あれから、結局二人ともだまりこんだままになってしまって。さらに、そんななかに切原くんを先頭にみんなの乱入があり・・・・混乱の中、おめでとうっていわれたときには本当に驚いた。
そのあとは、丸井くんがつくってくれたケーキでお祝い。ケーキはおいしかったし、真田くんも恥ずかしがりながらもよろこんでたし・・・質問攻めにあったときはどうしようかとおもったけれど、たのしかった。
でも、"あの真相"だけはわからないままなのだ。真田くんにもきけないままだし、わたしの頭の中はその件でいっぱい。
「で、なにがあったんだよ」
「な、なにってなに?」
「誤魔化すなって!ネタはあがってるんだよ!」
「お互い顔真っ赤になって黙ってたじゃろ?なにもないわけなかろ」
なのに、まさかその件について聞かれるとは思わなかった。(あんな一瞬だったのにみられてたなんて聞いてないよ!)
たしかにそういう風にみえたかもしれないし実際そういう風だったのかもしれないけど!わたしは、わたしたちは無実だ。なにもやましいことはしてないし、む、むしろ真田くんがそんなことを考えていた方がわたしにとっては大事件で・・・・!
ああ!もう!
「な、なにもないし!!」
「なにも?」
「なにも!!」
「まー相手があの真田じゃからなー」
「そうだよ!っていうか・・・・その・・・・・真田くんってそういうの・・・・興味あるの?」
「え」
聞いた瞬間、ぴしりと固まったふたりが同時にかおを見合わせた。そういう態度をとられると余計にきになるし、なんかすごくいやだ!
た、しかに、真田くんだってその、年頃の・・・・男の子なんだから!そういう態度をとらなくたっていいのに。(かくいうわたしも早く聞きたいやら怖いやらでつづきをせがむ事すらできないんだけど)
「そういうのっていわれても・・・・なあ?」
「身内でこういう話するのは気が退けるのう」
「ちょ、ちょっと!ふったのそっちでしょ!」
「でも・・・・なあ?」
「まあまあ、真田も男じゃきに・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「爆笑するのやめない!?」
本当にもう・・・ふたりしてこんななんだから!
かおを見合わせて、爆笑する二人に取り残されたわたしは小さなため息をつく。失礼極まりないんだけど・・・わらう気持ちもわからんでもないからくやしい。(ごめんね真田くん)
そうして、二人がくちをひらいたのは勿論一通り笑い終えたあと。
「まあまあ、うまくいってるならそれでいいだろい」
「それはそうだけど・・・・」
「一ヶ月、はやかったよな」
「ほんとじゃ・・・・・・・・あ」
「あ?」
「・・・・・・・・・・・忘れとった」
「お前まさか」
「え、なに?」
先ほどまでの空気は一瞬にして消えた。仁王くんはなにやらはっとした顔で鞄をあさり始め、それを丸井くんが呆れた顔で眺めてる。こんなにあわてた仁王くんをみるのはいつぶりぐらいだろう、そんな風にすらおもった。
乱雑にものを取りだし、その奥からようやく取り出したのは・・・・・なにやら小さな封筒。しかもかなり古風なもので・・・・よくある果たし状なんかが入ってそうな雰囲気を醸し出している。違うとはおもうんだけど・・・そのフォルムはどうにも嫌な予感しかしないわけで。
「じつは昨日からあずかっとったんじゃが・・・」
「・・・・・・うん」
「自分で渡すのは照れ臭いって、・・・なに身構えとるんじゃ」
「・・・・・だって!」
「難しい顔すんなよ、真田からだろい」
「え、さ、真田くん!?」
真田くんから、わたしへ?
いわれてみれば、この果たし状スタイル・・・・真田くんらしいといえば真田くんらしい気がする。
一ヶ月だから、とか?・・・・わたしはなにも用意してないのに、
「読まんの?」
「は、はずかしいから一人でよむ」
整った字でなまえへ、と記された封筒は、なんだかみているだけでしあわせになれる。
仁王くん、丸井くんにからかわれながらも、わたしはそれをそっと鞄にしまった。
20130609
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