「なあ、そろそろ俺たちのこと呼び捨てにしてもいいんじゃね?」
「え、そ、それはちょっと…」
「キルアの言う通りだよ!名前、もう俺たち友達になって随分たつよ?」
「でも私は…」
「同い年なんだから気にすることねーって。ほら、まずは俺のこと呼んでみろよ」
ゴンとキルアが騒がしいなと思っていたら、その中心には名前がいた。まったくあの2人は何をしているんだ。名前が困っているだろう。そもそも彼女はこの私にすら"さん"付けだ。そんな要望に応じるものか。
「キルアくん…許してください…」
「ちぇっー相変わらず敬語もやめねぇのかよ。他人みてぇじゃねーか」
「まあまあキルア、名前は誰に対しても丁寧なだけだからそんなこと言わないのー!」
「どっちの味方だよゴン!」
「え!これ味方とか敵とかあったの!?」
「…ったくよー」
「あはは…ごめんなさいキルアくんゴンくん。でも2人のことは間違いなく他人とは思っていませんよ。大好きな友人です」
名前がそう言って笑うと2人は照れたように顔を赤くした。キルアは頭の上で組んでいた腕を伸ばし、右手で名前の額をちょんっと突いた。
「ん、俺もお前のことは好きだぜ。…そろそろあっち行こうゴン、なんか向こうで殺気みてぇなの放ってる奴いるし」
「え、殺気?…あ、クラピカ!おかえりー!目当ての本は見つかった?」
「ああゴン、ただいま。おかげで見つかったよ」
「そっか!よかった。じゃあ俺ちょっとキルアと外であそんでくるね!」
ゴンは無邪気なものだ。私に笑顔でそう言うとキルアの手を取り去っていった。
…それにしても殺気なんて出してしまっていたのか、みっともない話だ。
「クラピカさんおかえりなさい。…何か怒っていらっしゃいますか?」
「ただいま名前。私は怒ってなんかいないよ。ただ自分以外の誰かが名前から大好きなんて言われたのが少し気に障っただけさ」
「あ、聞いてたんですね…でもあれは」
「わかっているよ、さっきの大好きはいつも名前が私に言う大好きとは別物だということくらい」
そう言って私が名前の頭に手を置くと、彼女は目を瞑って私のその手を両手で包んだ。
「ふふ…その通りです。彼らは友人ですがあなたは違います。私の大切な人です」
「ありがとう名前。私も君のことを大切に思っているよ。…ではさっきあの2人が言った要望も、私にだったら叶えてくれるか?」
彼女は私が言わんとしていることを察したのかあたふたと慌て出した。
そんな名前を壁際にじわじわと追いやる。私はドンっと壁に手をつき名前の逃げ場を完全になくした。
「なあ名前。私達の仲だ、そろそろクラピカと呼んでもいいんだぞ」
「く、クラピカさ、…」
私は名前の言葉を遮るように強引にキスをした。突然のことに驚いたのか名前は目を開いたままこちらをみている。
「…クラピカさん、どうしたんですか…?」
唇を離すと今にも泣き出しそうな名前がそう尋ねてきた。
「……すまない、私はあの2人とこんなにも違うのだという確信が欲しかったのかもしれない。情けないものだ」
私は知らず知らずのうちに嫉妬してしまっていたのだろうか。
それほどまでに私は名前のことを想っているということだ。しかしだからといって彼女を傷付ける理由にはならない。
「悪かった名前、私のことは今まで通りさん付けで呼「クラピカ」
仕返しとばかりに彼女は私の言葉を遮った。白く小さな両手で私の頬に触れ恥ずかしそうな顔で私を見上げている。
「クラピカ…私、あなたのこと本当に大好きです。だから不安になんてならないで…」
「名前…」
まったく私は何をしているんだ。なにもこんな顔をさせたかったわけではない。
私は名前の手を掴みもう一度、今度は優しく口付けをした。
「君が私をなんと呼ぼうとも心は通じ合っていたはずなのに…本当にすまなかった」
「ううん、こちらこそこんな私の性格のせいで悩ませてしまってごめんなさい。その…たまにならクラピカと呼ばせて…」
「っ!まったく…名前は無意識のうちに異性をときめかせていることに気付いたほうがいい。そんな顔私以外の前でしないでくれよ」
私は自分の赤くなった顔を見られないよう、名前をきつく抱きしめた。
彼女の良い香りが私の鼻をくすぐる。
…ゴンとキルアがとっくに戻ってきており、隠れて私達を見ているいることには気付いているが、もう少しだけこのままでいよう。
名前に大好きと言われたんだ、このくらいのことなんて事はないだろう。
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迷 さんへ贈ります。
一万打記念企画への参加ありがとうございました!
壁ドンは私も個人的に大好きです。嫉妬クラピカさんかわいいです。
これからもUp to you!をよろしくお願いいたします*