嫉妬






※??視点





気に入らない

気に入らない

気に入らない。


三池 芳乃。


私の方がずっと見てきた。
彼が一年生の時からずっと。告白する勇気はなくて、彼に彼女ができる度に後悔して、別れて安堵して。何度かそんなことがあったと思ったらぱったり彼の恋愛の噂を聞かなくなった。

毎日楽しそうに部活に打ち込んでいて、きっと恋愛よりもそっちが楽しいのだろうと、自分が告白できないことをいいことに安心していた。


それなのに。


最初に見たのはバレー部の練習を見に行った時だった。練習中にボールが体育館の外に出ていったと思ったら、それを彼が追いかけていって。
目で追った先に三池がいた。楽しそうに会話をして、孤爪くんを紹介されていた。
私はまだ話しかけたこともない。
きっと向こうは私のことを認知していないとさえ思うのに。


それからというもの、移動教室や廊下で見かけるたびに、彼の側には三池がいて。
ちょっかいをかける彼をあしらったり、笑ったりしていた。もしも私が彼と同級生だったら、あんな日常もあったのかな、なんて。そう思ったら堪らなくなった。



バレー部の大会に応援に行ったりしている間に、今度は自分の進路でいっぱいいっぱいになってきた。志望校の推薦は2年の後半から狙っていた。勉強には自信があったし、そのために普段から授業態度も真面目にやってきた。

それでも推薦の枠を勝ち取るために気は抜かなかった。小論文と面接も在学している先輩にアポを取って聞いたりして。進路指導の先生に練習に付き合ってもらった。

一般受験の人たちよりも早く試験日が来るからか、文化祭は切羽詰まっていてあまり思い出を残せなかった。もともと友達が多い方ではなかったから、今までの年も思い出だったかと言われると少し苦しい。

そんな時だ、
彼に新しい彼女ができたと噂を聞いたのは。


まさかと思った。
けれど彼女と聞いて思い浮かぶのは一人だけだった。


見ない方がいいと、分かっているのに
足は自然に二年生の教室に向いた。隣同士の席でふざけ合う二人とそれを揶揄うクラスメイト達を見て、やっぱり見なければよかったと思った。澱のようにドロドロとした感情が身のうちに巣食っていく。
その感情が自分でも怖くて、目を背けて受験に打ち込んだ。


推薦受験の日。
全てを出し切って、家に帰って。
気が抜けた。全力で打ち込んでいたものがなくなり、ポッカリと空いた心の中に残っていたのは、あの日の嫉妬心だった。


やめた方がいい、そう何度も自分に言い聞かせたのに、三池を困らせてやったという爽快感にも似た感情は、一度味わったら止まらなくなった。
私は彼のことが好きだけど、彼は私を知らない。皮肉にもそれが功を奏して、三池から私に繋がるものはない。

早く別れて

険悪になって


そうしたら今度こそ私が



そんな思いを後押しするように、合格の吉報が届いた。運が全部自分に向いている気がした。
しばらくして担任の先生から、同じ志望校を目指す後輩が受験対策について聞きたいらしいと相談を受けた。
勿論、快く承知した。
私にできることならと。

恩を売った二年生が、回り回って彼に私のことを話してくれるかもなんて。
薄い奇跡も起こるかもしれない。
だって今の私はツイているから。


そうして私は指定された資料室で後輩を待つ。


結論から言えば、現れた二年生は、
確かに彼に近い人物だった。
目の前の女生徒に絶句する。

偶然?

いや、そんな偶然があるはずがない。
だとしたら一体どこから仕組まれていたのか。周りの酸素が急に薄くなったような気がして、指先が冷えていく。
目の前の彼女は落ち着いた様子で口を開いた。




「はじめまして、先輩」


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