあ…車降りてはしゃぎ回る、なんて事はできないけど。」


『そんなの、いいよ。でも、大丈夫なの?』



少ししゅんとした表情を浮かべるグクは本当うさぎみたいで可愛い。
ぱっと顔を上げて、大丈夫大丈夫!と立ち上がる。



車の事なんて何も分からない私でも感じ取れる高級そうな車。
助手席のドアを開けてくれたグクに恐る恐る中に入る。



「ふふ、初めてだ。ユリとデート。」


『デート…』


「デートでいいでしょ?」



隣で悪戯に微笑むグクに小さく頷く。
エンジンをかけて出発すると、流れてくるのはグク達の歌。
ご機嫌に口ずさむグクはやっぱりびっくりするくらいに歌が上手で、贅沢な気持ちに浸る。
いつも外に出ると言っても本当に散歩程度だから、車に乗って出た街は違う場所に来たみたいで。

運転する綺麗な横顔を見ると、ちらっと横目で私を見たグクが可笑しそうに吹き出す。



「どうしたの」


『…綺麗だなって。』


「ここ?」


『グクだよ。』