華奢な身体を腕の中に閉じ込めて噛み締めるように目を閉じると、途端に眠気が襲ってきて慌てて目を開ける。
俺の顔を見ていたらしいヌナは可笑しそうに笑う。
『どうしたの、グク』
「寝たくない」
『疲れてるでしょ?ちょっとでも寝なきゃ。』
「…勿体無いんだもん。」
腕を伸ばして、優しい表情を浮かべたヌナに優しく頭を撫でられる。
仕事の忙しさは日毎に増す一方で、ゆっくりと休む暇も十分じゃない。だけど、ヌナに会える時間はそれよりも僅かだから。
ヌナと居る時間は1秒だって惜しくて、寸分だって離れていたくない。
『でも、身体壊しちゃわないか心配だよ。』
「ヌナに癒されたから平気。」
『またそんな調子良い事言って。』
ヌナの体温が心地良くて、優しく撫でられるのが気持ち良くて、どんどん瞼が落ちてきてしまう。
目が覚めたら、もう離さなければいけない。
明日の夜も、次の朝も、こうしていられたらいいのに。
「…ヌナ」
『ん?』
抱き締めた腕に力を込める。傷が痛くないように優しく、強く。
「ずっと一緒に居たい。」
『……うん。』
そんな事、叶わない。
俺達がどんな想いで愛し合ったって、ヌナが帰る所はあの人の所で。
俺はそれを止める術を知らない。
だけど、今だけでもいい。この瞬間だけでもいいんだ。ヌナとの運命を、永遠を信じさせてほしい。
その思いはきっとヌナも同じで、長い沈黙の後に静かに頷いた彼女の丸いおでこにキスを落とす。
「愛してるよ、ユリ。」
『私も、愛してる。』
触れるだけのキスをして、夢の中でもヌナに会えるように願った。