不機嫌の理由
自分の部屋と兄の使っていた部屋を物色して、自分と猿飛さんの分の冬服を引っ張り出した。
もうすぐ12月だし上着が必要になってくるだろう。今猿飛さんが着てる服は兄の服の中でも比較的大きいサイズのものである。というのも、猿飛さんは腰は細いくせに手足が長いのだ。ホントにどこのモデルさんですかって感じ。
ジャケットやらコートやら色々あるが、これ着せたら袖とかつんつるてんになっちゃわないかなぁ。
本人に着せてみるのが一番だという結論に達し、猿飛さんのいる和室に降りていった。
「猿飛さん、このお洋服なんですけど…、…?」
声を掛けるとまたもや一瞬不満気な顔。いや、不満気というより……拗ねてる?
なんで?
何か変なことしただろうか。さっきまで普通だったよね?
思い返してみるが、これと言って思い当たることもない。
「どうしたの?アキちゃん」
当の猿飛さんは、黙ってしまった私に不思議そうに声を掛ける。一瞬表情変わるの、無自覚なのかな。
.........もしかして。
ふいに仮説が浮かんだ。いや、でも猿飛さんに限ってそんな子供じみた反応になるわけがないだろう。でも、確証はないが、そういう理由なら……。
「...あの、このお洋服着てみてもらえませんか...
…、佐助さん」
ぎりぎり聞こえるかという声量で佐助さん、と呼んでみたら一瞬ポカンとしたあと、へにゃりと笑みを浮かべた。前言撤回、子供じみてたわ。
「名前で呼んでくれるなんて、どうしたの急に。嬉しいけど」
顔に出ててたんですよ、なんて言えない。やっぱり、朝一番にちょっと不満気な顔したのも、名前で呼ばなかったからだったのかな。
納得するとともに佐助さんは昨日の記憶をしっかり持ってることがわかり、今更少し気恥ずかしくなった。