ようやくできた"きになるひと"は22歳で、わたしは17。この5歳の差はわたしにとって決定的なもので、きっと恋愛対象になんてならない。
そんなことはわかってる。
でも、もっと背がたかくて、スタイルもよくて・・・・美人で、・・・・・胸も、大きくて。わたしがそんな女の子だったら、もっと積極的になれた?
こんなこと考えたってどうにもならないのに、柳さんに会いたい。
・・・・なにもしていないわけじゃないのだ。ただ、それを実行にうつせないだけ。
いま行っているのは、ドラマで漫画で稀にみかける夕飯を作りすぎた作戦。
渡せない分は、明日のお弁当のおかずになっているからうまく循環はしているんだけど・・・・。
仲良くもないのにもっていったって、迷惑かもしれない。そんな思いが消えないのだ
臆病なのに、近付きたいだなんて到底無理なはなし。
・・・・・外の空気、吸いにいこう。タッパーにつめたばかりの残り物をおいて、外にでた。
柳さんに会えたら、なんて・・・思いはしたものの。ちょうどドアがあいて、柳さんと対面したときには夢かなにかだとおもった
「や、やな、」
わたしの上擦った声が響く。柳さんも柳さんでひどく驚いていて・・・お互いがお互いをみつめたまますこし時間がすぎる。
なにか、いわないと
口をひらこうとしたそのときだった。
中から知らないひと(たぶん、柳さんのお友だち)が顔を出して・・・・わたしたちを交互にみたと思えば、わたしの方へ会釈し、口の端を上げ・・・
「じゃ、頼んだから」
それだけ告げ、ドアをしめてしまった。
柳さんは柳さんでなにかを察したのか、慌ててドアに駆け寄るが・・・・二度と開くことはなく、ドアノブの鈍い音だけが響く。
喧嘩、というわけでもなさそうだ。それに、柳さんは外出用のコートを着てるみたいだし。
しかし、
「っ、精市!なにを、・・・・精市、」
なんだか様子はおかしい。
呼ぶ声にも返答はなく、かわりに・・・柳さんのポケットから着信音が鳴り響いた。様子からみて、メールかなにかなんだけど・・・その内容をみるなり、柳さんは小さくため息をつく。
・・・・・わからないけど、つまりは・・・
「・・・・もしかして閉め出されたんですか?」
「・・・・・・そのようだ」
神様って、本当にいるのかもしれない
にやけそうになる頬をおさえながらも、まずは事情を聞いてみることにした。
20130604
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