だいぶ暖かい夜だった。
ぽっかりと月も登り、なんだか気分がいい。
「名前〜もいっけん行くぞー!」
「…もう帰ろう銀時」
気分が良いのはアルコールが入っているからっていうのもあると思う。
恋人である銀時に連れられ、久々に外に飲みに出ていたのだ。
「なんだよ名前。つれねぇなー」
「だって銀時ベロベロじゃん。ほら、行くよ」
「やだー」
ぐずる銀時を引きずり、私たちは夜中の街をふらふらと歩いた。あ、ふらふらしているのは銀時だけだけど。
「お、今日は満月なんだな」
「ね。オオカミ男でも出てきそうなくらい」
「なにそれ名前ちゃん。誘ってる?」
「どうとらえたらそうなるのよ」
「男は皆オオカミなんだよ。オオカミは理性持たねぇから好き放題していいんだよ」
ヒヒヒと笑う銀時につられて私も笑ってしまった。
酔っ払いすぎでしょ。
それにしても暖かい。
ときおり強い風が吹きはするが、じんわりと汗ばむほどだ。
銀時を見ると顔が火照っていて私よりも暑そう。きっと酔いのせいだろうけど。
にしても、この人意外に顔整ってんのよね。
癖のある銀髪も似合っているし、体格もいいし……ってなに観察してんの私。
「なんだよ、見惚れてんのか?」
「馬鹿。暑くないかなって心配してたの。体、汗かいてない?」
少し照れてしまいとっさに出た言葉。
それを聴いた銀時は何故かニヤリと笑い私の着物の裾を引っ張った。
「よく気付いたな。体の汗拭きてぇんだけどタオル持ってない?」
「小さいのなら持ってるけど…」
「こんな道の真ん中で拭くのもなんだから、ちょっと裏のほうに行こうぜ」
私は何か企んでいるような妖しい笑みを浮かべたままの銀時と路地裏へ向かった。
* * *
「…こんな奥まで来る必要ある?人通りもないし怖いんだけど」
繁華街から少し外れてやってきたこの路地裏は真っ暗で、月明かりでようやく銀時の姿が確認できるくらいだ。
さっさと体拭かせて帰っちゃおう。
私はそう思いバッグからタオルをとりだした。…が、
「タオルなんていらねぇよ」
私の背側にあったビルの壁に、銀時がドンっと片手をついた。私に覆いかぶさるようなその体勢に少しドキッとしてしまう。
「いらないって、体拭くためにここに…」
「お前まだ気付かねぇの?あんなん口実だろ」
「口実ってなんの……っ」
銀時が私の耳を優しく咥えた。
私が耳弱いって知ってるくせに、わざとリップ音を出し責め立てる。
「ぅあっ…や、…な、に!銀時…っ!」
「嫌ならそんな可愛い声出すなよ」
「いやぁっ…!こん、な、外で…!」
「言葉ではそういうクセに、抵抗はしないのな。素直になれって」
抵抗なんて、力が入らないのだからできるわけがない。
それも分かっているのにワザとそんな言葉を使う銀時に少しムカついた。
さっき男はオオカミだとか理性がないだとか言ってたけど、もしかして最初からこれを狙ってたのか?
そこに私が体の汗なんて尋ねてしまったからスイッチが入ってしまったのだろうか。
「…名前、お前ほんと可愛い」
「っ…!」
耳元でそんなことを囁くものだから思わず腰が抜けてしまった。
座り込む私を銀時が優しく抱きかかえる。
「名前、本気で嫌なら言え。今ならまだ俺も抑えがきく」
「……なによ抑えって」
「いやわかるだろ、男のアレだよ。これ以上いくとやばい。しばらくはおさまんねぇ」
「…下品」
そう言いながら、私は銀時にキスをした。
嫌って一言言えばよかったのに、銀時に抱かれたいっていう欲求が勝ってしまった。
「…オッケーとみなすぞ」
私は小さく頷き、また銀時と深いキスをする。
「っあ…」
銀時の手が着物の裾から入ってくる。
優しく私の胸を触り、徐々に下に移動する。
身体中がゾクゾクして、自分でも興奮しているのが分かった。
「…名前、まだほとんどなにもしてないのにめっちゃ濡れてるけど」
「そ、そんなこと言わないで」
わざとらしく水音を立てながら銀時が私の中をかきまわす。
「あ、ぎ、ぎんと、きっ…!やぁ、」
「名前…愛してるぞ」
「ふ、なによ、急、に…」
銀時は私の胸元に顔を寄せ、舌を使って私を気持ちよくする。
どうしようもない快感におさえようとしても声が出てしまう。
「ぎん、とき…」
「少し早ぇけどいれるか?外だし立ったままですることになるけど」
「そんなはっきり、言わないで…」
銀時は笑いながら私を立たせ、着物の裾をずらした。その時、
「おい、誰かいるのか!」
全身の血の気が引いていくのを感じた。
「…よりによってこのタイミングかよ。名前、着物の乱れなおしな」
慌てて何事もなかったかのように姿勢を正す。
こんなところ、人に見られたらたまったもんじゃない。
「…お前ら、何してんだこんなとこで」
現れたのは見回りしていたであろう真選組の隊士さん。
土方さんや沖田さんじゃなくてよかった…。
「いやあ今日暑いだろ?体の汗拭こうとおもってよ。人目があるところでやるのもなんだし、こんなとこまで来たんだよ。な、名前」
「え?う、うん!タオルも、ちょうど持ってたしね!」
誤魔化すの下手かって顔で銀時が私を見る。
仕方ないでしょ、いきなりなんだから!
「ああ、そうか。確かに暑いしな。だがここは暗いし危険だ。大通りまで送るよ」
「あらぁ、親切にどうもねぇ。でも大丈夫ですよぉ」
「気にするな!真選組の役目だ」
余計なことをと言わんばかりに嫌味を込めた銀時の言葉も、隊士の彼には届かなかったみたいだ。
大通りに連れていかれた私たちはお礼を言い、素直に帰宅することにした。
「……銀時、不機嫌?」
「ああ?…いや、まあ。不完全燃焼だし」
「帰ったら続き、する?」
「…お前、可愛さの限界ないのかよ」
「きゃあ!」
銀時は途端に元気になり私をお姫様抱っこした。
早く帰りたくなったんだろう。スケべなやつ。
銀時の腕の中でぽっかりと登った月を眺め、たまには理性のないオオカミに抱かれるのもいいかと思った私も私だけどね。
深夜1時、暗闇で
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団扇さん、リクエストありがとうございました!
甘と裏の中間くらいになってしまいましたが楽しんでいただけましたでしょうか…!
壁ドン要素も思ったより少なくなってしまいましたが、積極的な銀さんが書けて楽しかったです。
銀さんは彼女に対して平気で可愛いとか好きだとか言うタイプだと勝手に思っています(笑)
連載とは違ってラブラブの2人が書けてとっても満足しました!
これからも連載、短編更新していくのでよろしくお願いいたします!
今回は本当にありがとうございました!